
ブログ記事としては「その19」ですが巻数は16巻となります。
16巻は以前に発売されていたのですが、その時には記事にできず今回17巻発売と共に記していこうと思います。
なお、以前の記事「その18”15巻”」はこちら
そしてカテゴリ『昭和天皇物語』で最初から読むことができます。
ネタバレします。
《第122話 苦労をかける》
「四方の海」をあだ波が立ち騒いでしまっている。
時の流れと共に、ひどく激しく・・・
昭和16年11月5日ー御前会議
陸軍参謀長杉山元は「南方の天候上開戦の時期が延びると作戦は不利になる。武力発動は遅くとも12月初頭と」発言する。
海軍軍令部総長永野修身は「海軍は11月末までにはすべての戦争準備を完了し、しかし戦争直後の作戦が非常に大事でありますから、この作戦を先制攻撃として行うためには、我が海軍の戦争戦略の隠蔽が戦争の成否に重大なる関係があると・・・」と発言する。
天皇はこの言葉に(ハワイ・真珠湾奇襲計画のことか)と考えている。
連合艦隊司令長官山本五十六は広島湾-柱島で軍令部長野大将からの電報を受ける。
「明日、心シテ東京軍令部ニ来ラレタシ」
11月28日外務大臣東郷茂徳、参内。天皇にハル・ノートを提出。アメリカ国務長官コーデル・ハルの対日回答は手厳しいものであった。
政府はこれを米国からの最後通告と解釈し外交・交渉の継続を断念する。
「山本五十六。苦労をかけるな」と声をかけられた。
山本は必死にこらえていた、涙を。
《第123話 ニイタカヤマノボレ》
神奈川県逗子、山下汽船社長室。
山本五十六の親友である堀悌吉は山本からの電話を受ける。
それは堀が浦賀ドックの社長就任を祝うものだった。
そして山本がその日のうちに柱島に戻ると聞き横浜駅で堀は親友を見送った。
暗号電文
「ニイタカヤマノボレ1208」
日本時間12月8日午前零時を期し戦闘行動を開始せよ。
戦争が始まるぞ、と鈴木貫太郎は妻タカに告げる。
「この戦争の見通しは如何に。どこまで何をしたら日本はこの戦争を終わらせることができるのか」
「初期作戦が成功し自給の途を確保し長期戦に耐えることができた時」
「あとは」
「あとは」
「今、先頭を繰り広げている独ソ戦がドイツの勝利に終わった時」
「あとは」
「ドイツのイギリス上陸が成功し、イギリスが我々に和を請うた時」
そのどれも果たし得なかったのだから日本は戦争を終わらせることはできなかったのだ。
鈴木貫太郎は妻タカに「ただ祈るしかできない」と己の歯がゆさを訴えていた。
真珠湾攻撃は数時間後に迫っていた。
しかし山本五十六はまだ知らない。
この日、日本画頼みの綱としているドイツ軍は猛吹雪の中、独ソ戦無念の退却を開始した。モスクワを目前にして。
《第124話 声が聞きたい》
艦位、オアフ島、北二百五十浬(460km)
天候良好なれど積乱雲の去来あわただしく。
空母”赤城”艦上甲航空参謀源田実は空襲部隊総指揮官淵田美津雄に「頼んだぞ」と声をかけた。
真珠湾から6200km離れた日本瀬戸内海呉港には連合艦隊旗艦”長門”がいた。
12月8日日本時間3時過ぎ、奇襲は遂行された。
ここでルーズベルト大統領の演説で「日本の騙し討ち」と表現され、その理由として「外務省職員の電信課員が考えもつかない過ちをした」と外交官重光葵が謝罪する、と描かれている。
その内情は米国に手渡すはずの日本の”開戦通告文”は確かに米国時間7日の零時20分に米国大使館に発信されました。
しかし電信課員の翻訳作業に手間取り、タイプ打ちが間に合わず、開戦通知がアメリカ国務長官に渡ったのは日本海軍が真珠湾を爆撃してから一時間後となった、というのである。
アメリカ政府は事前に察知していたがあえてスルーした、という陰謀説もあるわけだがどこまで行ってもどちらを向いても締まらない。
天皇はこの言い訳を伝えた東條を下がらせ侍従長の百武に訴える。
「わたしは今声が聞きたい。あの男の忌憚のない声が」
その貫太郎は「これで日本は四等国に成り下がる。戦争に勝っても負けても」と愚痴りタカに悔しさをぶつけた。
太平洋戦争もしくは大東亜戦争、開戦。
日本人的にこの戦争をどう呼んでいいのかいまだに口ごもるのですがやはり「太平洋戦争」というのがちょうどいいのでしょうか。
とにかく出だしですでに躓いてしまっている。
アメリカの陰謀だろうがなんだろうが言い訳してもルールを守れない国とされてしまうこの事実はもう消すことはできない。
久しぶりに『昭和天皇物語』世界に戻ったのでなかなか大変でした。
以前一度読んだ時は内容が薄く感じてしまったのですが読み返してみるととんでもない気がしています。
歴史物語は様々な角度で描かれ読まれるものになりますがこの作品にはとても共感して読めています。