1975年「ビッグコミック」
初めて一ノ関圭を読みます。
ネタバレします。
作品歴の最初にこのタイトルがあるので本作が処女作となるのだろう。恐ろしい才能である。
というより以上に今の私が「日本近代史」「明治期の日本美術界」「日本近代の女性」というカテゴリに最も興味を抱いていてそのすべてを兼ねているのでのめりこまないわけにいかなかった。
ここに求めていたものがあったのか、という思いで読んでいった。
しかも主人公の柘植が執心しているのが青木繁という設定なのも自分的にはぐっとくるものがある。
柘植は悲しい男だ。
描ける腕を持っているのに「青木繁になれない」というので彷徨い続け「青木の女」だったということで自分を愛してくれていた女を憎む。
読者は柘植の卑屈さを見せつけられ笑いながらも自分自身を見る思いもするのだ。
その青木もまた若くして死んでしまった。
柘植はなにもかも失い青春を終える。
作画の卓越した巧さに驚くのは当然だがそれよりも大学在学中ニ十歳頃にこの人生の切り取り方の上手さが凄い。
そしてここでまたひとつ謎を解いてしまった。
先日、山岸凉子のマンガ作成が上村一夫からだと気づいた時のようにそれはなにかのパクリのようなものではなく「影響を受けた」という種類なのだが。
いやこれもまたマンガ史の流れを見たという嬉しい驚きだった。
さてなぜ突然知らなかった一ノ関圭を読みだしたのかという理由はこれです。
いつも楽しみにしている「サンデーマンガ倶楽部」今回夏目房之介さんをゲストにしての『一ノ関圭 らんぷの下』でした。
私は「一ノ関圭」は上村一夫以上にちらりとも知らなかったのですがこの動画配信を見てすぐさま購入したのでした。
どこで誰に何に出会うのか、わからないものです。
夏目房之介さんの次回は杉浦日向子『百日紅』でこちらはタイトルは無論知ってはいたものの未読なのですぐさま購入。
楽しみでしかない。