ガエル記

散策

『この子の七つのお祝いに』増村保造/原作:斎藤澪

1982年「松竹」

ずっと以前に鑑賞したのだけど、すっかり忘れてしまい再鑑賞したいと思い続けていました。

なにやら恐ろしいという記憶だけがありました。

 

 

ネタバレします。

 

 

「ものすごい」と形容するしかない不思議作品だ。

増村保造監督作品は一時期かなりの数観ていたので作品の面白さ、映画作りの上手さを知らなかったわけではないが久しぶりに改めてその異質な才能を確認した。

 

原作を確認しようと覗き込んだけど正直今のところ原作小説には惹かれなかった。

しかし映画には不気味な魅力がある。

岩下志麻演じるマヤがレイコを殺す場面はレクター博士が快感を覚えながら看守を叩き殺す場面と似ていた。

またかつて自分が抱いたコンプレックスを子どもに言い聞かせて洗脳していくのは『ジョーカー』を思わせる。

 

本作映画は異常な精神と心理を扱った映画だ。

現在ならもう少し違ったアプローチになるだろう。

マヤがこの年齢になるまで父親を見つけられなかったというのも奇妙に思える。

が、それがどうでもよくなるほど岩下志麻のマヤに見入ってしまう。

完全におかしな話し方をしているのだがそうでなければ観たくないほどに思える。

もし他の俳優が演じるマヤを観たら物足りなさに失望してしまいそうだ。

 

そのマヤさんに年下ながら恋心を抱く新聞記者を演じるのが根津甚八

根津甚八はとても魅力的な俳優のひとりだが残念なことに配役にはあまり恵まれなかったのではなかろうか、と思っている。

本作では先輩ジャーナリストを尊敬する若輩者という設定でとても良い。

 

その憧れのマヤさんの心を射止めるのは先輩のほうであった。

先輩尾・母田を演じたのは杉浦直樹。この人もいるだけで怪演になる。なんだかとても恐怖を感じる。

今書いて気づいたがこの役は「母田」さんなのだ。

つまりマヤは好きなった男性も「母」を選んでしまったのだな。

 

「通りゃんせ」を題材にする。

母の呪いを背負った娘。

その復讐を遂げていく。

といった設定は今のホラーものにも通じている。

だが自分の好みとしては政界における占い師の物語の方をもっと広げてほしかった。

そちらの方に興味がありすぎて記憶としても政治家の占い師、として残っていたのだがその場面はわずかだった。

いやどうして。

そこにみんな興味あるのじゃないのか。

が、原作は「横溝正史賞」であった。

私はやはり「松本清張賞」のほうに興味があるのかもしれない。