ガエル記

散策

『マッドメン』諸星大二郎 その4

『マッドメン』第Ⅱ部

 

この話は波子がコドワと知り合いそして彼がニューギニアへ帰っていった後から始まる。

 

波子が住む家に突如奇妙な男が現れる。

その男は東京の宅地造成地の土中に裸で埋まっていた。

一見日本人に見えるのだが何故かカタコトのガワン語だけを話すその男は救助された病院を抜け出し波子の家を訪れたのである。

そこにミス・バートンが現れ事情を説明。彼をニューギニアに連れて行くというミス・バートンに波子は「一緒に行きたい」と言い出した。

 

キリスト教布教の強引なやり方を目の当たりにする。

さらに山のてっぺんの村に大きな飛行機の模型があるのを知る。

それは以前住んでいた村人が「飛行機」を祖先の国からやってくる鳥だと信じて降りてくるのを待ち作った物であった。

 

日本から連れてきた「奇妙な男」に波子は「ピキ」という名を付けていた。

ピキは真夜中にひとり森の中へと入っていった。

後を追いかけて行った波子は道に迷い森から出られず眠り込んでしまう。

目が覚めた時、そこにいたのはコドワであった。

 

コドワは「ピキ」を知っていて森の中に呼んだのだという。

彼は間違えた場所に生まれたため儀礼を行うのだ。

「ピキ」は今、森の秘儀によってガワンの人間となって生まれ変わった。

 

 

村では宣教師たちが現地の精霊堂を壊していた。そして村人に「気ままな暮らしは正しい幸福ではない。自分勝手な不潔な喜びだ。君たちは正しい生活をしなくてはならない。野蛮な風習や迷信を捨てて主に祈りを」と説いた。

村人の心は傷つき散り散りに去って行った。

 

宣教師たちはヘリコプターでコドワと波子の居場所を見つけコドワを問いただす。

が、そこは「デマの聖域」だった。

コドワは叫ぶ。

「おまえたちは何も知らない。おまえたちが馬鹿にしているあの小さな村の住人こそお前達の聖書がいう無原罪の人間なのだ」

 

 

気絶した波子はミス・バートンたちに救助された。

コドワはいなかった。

村人はいなくなり遠い空にあの模型の飛行機が飛んでいくのが見えた。

そしてデマは立ち上がり宣教師たちに告げた。

「もう彼らにもこの森は楽園ではない。もう地上に楽園はない」

デマは地底のデマの国へと戻った。

宣教師たちもろともに。

 

やはり凄い。

あの一巻の後にはどんな話も軽くなってしまうと思ったのだけど。

誤魔化すことなくじっくりとした語り口だけどロマンチックであるという。