
ネタバレします。
「本を読む幽霊」ネムキ 1996年9月号
栞と紙魚子は”蔦屋敷のお嬢様”と呼ばれている鴻鳥友子から突然招待を受ける。
格別親しかったわけではないが何か相談したいことがある様子であった。
友子は紙魚子に「陳氏菜経」という本を持ってきてほしいと頼んでいた。
実は友子の住む屋敷に最近幽霊が出るのだが、その幽霊が「陳氏菜経」を読んでいるというのである。
突拍子もない出だしだ。
しかし豪華な屋敷には友子以外誰もいず夕食も何もないというので紙魚子はやむなくカップラーメンを買いに行くのだった。
だが食事をする前、夜の八時を柱時計が告げると友子の言った通りに片手に本を持ち片手に包丁を持った女の幽霊が現れ廊下を歩いていくのが見えた。
ところが古本屋の紙魚子が気になったのは、幽霊が「陳氏菜経」のどこを読んでいたのか、ということだった。
栞は「それなら紙魚子が持ってきた本を読めばだいたいわかるのじゃない?」というが「問題はあの本が完全版かどうかよ」と答えたのだ。
「陳氏菜経」は中国、明の時代のグルメの宦官が書いたもので様々な料理が網羅されているが戦後に出た手持ちの本は最後の項目がカットされている。しかし幽霊の持つ本が完全版なら・・・と紙魚子は考え込むのだった。
この後、紙魚子がカップラーメンを作り行った間に栞は捕えられ女幽霊に食われそうになる。
「陳氏菜経」のカットされた最後の項目に書かれていたのは「人肉料理」だったのだ。
グルメだった幽霊の母娘は娘を友子にとり憑かせ人肉を手に入れようとしたのであった。
紙魚子が熱いお湯を入れたカップラーメンを幽霊たちに投げつけるとグルメ幽霊たちはまずさにあえいで消えていった。
そして紙魚子は稀覯本である「陳氏菜経」の完全本を手に入れたのであった。
「青い馬」ネムキ 1996年11月号
霧深い日に栞は公園で青い馬を見る。
美しい幻想的なイメージである。
「青い馬」といえば「死」を暗示させるものと思うのかもしれないがそれはあくまで西洋的キリスト教圏のものであり本作にはそれを見た栞に「死」が近づく様子はない。
諸星氏はキリスト教的なイメージを取り入れていない気がする。
どちらかといえば不思議の国のアリス的な展開で栞は商店街で奇妙な体験をし紙魚子に出会う。
紙魚子と連れ立ってからはますます不思議の国の色彩が濃くなり女王様のように威張り散らすおばさんが登場する。
いつの間にか町の人々(おばさん以外男ばかりだが)がゴブリンになってふたりに襲い掛かってくる。
そこへ公園で見た青い馬が、いや、青いユニコーンが欠けてきてゴブリンたちを追い払ってしまう。
ここで「このゴブリンたちが恐れるのは一角獣である」という説明をするがユニコーンが出てくると必ずされる「処女になつく」という表現も諸星氏は取り入れていない。
とはいえそもそも栞と紙魚子の幻想的な物語に登場させていることに甘美性を感じる。
「おじいちゃんと遊ぼう」ネムキ 1997年1月号
クトルーちゃんの家にママの方のおじいちゃんおばあちゃんが遊びに来た話。
といってもそのおじいちゃんおばあちゃんの姿はほぼよく見えなくてとにかく大きななにかが現れそして去っていく時に町が強風にあおられ全半壊してしまった家屋が多々、ものも吹き飛ばされけが人も続出したという騒ぎになる。
喜んだのはクトルーちゃんだけ。
そして段一知先生のところへ原稿を取りにきた編集者さんがどうなったのか。
というか段先生ってものすごい人物なのではないか。