ガエル記

散策

『60センチの女』上村一夫 その1

1977(昭和52年)年9/8号~78年11/23号「漫画アクション

なんか、これ以降のいろいろなマンガ作品に影響を与えていそうな気がします。

 

 

ネタバレします。

 

岩手県の実家の農業を「継ぎたくないため」上京し劇画家になろうとしている健二はボロアパートの隣(のボロアパート)に越してきた不思議な女と奇妙な関係になる。

健二の劇画はいっこうに日の目を見ないが女の出現からなにかと彼の周囲はゴタゴタが絶えない。

さらにその女が来てからボロアパートの上には謎の円盤が時折現れては意味不明の現象を起こすのだ。

不思議な女はなにも持っていなかったがその夜からキャバレーで働き始めあっという間に室長として認められゴージャスな生活をしていくのだが。

 

現在でもこういう「突然不思議な美女が主人公男の前に現れて」という設定のマンガは多かろうと思えるがなんといっても本作で語られるエピソードが「昭和感」にあふれていてスゴイ。

 

謎女が「キャバレーで働きだす」というのは掲載誌の傾向上仕方ないことかもしれないが今現在の目で見るとなぜそこと思ってしまう。

田舎から出てきた健二のおっかさんの深い愛情。コテコテのレズビアン描写。そもそも謎の円盤と宇宙人という発想。

しかし上村一夫氏のずば抜けた画力と語り口で読んでしまうのだ。

 

そして「宇宙人といえば侵略」という恐れがやはり戦争を体験した世代の呪いのように思える。

誰かがやってくるのは侵略するためなのだと考えてしまう戦争世代。

その世代のマンガを読んできた私たち世代もまたそういう疑いは持っているが戦争世代の「侵略だ」感は凄まじい。

って自分たちの前世代が侵略していたんだが、自分たちの前世代がしていたから他の奴もするだろうと思うのだろう。

 

そして昭和世代の価値観が悲しい。

遊びの感覚が悲しい。

しかし本作が他の上村作品と違うのはヒロインの60センチの女が他の女とはまったくちがう存在だからなのだ。

 

その描き方がうまい。