2015年「青林工藝舎」
むろんこの初版年はこの本の発行年です。
それぞれの作品は1970年から1972年そして1979年の一作品が収録されています。
amazonでの説明には
2011年、カンヌ映画祭〝ある視点〟部門にノミネートされ、 大きな反響を呼んだ「TATSUMI」(エリック・クー監督作品)の 原作短編をはじめとする辰巳ヨシヒロの代表作を収録! 加えて、単行本未発表「弔鐘ーテンゴング」50頁を新たに収録!!
とあります。
ネタバレします。
SNSでも時折話題になる「劇画時代」
劇画はほとんど読んだ経験がない。ほんの少しちら読みした程度だ。
私自身は思いきりマンガ派読者で劇画というのははっきりと抵抗感が強く読もうとも思わなかったし今でもそれほど後悔はしていない。
とはいえ白土三平だけは大好きで読んでいたのだからあまり強く言えない。
「劇画」というのは本作作者の辰巳ヨシヒロ氏が作った言葉らしいがご本人の名前はそれほど有名ではない、と思う。
私がこの名前を知ったもしくは認識したのは上に示したエリック・クー監督の映画作品を観てからだった。
しかしそれからもすぐに彼の作品を読むことはなく今になってしまった。
さらにいうとエリック・クー監督作品も手に入らないわけではないが速やかに鑑賞できない状況である。
なかなか難しい。
さてついに手に取って読んだ本作の第一印象は・・・あまりの陰惨さにぎゃっとなりそっと棚の上に置いてしまった。
というところから始まった。
「読んで感想を書こう」どころではない。
読むのができないのだ。
しばらく時を置いて気を取り戻しもう一度ページを開いてみた。
一度目ですこしワクチンが効いたのか今度はもう少し落ち着いて読むことができた。
まだ恐々ではあるが感想記事書いてみる。
第一話「地獄」1971年「週刊プレイボーイ」
現在このような作品が描けるものだろうか。
今「原爆」を題材にすればどうしたって日本人は襟を正し姿勢を改め言葉遣いも丁寧にと気を使ってしまうはずだ。
以前はむしろ様々な作品があり得た気もする。
話はそれるが映画『砂の器』で感動した人は松本清張の原作では映画の感動部分がほぼないことに驚くのだがそれにやや似ている気がする。
「原爆」もひとつの事象であった、という割り切り方が出来なければこの作品は描けない。
「一発の原爆によって20数万の人が死んだ!あと一人・・・たった一人プラスされたとしてもたいした問題じゃないんだ」
ただ、あの壁にできた影が「親孝行の肩たたき」に見えるかなあ、という気持ちはしてしまうのだけど。
これも「その当時ならそう見えてしまう」のかもしれない。
多くの「感動の美談」が時を経ると「そういうものかね」となってしまう現象はある。
「わたしは生きながらにして地獄を彷徨っている」
おそろしい言葉ではないか。