ガエル記

散策

『配達されない三通の手紙』野村芳太郎/原作:エラリー・クイーン『災厄の町』

1979年「松竹」

このDVD脚本●野上龍雄と記されている?

映画冒頭に脚本は「新藤兼人」と出てくるのだが?

しかもどう考えても新藤兼人の方が有名なのに???

よくわからない謎である。

 

 

ネタバレします。

 

 

上の件は別としてもとにかく不思議が溢れている映画に思えてならないがもしかしたらある人々にはとても親和性のある作品なのではないかとも思える。

というのはこの映画作品の世界観が『名探偵コナン』によく似ているからだ。

とはいえ『コナン』の作者青山氏が本作を好きだったとかイメージしているという意味ではない。

野村芳太郎監督は大のミステリー好きだと書かれていてそれで本作を作ったということらしい。

原作がエラリー・クイーンというのがまたなんともかつてのミステリーファンらしいチョイスである。

そして映画化に際しての心構えが当時『犬神家の一族』のようなおどろおどろしいものではなく軽やかで華やかな作品にしたいということで本作のイメージになったようなのだがこれで「軽やか」というのであろうか。

やはりおどろおどろしい情念が渦巻いている感は否めない。

この雰囲気のままで「軽やか」を成功させたのが『名探偵コナン』なのではないかと思うのである。

野村芳太郎監督の意気込みは良かったし正しかったけど青山剛昌氏のセンスが足りなかった。

仕方ない。青山氏この時まだ16歳である。

 

このとってつけたような西洋館憧れは気恥ずかしくもなるのだが日本近代史に確実にあったものだし現在でもしっかりと存在している。

むしろ今回はそういった日本人の西洋館憧憬、だけでなくミステリーを含む西洋文化への憧憬を描いた映画として鑑賞した。

だがクイーンを基盤としても極めて日本人的な粘着は薄められはせずなんとも不可思議な作品に出来上がってしまったように感じられる。

 

実際本作の興行成績は芳しくはなかったようだ。

人気俳優が多数登場するのだがその使い方も不自然である。

気になるのは蟇目亮演じるロバート・ボブ・フジクラだ。これはクリスティにおけるポワロをイメージしたのだろうか。(今見たんだけど、ロバート・ボブってロバートロバートじゃないか)

イギリス人の中のベルギー人探偵はやはり作品中ちょっと変わった話し方で名推理を展開する。

カタコトで推理する探偵、なかなか面白いと思ったのだけどこの作品以降こうした「外国人探偵」というのが日本で用いられないところを見るとやっぱり日本人には受け入れにくいのだろうか。

ポワロ氏は日本人にとっては「イギリス人もベルギー人も同じヨーロッパ人」って感じだろうからなあ。

 

最後にはボブじゃなく別の男が現れて推理する、というヘンテコな幕切れに。

この作品が売れなかったのは物凄く理解できる。

そしてこの感覚は『名探偵コナン』へと受け継がれ一躍人気となったのだ、といえようか。

『配達されない三通の手紙』

そのミステリー好きの気持ちだけはよっくわかる。