
「乳房」という言葉がタイトルにあるとなにやら恐ろしい感じがするので読むまいとしていたが昨日の「怨霊十三夜」シリーズだったので読む羽目になる。
ネタバレします。

1976(昭和51)年9/10号~'77年6/24号「漫画TIMES」
『おきせの乳房』――怨霊十三夜 その二夜
思った通りに恐ろしい話だった。
というかこの話もともと『怪談乳房榎』という三遊亭圓朝の創作噺が下敷きになっていると初めて知った。歌舞伎にも映画にもなっていたのか。
学びになった。
『怪談乳房榎』ではとある浪人が菱川重信の妻おきせに片恋し菱川の弟子となり子どもを殺すと脅して無理矢理関係を持ってしまい重信を惨殺する、と書かれている。
本作『おきせの乳房』ではそのあらすじを辿りながら濃密なおきせと男、菱川重信とその子供の心理が描かれていく。
上村一夫作品も父母の愛を求めながらも愛されない子の寂しさがある。

『刺青心中』――怨霊十三夜その十一夜
温泉に入っているひとりの女の眼前で人斬りが行われた。
ふたりの男を斬り捨てた男の裸体には蛇の刺青があり女の目は殺戮よりもその刺青に戦慄した。
男の蛇の刺青は脇のところできれている。
男は「ここをつないでしまうとあっしはこの蛇に締め上げられて死んでしまうのだ」という。
そして男はそれを望んで同じ彫り師を探しているのだという。
男はついに彫り師を見つけ女の目の前で蛇を繋げた。
女は蛇の男に抱かれた。
だが女は敵討ち途中の夫がいた。
夫は敵討ち相手を見つけ刀を向けたがその腕はあまりにも拙かった。
蛇の男は代わりに敵討ちの相手を殺しその刹那、刺青の蛇に巻き付かれた。
女は蛇の男に取りすがり泣いた。
夫は妻の不義密通を察して女を殺す。
蛇男とそれに恋した女は念願どおりに死んだのだった。
巻末に「単行本初公開 上村一・デビュー作品」
『カワイコ小百合ちゃんの堕落』
『カワイコ小百合ちゃんの昇天』
が同時収録されています。
実際は四色のオールカラー掲載なのをモノクロ印刷での収録のためもあって非常に見づらいものとなっています。
あえて読み込もうとは思えず「なるほどなあ」と眺めました。
巧いのは確かです。
思わぬ収穫でした。