ネタバレします。
【第90回 孫行者 岩窟院を脱れ 丘秀才 金蚕蠱を調う】
岩窟院堂守が百花羞を襲い石方相がこれを追い払う。
小柄な堂守はするりと岩窟の穴に入り込んだが大男の石方相はその穴から入るのはできず馬鹿力で穴を壊し始めた。
中では一升金を抱えた黄袍が悟空と玄奘を追い詰めている。
そして入り込んできた堂守にまたも楽慧の亡霊が「法楽さまは」ととりついた。しかも「参詣人を殺していたのはおまえだろう。おまえが法楽さまを」
石方相は岩窟をこじ開けてしまうがその反動で自分自身が上から落ちてしまう。
一升金が抜け出したその瞬間黄袍は弓矢を発する紐を引く。
悟空は玄奘とともに外へ飛んだがそこは流沙だった。ふたりはたちまち砂の中に飲み込まれていく。
黄袍はそのつもりで矢を仕掛けていたのだ。
堂守は楽慧の亡霊に対し「参詣人を殺しては流沙に投げ込んでいたのは法楽さまだった。あんただって気づいていたはずだ」と答える。
楽慧の亡霊はなにかを思い出し「わたしが・・・法楽さまを」とつぶやくと元の骸骨に戻ってしまう。
悟空は流沙に飲み込まれそうになっていたがそこに一本の縄が落とされた。
悟空はそれに捕まり脱出しようとするが黄袍が手刀を投げて切ってしまう。
が悟空は落ちた縄を金箍棒に括り付けると岩場に放って逃れようとする。
同じように流沙に落ちた堂守もこれにすがろうとしたがそれより早く砂の中にいた蚯蚓蠱に殺されてしまった。
悟空は金箍棒を引き寄せて蚯蚓蠱を殺す。
流沙の中から投げ込まれた骸骨たちが浮かびあがってくる。
その中に法楽がいるのを楽慧は見てすべてを思い出す。
岩窟が崩れ出し黄袍も足場を失いそこへ悟空は跳びあがった。
黄袍は岩に見えなくなってしまう。
悟空は玄奘を流沙から救い出した。
一升金の宝を乗せたロバは八戒がまんまといただいていた。
そこに現れたのは蚯蚓蠱使いの丘だった。
道を教える代わりに八戒にロバの荷を山分けしてほしいと言い出す。
丘はそれで満足した。
その中身は金蚕蠱といって巫蠱使いが憧れながら滅多にお目にかかれない代物であった。
八戒を追いかけた一升金はその甕がなくなっていると知って激怒する。
玄奘と悟空の前に石槃陀が現れる。「師よ。お待ちしておりました」
経緯を知らない悟空に玄奘は彼に受戒させ窮状を話したと打ち明ける。
石槃陀は玄奘の名前が役人の通牒にあったと報せいち早く旅立った方が良いと告げる。
悟空もそれに賛成した。
さあ、いよいよ最終巻の十巻へ突入します。
【第91回 黄袍怪 沙中に落命し 通臂公 金蚕蠱を調う】
悟空はあまりにも手際のよい石槃陀に疑問を持つ。
それでも旅立った三人の前に石方相が現れた。
黄袍が百花羞を殺すと息巻いているという。それを防ぐには悟空を連れてくるしかないというのだ。
悟空は玄奘と落ち合う場所を決めて石方相についていく。
黄袍は百花羞を隠し悟空がなかなか来ないのに焦れていた。
一足早く戻った石方相はその姿をおかしく思う。
悟空が到着した途端矢を放つ黄袍だが当たって落ちたのは身代わりの物だった。
黄袍はもはや正気を失っている。
今や黄袍は悟空の敵ではなかったが、それでも必死で逃げ回っていた。
丘が操る蚯蚓蠱は使い手の言葉を無視して悟空を追いかけていった。
しかも一升金の蛇蠱が近づいてくる。
丘は金蚕蠱を抱えて窮地に追い込まれていた。
蚯蚓蠱は次々と悟空に殺され残った一匹がやっと戻ってくるのを感じる。
なんとか一升金と交渉してチャンスを狙おおうとした時、金蚕蠱が入った甕をひょいと盗んだ者がいた。
通臂公であった。
通臂公は丘と一緒に騙し取った財宝の代わりに金蚕蠱をもらうと言い出す。
一升金は有無を言わさず大青で丘を殺した後、通臂公も殺そうとした。
だがそこへ蚯蚓蠱が飛び込んできたのを通臂公に教えられ慌ててそれを殺させる。
そしてそこへ悟空が来たのである。
通臂公はまんまと金蚕蠱を持って去り、一升金も場を取り繕って逃げ出した。
悟空は再び黄袍のいる場所へと戻る。その途中で八戒と出会ってしまう。
そこに百花羞が飼っている鸚鵡が飛んできた。
その後を追うと百花羞が岩に縛り付けられぐったりとしていたのだ。
一方黄袍は悟空を襲う準備をしていた。今までの黄袍とは違う焦り方をしているのを見て石方相は隙を感じ背後から黄袍を捕まえる。
これまで石方相に触られることなど一度もなかった黄袍を金輪際放すもんじゃないと石方相は断言し馬鹿力で締め上げた。
やむなく黄袍は用意した毒矢で石方相の腹を突く。石方相は黄袍の骨を砕いて殺した。
石方相は毒矢を抜き百花羞を捜し始めた。