ガエル記

散策

『霧の旗』山田洋次/原作:松本清張/脚本:橋本忍

1965年「松竹」

松本清張原作は1959年~60年「婦人公論

 

おもしろい!!!

久しぶりに「おもしろい!!!」と叫びたくなるような映画だった。

なにこれなにこれ!

どうしてもっと早く観なかったのか?

再上映してほしい。

 

 

ネタバレします。

 

 

正直言うと山田洋次監督が嫌いで観るのを躊躇ったのだけど(寅さん苦手)掌返しだがさすが山田洋次監督、実直な撮り方が巧い。

先日の「初のホラー映画を撮った篠田監督のやっぱりダメ」の逆で真面目な映画を作る人のミステリーの良さがあった。

 

そして山田洋次男はつらいよ』さくら役の倍賞千恵子の演技に見入ってしまった。

上のポスターを見ただけで本作ヒロインの性格がわかるがこの時代にここまで強い女性を描いた作品はそんなになかったのではなかろうか。

九州女の強さ、がきりりとした太い眉に現れているようだ。

 

 

熊本でふたり暮らしの兄妹。兄の冤罪をはらしたくて妹の桐子は東京の有名な大塚弁護士に弁護を依頼したくて上京する。

だがその弁護士料は高額で二十歳の桐子に払えるようなものではなかった。

大塚弁護士は彼女の依頼をあっさりと断った。

兄は罪を被ったまま獄死した。

 

大塚は妻と折り合いが悪く美しい愛人を囲っていた。

ところがこの愛人女性がとある殺人事件の容疑者となってしまう。

この事件で彼女の無罪を証明できるのがなんと桐子だったのだ。

 

が桐子は大塚の愛人の無罪証言を拒否したのである。さらに証拠物となるライターを桐子は盗んでしまう。

愛人だけが心のよりどころである大塚は以前のことを謝り桐子に証言をしてくれ、ライターを出してくれと土下座して頼む。

だが桐子はさらに大塚に迫って肉体関係を作り「強姦された」と言い出す。

 

怖ろしい桐子の強情。

最期に証拠のライターを「絶対に渡すものか」と海に放り投げるのだ。

この毅然とした態度よ。

連載したのは『婦人公論』つまり女性の読者に向かって書いた作品だ。

原作は読んでないが胸のすく思いであっただろう。

 

いったん大塚の謝罪に同情したかのように見せてさらなる意地を張ってみせる。

倍賞千恵子のまっすぐな気の強さ。

 

松本清張作品にますます惚れ込んでしまった。