ガエル記

散策

『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その7

ネタバレします。

 

【第22回 孤影 ふたたび強箭を射 祆僧 夜陰に怪を視る】

アマルカを追ってひとり馬を駆る悟空は岩場に入り込みふたたび謎の射手に襲われる。

悟浄は祆教徒たちと行動を共にし夜になって火をつける時息を吹きかけて咎められる。

マルボーロ達の馬車が到着しないことを懸念している。

祆教徒たちは突然巨大なサソリに襲われる。

それは女性の顔をした不気味なサソリだった。

悟浄が焚火を投げたことでそれは逃げていくが祆教徒たちはここでも聖なる火を投げたことを怒る。

 

誘拐されたアムを捜してハルとワユがやってくる。

そこで悟空と出会いハルは悟空を脅してアムを捜させようとする。

悟空は見破りながらもそれに乗る。

 

ふたりと子犬はサソリがうごめく場所を通り洞窟へと入る。

 

【第23回 悟空 洞を探りて蝎を殺し 女怪 怒りて心猿に挑む】

悟空はハルから火をともした香炉を取り中に進む。

奥には家財道具に子供が遊ぶおもちゃまであった。

更に奥の隅にハルはいた。が、サソリに囲まれ動けないのだ。

「サソリ女が蝎に命令していった」のだという。

悟空は蝎を焼いてしまうことで救助するがここでも「神聖な火を使うなんて」と咎められる。

 

こうしてアムを見つけ救い洞窟を出ようとした途端行く先にいたのはサソリ女だった。

サソリ女は黒装束で身を包み足をそろえて逆立ち状態に跳ね上げることでサソリを思わせる態勢をとっているのだ。

しかもその足先には毒を吐くことができる大きな突起物が仕込まれている。

双子は呪文を唱えるが悟空は無駄だという。何故ならこれは人間の女だからなのだ。

悟空は戸惑い逃げるしかないほどサソリ女の攻撃は速く鋭い。いつその足先の毒にやられるかわからないのだ。しかも周囲にもサソリがうごめいている。

悟空は攻めあぐんでいた。

双子たちの危険もある。

悟空はやむなくサソリ女が岩場の下に潜り込んだ時にその上の岩を叩き割ることで女の動きを封じ込めた。女は逃げた。

 

悟空はここで初めて双子と名前を教えあう。そしてアムになぜこんなことになったのかを問う。

しかしアムは突然さらわれその理由はわからずなにもされなかったという。

女は「殺しに行かなきゃ、羊のじじいに逆らうと後が怖いからね」とつぶやき、アムに「いいね、血をドクンドクンとさせて待っているんだよ」と言ってどこかに行ってしまったのだというのだ。

これで悟空は羊力大仙が関係してるのかと察した。

悟空は双子を馬に乗せて去るがその様子を岩陰からサソリ女が見ていた。

 

 

サソリ女の章

 

【第24回 弟の身を案じて 童女街に走り 施主に招ばれて 唐僧難に遭う】

母親に「弟の面倒を見てね」と頼まれた姉は童女ながらもその言いつけを守ろうとする。

伊吾城下町で姉弟は辛い思いをしながら生きていた。

伊吾城では鄯善人と伊吾人の代表が相談して政治を行ってきたのだが最近ソグド人が台頭してきたことが脅威となっていた。

これを玄奘に講話をしてもらうことで仲間を増やそうと有力者のウジャムカは考えている。

ソグド人は祆教徒が多いことへの対抗策でもあった。

が、ウジャムカはソグド傭兵隊長のヴァンダカに逮捕される。

玄奘と悟浄は同席していたためそのまま連行されてしまうのだ。

 

【第25回 薩宝命じて 心木を捕縛せんとし 八戒謀りて 食の鬱憤を晴らさんとす】

 

石万年の屋敷ではヴァンダカが報告をしていた。

連行した僧侶の仲間が足りないと知らされ悟空と八戒を逮捕するために兵士たちを差し向ける。

 

悟空が止まっている仏寺では八戒がまたも食欲を発揮し僧侶たちを困らせていた。

寺の厨房では客人に出すための肉の串焼きを料理している。

八戒は偽の火事騒ぎを起こすことでこの肉料理を盗む算段をする。

ところがこのドタバタの中でソグド兵たちからあっさり捕まってしまうのだ。

同じように悟空も捕まえようとするが悟空は見破り争いとなって逆に捕獲してしまう。

悟空は玄奘と悟浄を助けるため石万年の屋敷へと行く。

 

【第26回 火を点して童女 弟を捜し求め 師を救わんとして悟空 虎穴に入る】

ウジャムカの手下アンパタに弟シュムを連れ去られてしまった姉は弟を追ってとある建物に入る。

 

石万年の屋敷にいった悟空は厳重な警戒を見て出入りする馬車の下に潜り込んで中に入る。

さらに茶を運ぶ召使のふりをしてなおも進む。

しかしさすがに途中で咎められ結局暴れることとなる。

 

石万年の屋敷にはタクワルチュからの見舞い品の箱が届くが本人がその場にいて「そんなことはしていない」と言い出す。

その箱を開けてみると中にはあのサソリ女が身を丸くして入っていたのである。

 

箱からはサソリ女が関節を戻しながら飛び出してきた。

 

 

【第27回 女怪 箱より出でて毒爪を振るい 悟空 薩宝邸を大いに鬧がす】

悟空は屋敷の屋根の上に上がりここでも吹き抜けの穴から内部に入る。

サソリ女が周囲を睨みつけているその正面に悟空は降下した。

部屋は騒然となりサソリ女は毒針のある蹴りを振り回し悟空は玄奘たちを逃がす。

護衛兵たちはこの状況に戸惑いながらふたりとも殺せと叫ぶ。

サソリ女は次々と兵たちを毒針で刺した。

悟浄は玄奘を人気のない部屋へ誘い悟空も呼ぶ。

サソリ女はその扉を蹴るがソグド兵たちから襲われる。

 

アクションシーンが多い為一気に四巻を突破しました。

サソリ女どうなるのでしょうか。

不幸な姉弟も気になります。

なので次は五巻に突入です。