ガエル記

散策

『パトリシア・ハイスミスに恋して』エバ・ビティヤ

以前は映画・ドラマ記事を書き続けていた私ですがこの数年(たぶん横山光輝沼にはまってから)マンガひとすじになってしまい映像作品を見ると退屈で耐えられなくなってしまいました。

昨日まで「諸星大二郎作品」に没頭していたのですがアマゾンプライムで本作『パトリシア・ハイスミスに恋して』というドキュメンタリーを偶然見つけて昨今ない鑑賞欲求を覚えてしまいました。

「おもしろくなかったらやめればいいや」と捨て鉢気味に観始めたのですがこれが素晴らしい映像作品で予想しない感激でした。

 

 

ネタバレします。

 

パトリシア・ハイスミスと言う名前で観始めたのに関わらず私は彼女の作品をまったく読んではいません。

知っているのはあの有名な『太陽がいっぱい』&『リプリー』(つまり内容は一緒)の原作者であるということだけです。

なのにピンと来たのはいわゆる直観か神のお告げでしょうか。

 

などというのは冗談として私は彼女が同性愛者であるのも知らずアメリカではそれで有名だったことももちろん今回初情報だったのでした。

いや世の中は知らないことだらけです。

 

本作は脚本、映像、編集が素晴らしいと何度も言いたいのですがそれはそれとして内容が知らないことだらけで驚いています。

アメリカのこういった文化に興味を持っていたはずなのにどうしてこうも何もかも知らないでいたのか不思議すぎるのでした。

 

何度か観返してみようと思っていますがまずぎょっとしたのがレズビアンである彼女がなぜ「男の物語ばかり書いているのか」と言われるところです。

私は知らないわけですが確かに最も有名であろう『リプリー』は男の物語、そして非常に男性同性愛を感じさせる物語であります。

他にはヒッチコック映画で有名な『見知らぬ乗客』の原作者であるのですがこれも男性物語です。(むろん初めて知った)

映像内では別の女性(パトリシアの恋人だった)が「男も女も男の物語を読みたがるからよ」と答えるのですが、私自身そうだろうと思ってはいたことをはっきり言明されて変にびっくりしてしまったのでした。

ならば『リプリー』は女性版を製作されてもいいのかもしれません。

トム・リプリーがもし女性だったら?

物語はどうなるのでしょうか。

 

さて今日は初めてパトリシア・ハイスミスの部屋に足を踏み入れて混乱中です。

これからしばらく彼女の世界を見ていけたらと思っています。