2024年「A24」
『X エックス』『Pearl パール』に続く三部作の最終章。時系列は『X エックス』の後日譚となる。
ネタバレします。
この三部作、文句なしのホラー傑作なのは間違いない。
1979年代を舞台にした第一作『X エックス』は『悪魔のいけにえ』のオマージュ作品、第二作目『Pearl パール』は1918年へと遡り農村の少女の心理を描き第三作目=本作=『MaXXXine マキシーン』は1985年ハリウッドを舞台としている。
三作品の共通点はアメリカでスターになることを夢見る少女の物語ということだろうか。
とにかく一作一作が手を抜くことなく細かく丁寧に作られている。
特に三作目が舞台の1980年代はホラー映画の豊作時代。本作もそのノリに便乗してかちてのホラー映画の醍醐味を表現している。
ただ残念なのは私自身はそういった80年代ホラー映画の良き鑑賞者ではまったくなくむしろ苦手として目をつぶっていた人間なのでソウルメイトにはなれないのである。
私が唯一(ではないか)語れそうなのはデヴィッド・リンチなのだが彼のフィルモグラフィを見ると『エレファントマン』が80年とはいえ活躍は90年に入った『ツイン・ピークス』からだろうから80年代ホラーではないようだ。
それでも『エクソシスト』そして『シャイニング』『クージョ』『キャリー』『クリスティーン』などのキング原作映画などホラー苦手といいながらもあの頃は面白い作品が多かったのだ。
タイ・ウェスト監督はやはりこの三作目、ホラー映画の宝庫である80年代を舞台とした『MaXXXine マキシーン』を真骨頂として作ったのではないかと思う。
おもしろいのはウェスト監督は単にかつての映画のリメイクを作ったのではなく現代の映画作品として描いていることである。
先日書いたのは「1970年代では大家族だったモンスターが現代では少子化高齢化で老夫婦のみになっている悲しさ」だった。
今回は女性の描き方について書いてみよう。かつてのホラー映画では女性はモンスターに襲われ泣きわめく存在だった。
本作ではそうした女性の姿も描かれてはいる。緊縛されもがき恐怖に怯え泣き叫ぶ。しかしそれはマキシーンではない。
現在のヒロインはモンスターに立ち向かう。
そうでなくては現在の”スター”になれないのだ。
そしてそれはとても良い傾向に違いない。
ホラー映画は苦手だがタイ・ウェスト監督三部作は楽しんだ。かなり目を背けてはいたが。
それでも一番好きなのはやっぱり二作目の『Pearl パール』だ。
主演のミア・ゴスの凄さが一番現れていると思う。