ネタバレします。
【第16回 童女 城に入りて祆僧を誑かし 悟空 怪を追って胡宅を鬧がす】
砂漠の描写が続いた後に湿気を感じさせる夜の描写が多い粟特城回は諸星大二郎の特色が色濃く表れている。
粟特城門内に入ったアマルカはナササラルの者たちに見つかり呪文を唱えられるが老婆の妖怪に変化してその呪文さえ封じ込めてしまう。
ガ、アシャイバンダクの登場にアマルカも消える。
悟空はバクラクッチ家の裏門を叩く。
トプチンは盗んだ妖怪羊の首が入った袋を持ってうろうろするばかり。
そんな時バクラクッチの妻メーウザーイは裏庭にこっそりと悟浄を呼び出した。
その様子をトプチンが見てしまうのだが背後には昼間眠っていた妖怪羊が目覚め本性を現していたのだ。
悟空は屋敷の塀を乗り越え復活した妖怪羊に金箍棒を叩きつける。
だが斬り落とされた頭部には再び足がはえ孤立して動き始めるのだ。
メーウザーイに血を吐きかけ逃げ回る妖怪羊。八戒にも血を吐きかけた。
悟空は何度も体を打ち破壊するがそのたびに失われた頭や足がはえ数が増えていく。
双子は正門へと回って中に入れてもらうが肝心の呪文も上手く唱えきれずおそわれ逃げようとするが体を結び付けている紐によって倒れてしまう。
悟空は双子の紐になんどもひっかかりながら妖怪羊を打ち続ける。
居間で会話していたバクラクッチと玄奘の前に妖怪羊の斬られた部位が飛んできてそこから欠損部分が生えて動き出しふたりは悲鳴をあげる。
ここでも呪文を唱え妖怪を退治したのはアシャイバンダクであった。
妖怪羊が屋敷の塀を飛び越え外へと走り出す。
悟空がそれを追う。
【第17回 屍魔を追って ひとたび寺院に至り 策を用いて魔 ふたたび結界を破る】
あまりにも素晴らしい表紙絵なのであげてみる。
魔が夜を奔る。ぞくぞくする絵である。
アシャイバンダクは悟空の後を追って寺院の方へ急ぐ。
アマルカは悟空が近づいてくるのを感じていた。
妖怪羊が寺院の結界に阻まれ呻く。
そこへ悟空が駆け込んで来、その妖怪を打つことで結界を破り妖怪羊は結界の中へ侵入してしまう。
妖怪羊からは不気味な黒い影、鬼女のようなものが浮かび出た。
アシャイバンダクと悟空が寺院に入ると中では祆主が倒れており、その側で守護精霊と先ほどの黒い鬼女のようなものが組み合っていたのだ。
アシャイバンダクが呪文を唱え悟空の金箍棒が鬼女を打つ。
鬼女は倒れながらも起き上がり聖火の中へ飛び込んだのだ。
アシャイバンダクが鬼女を蹴落としたが既に遅し、聖火は穢されてしまった。
【第18回 姦婦 愛欲に囚われて策を巡らし 霊犬 異変を感じて道を戻る】
ここでひっそりと困惑する事態が起きていた。
八戒とメーウザーイが妖怪羊に血を吐かれたことで異変を生じていたのだが誰もそれに気づかなかったのだ。
だがメーウザーイは悟浄にだけこっそりと「今夜バクラクッチを殺しましょう」とささやいたのだ。突然のことに悟浄は何も返せなかった。
騒ぎにバクラクッチは怒り玄奘からはなにも情報を得られなかったというので腹を立てていた。
そのため玄奘に苦言を呈され悟空はむっとするがこういうとこでしつこく怒らないのが悟空の良いところだ
(むしろえらすぎる)
悟空は馬を捜しに再び外に出てアシャイバンダクと出会う。
彼は悟空の馬を引いてきていたのだ。
そしてドゥルジ・ナスが火に焼かれたのは火を穢したことになるのだと知る。
真夜中悟浄は不安で起き上がる。
メーウザーイは引き出しから短刀を取り上げた。
同じく真夜中八戒はいつものように厨房で食べ物を漁っていた。羊の頭蓋骨を見つけ自分の頭に乗せ「女、女」と歩き出す。
羊の頭蓋骨を乗せた八戒は女を求めてとある部屋に入る。
そこはメーウザーイの部屋だった。
くるりと振り返ったメーウザーイもまた不思議な仮面をかぶっていた。
八戒は女の身体をまさぐる。
どうやらメーウザーイは悟浄が来たと思い込んでいたようだ。
違うと判っても「まあいいわ。お仲間のようだし」とつぶやく。
だがなおも吸い付いてくる八戒に「こっちが先よ」と短刀を見せる。
悟浄はメーウザーイと八戒がバクラクッチの部屋に入っていくのを見る。
八戒は女の言いなりになって短刀でバクラクッチを殺そうとした。
背後から悟浄が八戒を殴りつける。
悟浄は気絶した八戒を抱えて逃げ出し部屋の外にいたメーウザーイをひっぱたく。
バクラクッチは「ドゥルジ・ナスだ。ナササラルを呼んで来い」と喚く。
が部屋の外にいたメーウザーイはゆっくりと落ちた羊の頭蓋骨を手に取り「ただの羊の骨ですよ」とやってきた悟空とアシャイバンダクを引き取らせた。
悟浄は玄奘に「今すぐは無理でも夜が明け城門が開いたらすぐに出発しましょう」とせかした。
入ってきた悟空も賛成する。
おじいちゃんの家に戻ったアマルカは「聖火を穢してやった」と報告をした。