
自転車二人乗りを描くのは難しいよね。
ネタバレします。
「ためらい坂」1995年ネムキvol.26
物凄い急勾配の坂なので下から見上げた時躊躇ってしまう、という「ためらい坂」
坂道はあの世に続いていると紙魚子は栞に話しかける。
イザナギは黄泉の国へ行き化け物に追われながら黄泉津比良坂を上って逃げるのだと。
栞は自転車でためらい坂を上り始め途中で挫折して戻ってしまうのだが、「ためらい坂を上り始めたら最後まで上らなければならない。途中で引き返したら悪いことが起きる」という言い伝えを忘れていたのである。
栞は坂道を戻りそこにあったケーキ屋に入ってケーキを買った矢先、タンクローリー車にもう少しで当てられてしまうところだった。
伝説通りに悪いことがおきたのだ。
そしてその後も栞はタンクローリー車に何度も遭遇し危ない目に会う。
しかし物語は意外な方向に展開する。
栞がケーキを買って友人たちで食べ「すごく美味しい」と評判になったその店は10年前に無くなっていたのだ。
実は10年前そのケーキ屋にタンクローリー車が突っ込み一家全員亡くなったのである。
紙魚子はいつもの不思議知識を披露する。
日の暮れかけた頃に「ためらい坂」を降りていき、前に引き返した地点まで行ったらそこから戻って坂を上り切れば呪いが解けるというのである。
紙魚子は後ろに栞を乗せて自ら自転車をこぎ「ためらい坂」まで行くがまたもタンクローリー車に出くわしふたりはケーキ屋に突っ込んでケーキ屋一家(つまり幽霊)と共にタンクローリー車を攻撃してやっつける。
が、ハッと気づくとケーキ屋は消えていた。
「ケーキ、美味しかったのになあ」と残念がる栞に紙魚子は「こっそりいただいてしまったの」と見せる。
ふたりで帰ってケーキを切って食べようとしたところ、ケーキが爆発し部屋中クリームだらけになってしまう。
うーん。うーん。ケーキが爆発、はやっぱり萩尾望都だと思うんだよなあ。
デビュー作品だけど。
「殺人者の蔵書印」1995年ネムキvol.27
今回はマジで怖いお話である。
紙魚子の古本屋で栞は一冊の本を読みだし「これ借りていっていい?」と無理矢理持って帰ってしまう。
「虹色の逃走」というミステリー風のラブロマンスでエミリーがジャックの寝顔を見ている、というページにたどり着いたところで栞はそこに長い髪の毛がはさまっているのに気づく。
さらに読み進めると小説に登場する公園の描写がちょうど通りかかった公園にそっくりだと思い不思議になる。
なぜなら作者はイギリス人で舞台もそこだからだ。
ところがその公園で淳子が佐上という異常者に殺されるという描写となり栞は「ヒロインの名前はエミリーじゃなかったかしら」とページを戻る。
そうだ、髪の毛がはさまっていたところから急に話が変わっていったのだ。
小説は佐上が淳子の死体を川に捨てに行くところとなる。
「本を返せ」
とつぜん男が現れ栞の持つ本を奪おうとした。
栞は慌てて逃げ出した。
男が追いかけてくる様子はない。
「あと少しだから読んで返してしまおう」と栞は読み進める(ここがこの子の不思議なとこなのよ)
またも小説に同じ名前の橋が登場し、しかもページが汚れている。
「その本を渡せ」
先ほどの男が再び現れた。
栞の手から本が落ちた。
下は川だった。
その水面から手が出て本を受け止めた。
男は川に入ってその本を奪い返そうとした。
その手の主は殺された淳子であった。
栞のうしろから紙魚子と警察官が走ってきた。
「だけどなぜ佐上はその本を売ってしまったのかしら」
「それがその本を売りに来たのは若い女性だったらしいの。びしょぬれの」
これ・・・名作じゃないか。
「ボリスの獲物」1996年ネムキvol.29
女子といえばケーキ、そして猫。
そして栞は何かしらの裁縫をしているのだが、またしても萩尾望都『小夜の縫うゆかた』を連想してしまう。(いや別にいいんだけど)
裁縫をしていた、というのがつながっていくのだから。
紙魚子は「ヨグ」という「何か」を探している不気味な包みを持った変な幼女に出会う。
栞の部屋にはボリスという名の猫が不気味な「何か」を咥えて入ってきて振り回し、頭部を栞に見せた。
そこへ来た紙魚子とふたりでばらばらになっている不気味な「何か」を縫い合わせた。
体液(!)で手が汚れたふたりが洗面所に行ってる間にその「何か」はいなくなってしまう。
裁縫の針が畳に突き刺さっていたり鋏が天井から落ちてきたりという謎現象が起きた後、あの幼女の「ヨグー」という呼び声が聞こえた。
栞たちはあんな変な女の子と関わり合いたくないとお茶を飲むことにした。(こういうのがおかしいんだよね)
がキッチンはめちゃくちゃに散らかっていて包丁もなかった。
その途端あの「何か」(たぶんヨグ)が包丁を持って襲いかかってきたのだ。
ふたりの絶体絶命の時、ボリスが「何か」にとびかかりまたも頭部をひきちぎって食べてしまったのだ。
残りの身体は逃げ出しあの幼女に叱られながら連れていかれた。
ボリスのお腹は大丈夫だった。
「それぞれの悪夢(ナイトメア)」1996年ネムキvol.30
「ボリスが人間だたらいいのにねー、一回でもいいから人間にならないかなー」と栞が言ったため、ボリスが人間になってしまう。
普通こういう時、美少年か美少女になりそうなものだけど六歳の雄猫は40代のかなり不細工なおじさんになってしまう。しかも(当たり前だけど)全裸である。
栞の足にすりすりする全裸おじさんに栞は慌ててパパの服を着せる。(洗濯前の)
目の前でトイレをしようとし、ネズミを咥えて自慢しに来てさらには栞の上に乗っかってもみもみをはじめる。
栞はあまりの重さにうなされた。
夢だったのだ。
こ、これは少女マンガというか青年マンガ向けではないのだろうか。
(それにしては弱いかもだが)
あまりに面白すぎて後悔している。
もっと早くに読んでおけばよかった、と。