1949年「松竹」
1949年3月公開映画、つまり戦後間もない頃の映画ですね。
ネタバレします。
他愛ないラブコメ、という前情報のせいもあって今まで観ずにいたがとても良い映画だった。
戦後間もない頃、没落した元華族の泰子と自動車修理工の30代男・圭三とが持ち掛けられた縁談に悩む物語。
恵三は働き者で貯金だけはある。どう考えてもお金のためにお嬢さんが身売りした、と見られてしまう。
しかも当の本人たちがそのことに凄く苦しんでしまうのだ。
圭三は自分が金でお嬢さんをモノにしてしまうことに躊躇い、お嬢さんも好きという気持ちを素直に伝えられない。
圭三は弟分が全力で愛情を表現している姿に打ちのめされる。
それでもお嬢さんには無理強いができず身を引いてしまうのだ。
泰子は圭三からの別れの手紙を読み圭三行きつけのバーのマダムに𠮟咤されて決心する。
駆け付けてきた弟分の車で圭三が向かった駅へと追いかける場面で幕が閉じる。
短い映画ながら(フィルムが貴重だったからか?)ふたりが逡巡する様子が丁寧に描かれる。
特に無骨な男圭三の懊悩がおかしく微笑ましい。
お嬢様と修理工という組み合わせも楽しい。こんなにうまく行くはずもないというのはあるだろうが恋愛というのはこうあってほしいという夢のように思える。