
ネタバレします。
栞の住む胃の頭(いのあたま)町に記録的な大雪が降った、という話。
ますます悪ふざけ(諸星先生の)が酷くなっていく。
この辺のふざけ方も萩尾望都っぽい気がするんだけどたんに1949年生まれのギャグなのかな。
萩尾氏の『キャベツ畑の遺産相続人』ぽいテイストを感じる。
とはいえ、学校の先生たちが化け物たち、というのはいいなと思う。
毎日たいくつしなさそうな町である。
「足跡を追って」
雨降り後に栞と紙魚子は「いきだおればったり」の老人に出会う。
声をかけるふたりに老人は「それより、あのあとを追わねば」と言いふたりに「この足跡が消えないうちに追って行先をつきとめてほしい」と頼みどこかへ行ってしまう。
その足跡の主は「アッチー」だという。
ふたりは呆れながらもその足跡を追った。
その途中でふたりはムルムルたちに出会う。
もうすでに当たり前に登場する。
最近は町のあちこちで見かけるらしい。
ふたりはしばらく公園でムルムルダンスを眺めてしまう。
ムルムルはダンスをしながら数を増やしそして逆に減ってしまう。
ふたりはアッチー探しを再開する。
蔦屋敷では両親とともに友子さんがバーベキューをしていたがまたも取り憑かれて人肉を食べたがっていた。
さらにホラー映画撮影をしている同級生らに出会うがふたりは無視して通り抜けた。
紙魚子は気づく。
「これは・・・痕跡しか残さない動物なのじゃないかな。実体は誰も見たことがない。初めから痕跡しか存在しない生物」
ふたりが足跡をずっと追い続けると最初老人と出会った場所に出た。
老人はふたりが足跡を追いかけていなかったと怒り出す。彼はラーメンチャーハンギョーザを食べに行っていたらしい。
「やっぱり人にはまかせられんて。今まで足跡しか見つけられなかったが、今日こそ」
「黄昏の胃之頭公園」
栞の書店で段一知先生のサイン会を行うことになりその間栞はクトルーちゃんのお守りをすることとなる。
やむなく栞は紙魚子を頼み公園へと向かう。
クトルーちゃんはやはり大暴れしふたりは振り回される。
その公園にはデフォルメ顔の三人のお母さんたちがベンチに座って噂話をしていた。
黄昏時になるとベビーカーを押したヤンママ風の女性があらわれるのだという。
そのベビーカーの中に子供か義父か夫の死体を乗せている、というので意見が割れていた。
そしてまさにそんな若い女性がベビーカーを押してきたのだが三人はベビーカーを覗き込まないように気を付けてやり過ごした。
ベビーカーの中を見てはいけないのだ。
ふたりはクトルーちゃんを見失う。
クトルーはムルムルたちとダンスをしていた。
奇妙なムルムルが増えだして栞は慌ててクトルーを捕まえる。
といって簡単につかまるクトルーちゃんではない。
公園で酒盛りをしているホームレスと絡みあっているとあのベビーカーを押す女性があらわれたのだ。
「ベビーカーの中を見てはいけないわよ」
と言いながらふたりはベビーカーに何かわからない怖いものが乗せられているのを見てしまう。
栞はホームレスの酒を飲んで自分を誤魔化した。
が、クトルーちゃんに怖いものはない。
ベビーカーの女性に「遊ぼう」と絡む。
ベビーカーママは驚いてクトルーを振り払った。
栞と紙魚子は酔っ払ってしまう。
ハッと気づくと周りは暗くなっていた。
ふたりはあわてて帰宅したが困ったのはムルムルたちの中に栞の紙魚子にそっくりな顔が見かけられたことだった。
ふたりは何をしてしまったのか。
「空き地の家」
栞と紙魚子の通学路からちょっと入った小道に空き地があり、ある日そこを通りと見慣れぬ家が建っていた。
ドアが開いていてふたりはなんとなく中を覗き込んでしまう。
誰もいないがテーブルにクマのぬいぐるみと本が数冊置いてあった。
栞はむずむずとしてつい中に入りテディベアを「もらっていこう」と抱きかかえた。
紙魚子から注意され慌てて戻すがそういった紙魚子もテーブルに置いてある本が幻の希少本と気づくといそいそとカバンに積めこんでしまう。
「なにやってんの、私たち」といいながらまたもそれぞれにものを持って帰ろうとして慌て元に戻して逃げ帰った。
それを見たテディベアが「ちっ」と舌打ちをする。
その後、同じように町の人々が「自分が欲しいモノ」をこの家で見かけて持ち出し、それがかってに動き出して町が大騒ぎになる。
最後は家がすべての化け物を呑み込んで消えて終わる。
「頸山のお化け鳥居」
突然いつもの諸星大二郎になる。
出だしは「たまごっち、くれえ」という他愛のない話から始まった。
C組の園田まり子がそんなことをいうお化けに出会って寝込んでしまったのだ。
そして「誰かがお化け鳥居に呪いをかけたのだろう」という噂が立つ。
そんな時、栞と紙魚子は去年まで同じクラスだった後藤ゆかりから頼み事をされる。
「頸山神社まで一緒にいってくれない?」
ふたりはゆかりと共に電車で駅ふたつ先の首山へ行き頸山城跡にある頸山神社へと向かう。
そこには石でできているような不気味な形の鳥居が連なっており願い事をすれば叶うという噂があるらしい。
その連なった鳥居の下を通っていき、先にある石に向かってお祈りをするだけだという。
そのお礼に鳥居を奉納するのだが代わりにその石に自分の血を混ぜた赤い絵の具で鳥居を描けばいいというのだ。
ゆかりはそれをやったらしいが忘れ物をしたので栞たちに代わりにとってきてほしいというのである。
栞と紙魚子はその鳥居を潜り抜けそして石から十三番目の鳥居のあたりを探した。
するとそこに「たまごっち」があったのだ。
家に帰った栞に夜、電話がかかってきた。ゆかりからだった。
今から頸山神社に行ってたまごっちを返したいからまた付き合ってという。
栞は断ったが気になり紙魚子とともに頸山神社へと向かう。
ゆかりはすでに一人で行ってしまったという。
到着する間にふたりはこの事件について語り合う。
ゆかりが園田まり子と「たまごっち」にことで喧嘩したらしいという。
そして紙魚子は頸山神社ができる前あのあたりは古い国境だったと話す。
昔は境界とか辻はあの世とこの世の境だと意識されていたのだ。
そして道はいろいろな魔や悪いものの通り道でもある。
たぶん、街道が変わったことで魔界からあちらへいけなくなったいろいろな”もの”があの石に籠ったのではないか。
ふたりが神社に到着した時、ことはすでに終わっていた。
ゆかりは行方不明になってしまった。
ゆかりはたまごっちを手に入れるため魔と契約し望みが叶った代わりに自らが鳥居と化さねばならなかったのである。
が、ゆかりが鳥居となっても門は開かなかったのだ。
この著書でもっとも怖い話であった。
ゆかりはたまごっちを手に入れるため鳥居となった。
「ラビリンス」
栞たち四人組は巨大迷路を売り物にしているアミューズメントパークへと遊びにいく。
閑散とした遊園地には以前とおなじ迷路があるだけ。
だが何か新しい趣向があるというのである。
人はそこそこいた。
入り口でそれぞれカードをもらい人に見せてはいけないという(これ、『BOX』のよう)
栞たちは迷路を歩き出すがいつの間にか早苗とマチコがはぐれてしまった。
栞は紙魚子と手を握り出口を探すと案外あっさりと見つけて外へと出てしまった。
早苗とマチコは見つからなかったがつまらないので帰ってしまったのだとふたりも帰路に就く。
ところがその時から栞はすべての道が迷路になってしまう。
家の中でもキッチンに行こうとしてもどこへ行こうとしてもそのまま行けずいろいろな場所を通ってからでないと行けなくなってしまった。
その代わり紙魚子の部屋には物置の戸を開けただけで押し入れのフスマにつながっていた。
栞は一か月のあいだトイレに行きたいだけでも様々な場所を通り抜けてしかいけなくなり風呂場にいくにも大変なのである。
栞はいろんな道を探し続けやっと図書館で本を読んでいる紙魚子を見つけ出す。
紙魚子が脚立の乗って「胃の頭ワンダー・ラビリンス」の本を取ろうとした途端、脚立ごと本棚も倒れ、そしてもとの胃の頭ワンダー・ラビリンスのゴール前に出たのだった。
ふたりがゴールの扉を開けると大きな風が吹き抜けラビリンスの壁を全部倒してしまった。
そこに早苗とマチコもいた。
「とんだアトラクションだったわね」
その後、「胃の頭ワンダー・ラビリンス」は閉鎖した。
ふむふむ。
この「ラビリンス」もまた非常に諸星大二郎らしい。
というかどれも諸星作品らしいのではあるが。
私的にはやはり「頸山のお化け鳥居」
怖かった。