
諸怪シリーズ現在の最終巻となります。
ネタバレします。
宋の頃、京師開封の城外に劉真人、通称五行先生という道士がいた。
その弟子に幼名阿鬼という見鬼の子供がいた。
寵児て燕光、字を青眸、通称燕見鬼と呼ばれるようになった。
「万年楼」
見鬼は呂太公そして漆などを採りたい村民と共に青渓県へと進むが今度は山賊に絡まれさらには追いかけてきた役人たちが皆殺しにあって死んでいるのを見かけ村人たちはついに怯えて鶏鳴村へと帰ってしまった。
見鬼は太公とふたりきりで先へと進むが山の中に大きな石の塔が現れ太公は非常に慄いた。
太公は青渓県にある伝説を語る。
四百五十年ほど前、唐に陳碩真という女が睦州で乱を起こした。自ら文佳皇帝と名乗り江南を基盤に唐の天下にとって代わろうとしたのだが結局敗れて滅んだ。
しかしそれ以来、睦州の青渓県のどこかに天子基と万年楼があってやがて新しい天子が出現すると言い伝えられるようになったのだ。
その万年楼と思しき楼閣が目の前に現れたのである。
見鬼はその目で楼閣を見た。
幻ではないがどこか奇妙なものを感じる。
「入ってみましょう」という見鬼を止め呂太公はどうしても一人で確かめてみたい、と楼閣へ入ってしまう。
待ったが呂太公は戻ってこない。
やむなく見鬼は楼閣へ入った。
暗闇だ。
それでも見鬼の目には見える。
だがめまいがしまっすぐに立っていられなくなった。
そこにいたのは文佳皇帝、陳碩真だった。
彼女もまた「推背図」を見せてみろ」という。
見鬼は剣を投げた。
文佳皇帝は髑髏となり「万年楼の最後の部屋に入れるか」と問うた。
見鬼は楼閣を登りあと少しというところで人影を見た。
だがそこから登ることができず見鬼は手を滑らせ落ちていったのだ。
気づいた場所は元の山の中だった。
が、万年楼も呂太公もいない。
ふらつく見鬼は山賊たちが近づくのを気づいて隠れる。
そこにはずっと推背図を狙っている仇道人がいた。
山賊の頭に「今、鶏鳴村の呂太公の家は娘だけだ。うまく推背図が手に入れば美人の娘はおまえにやろう」などと話しかけている。
見鬼は小玉の身を案じ、急いで鶏鳴村へと戻る。
「鶏鳴村の襲撃」
燕見鬼が鶏鳴村にたどり着いた時、すでに村は山賊らに襲われていた。
村民は必死で抵抗していた。
見鬼は彼らに加勢し山賊たちを倒していく。
が、剣を落とし追い詰められた時、どこからかつぶてが飛んできて山賊にあたりその隙に見鬼は呂太公の屋敷に逃げ込んだ。
小玉はすでに父からの知らせを受けていたという。
彼女はてきぱきと家人たちに命令して防御を固めていく。
さらに小玉はするどいつぶてを投げ山賊たちを倒した。
その鋭さは見鬼も驚くものだった。
小玉は山賊と戦う意志を持っていた。
その様子を伺う者がいた。
仇道人と十四娘である。
「破山剣」
「娘を差し出せば引き揚げてやる」という山賊からの脅しに小玉は姿を出し、山賊の頭につぶてを打ちこんで倒してしまった。
それは気弾と言い「気」を弾丸のようにぶつける威力のあるものだった。
これを見た十四娘は自分が出るという。
十四娘は剣に気を溜め込む「破山剣」で屋敷の門を打ち砕いた。
こうなれば逃げるしかない、と見鬼と小玉は家の中にいる者たちを逃すことにした。
ふたりはおのおのの能力で山賊たちを倒していく。
見鬼は小玉にも逃れるよう告げ自分は十四娘と相対した。
その間に小玉は家人たちと船で逃げようとしたが仇道人が術で風を起こし船での逃亡を妨げる。
十四娘をいなした見鬼は小玉の船が強風で吹き戻されているのを知り剣を投げて仇道人の術を制し道人を川へ落とした。
だが投げた剣を十四娘に打ち落とされ見鬼には武器がなくなった。
十四娘の剣は見鬼の胸元を襲う。
その為胸にしまっていた推背図がまろび出てしまった。
見鬼はそれを掴み「これが真っ二つになってもいいのか」と叫ぶ。
「推背図だね。それをこっちにおよこし!」
その戦いの様子を船の上で小玉は見ていた。
家人の弩を借り気弾を乗せて飛ばした。
十四娘はそれに気づき跳ね返し「ぬうっ、小娘、それならきさまから真っ二つだ」と破山剣を出そうとした。
すかさず見鬼は「十四娘、推背図だ」と小玉の船目がけて投じた。
とっさに十四娘は破山剣を止めたためその勢いは船の舳先を斬り落とした。
さらに見鬼は己の剣を引き寄せ十四娘の腕を狙い剣を取り落とさせた。
その隙に見鬼は小玉の船に乗り移る。
が、見鬼が投げた推背図を一匹の魚がくわえて逃げたではないか。
仇道人の術であった。
さらに剣を持ちなおした十四娘が最後の力を振り絞り見鬼小玉が乗る船を真っ二つに斬りふたりは川面に落ちこんだ。
ふたりはやむなく打ち砕かれた材木にすがって流れていく。
そして魚によって運ばれた「推背図」はとうとう仇道人の手に渡ってしまったのだ。
「燕見鬼、次に会う時は必ず・・・」
十四娘の悔しさだけが残った。