
1973年アメリカ制作
流れでどうしても観てしまった。
やはり面白い。
ネタバレします。
ホラー映画の金字塔なのだが子供時代に観た時は良さはわからず変な脅し方をするし大の大人の男がふたりなんだかなあと思っただけであった。ヒロインの愛らしさも理解できてなかった。
時を経て再鑑賞して素晴らしさに感動した。
そしてリンダ・ブレア演じるリーガンが愛らしく可哀そうでならなかった。
それほど人間の成長による感受性は変化するものだとも認識できた。
『エミリー・ローズ』では女性が戦わなければならなくなった、と書いたがいくら何でも12歳の少女は救助してあげるべきだと思う。
本作でもリーガンの苦悩はそれほど詳細に描かれるわけではない。
だがそれでも父親は家族を顧みず娘の誕生日に言葉一つかけようとしていないこと、母親は娘を心底可愛がっているがリーガンの父親を罵る声が娘には辛く聞こえていたのだろうと思わせる。
内気そうな繊細そうな少女がそうした苦悩を溜め込んでしまったのだろう。
本作で奇妙な存在の人物がいる。
バート・デニングズ。
リーガンは母親クリスが映画監督でもあるこの男と結婚したいのでは、と考えている。
それについてもあまり本作では描かれていない。
デニングズはぱっと見「ステキな男性」には見えない。
しかもリーガンの家の使用人カールにむかって「このナチスめ」などと罵声を浴びせる嫌味な男でもある。
なのにリーガンが母クリスがこの男と結婚しようと思っているのはふたりのなんらかの愛情表現を見るか聞くか感じたのだろう。
観客もきっとデニングズに好意は持てない。
とすればリーガンもまたデニングズに嫌悪感を持っていたのではないか。
さらに奇妙なことに母クリスが留守中に使用人が買い物に行きその間にデニングズだけが家にいてさらにその直後デニングズがリーガンの部屋から落ちて死んでしまう、という不気味な事件が起きる。
デニングズの首は真後ろにねじれていたという・。
なぜデニングズがリーガンの部屋に行ったのか、何故その直後死んだのか。
母クリスはリーガンがデニングズを殺したのだ、と疑念を持つがどうしてそんなことになったのか、については追及されない。
デニングズがリーガンになにかしようとしたのか、それはわからないが少なくともリーガンが母親と関係のあるデニングズに嫌悪感を持っていたのは確かだろう。
そのためにデニングズは窓から突き落とされその首は真後ろに曲がったのである。
リーガンを救うためにふたりの神父が力を合わせて戦う。
その結果、リーガンは救われるが代償はふたりの神父の死だった。
その後、リーガンは何も覚えていないことがわかり母クリスもまた恐ろしい出来事のあったその家から逃れるようにして去っていく。
アメリカのヒーローは正義のために死なねばならないという。
特にキリスト教の英雄はそうなのだと。
ところで今回”リーガン”の名前は『リア王』の次女からとられたと知った。
なぜなのだろう。