1955年製作。八住利雄脚本。主人公森蘭丸を演じたのは中村扇雀(四代目・坂田藤十郎)織田信長は山村聡。
観たいと思う作品が何も見つからず、試しに観てもすぐ嫌気がさしてしまう中アマプラで偶然見つけたこのタイトルに「へえ?」と訝しさを感じながら観始めたのですがこれが案外面白かったのでした。
主人公・森蘭丸と主君・織田信長そして明智光秀の三人が重点的に描かれていく物語でした。
蘭丸は信長からその美しさと才能を特別に寵愛されていきます。逆に光秀の正論を押し通す性格は信長から嫌われていきます。
さらに光秀は蘭丸にとって親の仇という確執がありました。しかし光秀は理路整然とそれが誤解であると蘭丸を説得したうえ蘭丸の窮地を救ったことから両者の溝は埋まります。が、信長と光秀の亀裂は深まっていくばかりとなります。
有名な本能寺の変に至るまでの三人の男たちの経緯の物語でした。
山村総演じる信長がいかにも短気で身勝手な男であり正論男の光秀と性格が合わない関係が明確にわかりやすく面白く観れました。
信長は蘭丸に新参の侍女と共に舞うことを命ずるのですがこの時の蘭丸の舞のすばらしさは確かに寵愛されると共感できます。
きびきびとした身のこなしも訓練をされた歌舞伎役者でなければできないことでしょう。
現在でも歌舞伎俳優はなくてはならない存在ですが動作や発声など幼い時から学んだ者の技術には他の一般人が太刀打ちできるはずはありません。
目の保養というのはこうしたものだと改めて感じさせてもらいました。
信長話にはつきものの異国人も登場しますがこちらも目を見張るダンスを披露してくれます。