ネタバレします。
【第32回 胡娘 鋭舌にて心猿を責め 吐窟 甘言にて悟空を宥む】
至近距離で本当に外さないか試してやるという悟空とそれに応じようとするイリーシュカをイリクは止める。
イリーシュカは矢を収め「なぜ弟を連れて行った?」と問う。
カマルトゥプはイリーシュカの弟だったのだ。
悟空の話を聞き裏が読めてきた、として「おまえの命はイリクに預けといてやる」と落ち着いた。
だが、イリクが「キルク族が山から下りてきたと伝えにきたんだ」と言った途端イリーシュカは馬を駆って去る。
イリクと悟空もその後を追った。
キルク族は固有の遊牧地を持っていないため他の部族と衝突するのだ。
さて玄奘たちはトルークシュと出会い高昌国へ行くと決める。
が、「悟空が戻るまで」と言った途端物凄い勢いで戻ってくる悟空が見えた。
トルークシュは「わたしが挨拶して安心させましょう」と立ち上がると悟空はよりいっそう勢いをつけて駆けてくる。
トルークシュは危険を感じ馬に乗って逃げ出した。
むろん悟空はその後を追う。
トルークシュは木に登って「話し合おう」と呼びかけるが悟空は訊く耳を持たずその木を金箍棒で打ちのめす。
トルークシュの護衛兵が駆け付け悟空と戦いだすが悟空の敵ではない。
ふたたび木を打ちつけてなぎ倒しようやく話し合うことで悟空の苛立ちも収まった。
そこへ悟浄が駆け付け三人でごたごたと話し合うこととなるがトルークシュはふたりを丸め込む。
が、ここでチェイリーとシュムが何者かにさらわれてしまうのだ。
悟空は急いでふたりの後を追う。
【第33回 鹿力仙 大聖に讖を告げ 孫行者 突厥に安を走らす】
が、二人をさらった遊牧民らしき者は山の中へと入り悟空は見失ってしまう。
追いかけてきた悟浄はここはトルークシュに訊いた方が早いと一旦戻る。
なんとか見つけろと無理難題を言われたトルークシュはさらに土地を知る部下に命じ夜営して返事を待つ。
戻ってきた部下は「今夜山の中で祈祷師がなにかの祈祷をするそうです」と伝えた。
その祈祷に子供が必要なのだというのだ。
悟空は悟浄とトルークシュを引き連れその場へと急ぐ。
聞き込みをしてきた部下は悟空たちを案内した。
山の中で祈祷が始まっていた。鹿のような仮面をつけた男が太鼓を持って現れる。
トルークシュによると何年か前からこのあたりの遊牧民の信仰を集めるようになった祈祷師・鹿力大仙だという。
見ているとチェイリー・シュム姉弟がふらふらとしながら現れた。
邪術だとも言われているがよく当たるらしい。
弟がぴょんぴょんと跳びはじめ姉が何かを告げ始めた。
どうやらカマルトゥブの幽霊が現れるのは殺されたキルク族の祟りだとそれを鎮めるためにお供物を出せということらしい。
その時、シュムが高く跳びあがり鹿力大仙が太鼓を放って前に出た。
「いかん」と悟空が叫ぶと同時に岩場から跳んだ。
金箍棒で鹿力大仙の角を打ち飛ばし落ちてきたシュムを受け止める。
鹿力大仙はやはり羊力大仙の仲間だった。
子供の命は精霊への生贄だという。
怒った悟空は暴れはじめる。
鹿力大仙が跳びあがって逃げたと入れ替わりに鹿が飛び込んできた。
それを打ち倒して見上げると幾頭もの鹿と共に鹿力大仙がいて「子供は返した。もう邪魔をするな」と言い出す。さらに「キルク族は消滅する。予言を聞きたいなら生贄がいる」と。
悟空は「欲しければ俺を生贄にしてみろ」と返した。
「いいとも。キルク族は二日後、石人原の草原で突厥の一隊に襲われて殺される。だが鷲の岩まで無事に行ければ助かるだろう」と言って去った。
これを悟浄は咎める。
「自分を生贄にしろ、と言う言葉は付け込まれてしまう」
しかし悟空は俺を斉天大聖と呼ぶ上で生贄にしようというのならやってみればいいと考えていた。
悟空はキルク族のために動こうとしていた。
そこへカマルトゥブの叔父と名乗った男がやってきてトルークシュの部下と話し合っていた。
悟空はそれに気づき叔父を追いかける。
「待てわしは・・・」と振り返った時その頭には矢が突き通った。
イリーシュカだ。
次はトルークシュに目掛け飛んできたところを悟空によって救われる。
叔父と話していた部下は「キルク族を追うように二百騎ほどの突厥が西に向かっている」という情報を伝える。
鹿力大仙の予言どおりだ。
悟空はトルークシュに西突厥と交渉をしろと告げた。
そうしなければいつまでもあの凄腕射手に狙われる。
突厥は俺が食い止める、と悟空は言って去る。