
1996年9月朝日ソノラマ発行
このシリーズ読んでいなかったので楽しみです。
諸星大二郎初の少女向け作品と銘打たれています。
ネタバレします。
「生首事件」1995年 ネムキvol.23
初の少女向け作品で『生首事件』という本で初タイトルが「生首事件」
いや少女の趣味をよくわかってらっしゃる。
こーゆーの、男子より女子の方が興味津々ではなかろうか。
しかも第一コマの第一ナレーションが「うちの町内でバラバラ死体が発見されました」興味ないわけがない。
女子高生たちは道草をくってその現場を見に行って噂する。
そして美少女女子高生・栞は同じクラスの友人・紙魚子に「今日うちに来ない?相談したいことがあるんだけど」と言って誘う。
その相談事とは、まさにバラバラ死体の一部である「生首」を栞はパパの釣り用アイスボックスに入れて保管していたのだがパパがアイスボックスがないと大騒ぎして困っているというのであった。
なにもかもがどこからつっこんでいいのかというズレ感があるのである。
そしてそれ以降も少女特有の(?)不思議感覚で物語は展開していく。
友人紙魚子の家は古本屋で「たしかこういうことの本があった気がする」と言って持って切れくれたのが『生首の≪正しい≫飼い方』という本でまたも栞のパパが熱帯魚に凝ってた時の水槽が持ち出され水を張って生首を入れ、餌として熱帯魚妖の乾燥餌を与え布をかけて置いたらいつの間にか餌がなくなっている、という風になる。
紙魚子もイトミミズをおみやげにと買って来てくれてふたりで生首がイトミミズを食べる様子を見たりするのである。
紙魚子は「名前をつけよう」などと言って盛り上がっているが泳ぐ生首をみているうちに栞は「あたし生首を飼いたかったわけじゃないように思う・・・」と言い出しふたりは川にすてることにしたのであった。
バラバラ死体はいまだに頭部が見つからず未解決のままです。
諸星先生、少女のことをこのように考えているはず。
「男にはわからないことをしでかす」
もしくはそうであってほしい、と。
しかし生首拾いたくないな。
「自殺館」1995年ネムキvol24
紙魚子の家は「古本屋」だけど栞の家は「本屋」なのである。
今回の栞は自殺志願の友人・葉子に同情してなんとか自殺させてあげたいと思いつめ『自殺マニュアル』を探すがどこにも見つからず紙魚子の古本屋にないかと尋ねる。
葉子はファンだったロック歌手が自殺したので後追い自殺をしたい、らしい。
親身になっている栞に紙魚子はあきれながらも「あんたの店で取り寄せれば」というと「それでは遅すぎる」と葉子は言うらしい。
紙魚子の古本屋にもその本はないが代わりに『自殺のススメ』という本を葉子に見せ「156ページを読んでみて」という。
そこには「○○町の自殺館を訪ねてみるとよい」とあった。
その店はほんとにあった。
栞、紙魚子、葉子の三人が中にはいってみるとそこはカレー屋だとわかる。
「ギロチン風ビーフカレー」などがある。
栞は「きのこカレーベラドンナ入り」を注文する。
注文をとり給仕をするその店の主人は不気味な容貌の持ち主だった。
そして三人が持ってきていた本『自殺のススメ』を見て「その本は私が書いた」という。
主人は三人を二階に連れて行く。
そこには様々な自殺をしている人形を置いた博物館になっていた。
「お嬢さんたち、どんな方法で自殺したいのかな」
葉子は逃げ出し、紙魚子はトイレでギロチンを体験し、栞は奇妙な幻想を見てしまう。
なんとか紙魚子と栞もその店を抜け出した。
葉子は自殺を取り止め別のアイドルを追いかけだした。
その後「自殺館」は何度行っても見つからなかった。
いやどんな意味でも行きたくないな。
「桜の花の満開の下」1995年ネムキvol25
今回は女子四人組で花見を楽しもうとするのだがお花見の場所を選んだのが紙魚子だったためにとんでもない経験をしてしまう、という話。
紙魚子が参考にしたのは三春面太郎『古木探検』という本であった。
「いつもは咲かない桜の花がある年だけ見事に咲くという。今年がその年になる」という説明をする。
他の三人は「どういうことなの?」と意味を知りたがるが紙魚子は「うふふ、当ててみる?」と問い返す。
その時「誰か死んだのではないかね」と答える者たちがいた。いつの間にか桜の樹の向こう側で宴会をしている数人がいたのだ。
紙魚子は「当たりです」と答えその年にこの桜の樹で奥さんが首をつって自殺したのだがその後年忌のたびに桜の花が咲くのだという。
今年はちょうどその年になる上に作者の一周忌でもあるという。
そして紙魚子の問いに答えたその人たちは「百年に一度の花見じゃ」という平将門を討った平貞盛の武将たちであった。
彼らは将門の残党どもを討ち一千の首を切ってここに首塚を築いたところ、五十年のちに見事な桜の樹が生え百年ごとに怨念の花を咲かせる。
平貞盛の武将たちは冥府より見物にくるというのである。
武将たちは四人組のカラオケマイクを奪って楽しんだ。
栞たちがいる一枝だけまともな桜の花が咲いていたがその枝には三春夫妻の首吊りがぶら下がっていた。
貞盛の武将たちには怨念の桜の花びらが食らいつく。
「これもまた一興じゃ」
そして三春夫妻たちもまた「こんな因縁のある木だとは知らなかった」「ごく些細なケンカがもとで首を吊っちゃって」などと話し合う。
四人の少女たちは桜吹雪に叫び声をあげたのだった。
騒ぎは終わった。
紙魚子は言う「これも一興じゃ」
いやこれも体験したくないから。