前編は2011年12月21日「モーニング4・5合併号」(後編わからず)
タイトルの読みは『げきりょきだん』であります。「げきりょ」とは宿屋のことらしいです。
ネタバレします。
こ・れ・は!
さすが諸星大二郎と言う作品だった。
唐代の中国を舞台にして妖怪をモチーフにしたミステリーという幾重にも困難な設定をして楽しませてくれる。
本作の主人公たる書生くん李信のいで立ちは本来玄奘三蔵の天竺への旅装束として描かれるものとしてここに描写されたのではあるまいか。
冒頭で李信はいきなり妖怪に襲われ逃げ込んだ祠で雨宿りをしていた強面の武人と見える男性に助けられるところから物語が始まる。
雨の中、道連れとなってふたりは旅籠を捜して歩きたどり着いたその場所で事件は起こる。
道家の占い師、謎の若夫婦、こちらも謎めいた美貌のお嬢様、陳とその侍女、馬と毛という商人のふたり連れ、元官吏の男とその下男、そして旅籠の番頭に主人公李信と彼を助けた剣客、劉思命。
李信は旅籠に到着し濡れた着物を乾かす間に先客たちに何かと尋ねられる。
ここで李信はここに着く前に化け物に襲われたところをこの剣客に救われたのだと話す。
これを聞いた道士は「なんでも人を殺して心臓を食ってしまうらしい」とうわさ話を続けた。
この後、部屋で食事をする者、酒や食べ物を買いに雨の中外出する者などがいるうちに殺人事件が起きてしまう。
李信は雨の中酒を買いに走る。
帰り道で蛇を見つけ殺そうとしてその蛇に目がないのに気づきやめてしまうのだ。
それは亡くなった父が目を患っていてそれを思いだしたからだった。
元官吏の下男も食べ物を買いに出かけそれを主人に渡そうと部屋に入って叫び声をあげる。
元官吏の男が部屋で殺され心臓を抜き取られていたのだ。
犯人は心臓を食うという化け物なのか。
そして人に化けるというその化け物はこの中の誰か、なのだろうか。
今回はミステリーということもあって結末は書かないことにする。
さらに本作は『西遊妖猿伝 大唐篇』のスピンオフなのであるから無論本編にまつわるものなのである。
上の文章の中にそのヒントを隠してみた。
雨の降るじっとりとした夜、怪しげな人々、善良な書生くんが巻き込まれた怪異譚である。