ガエル記

散策

戦争

『漂流教室』楳図かずお

この数日話題にしています『漂流教室』は1972年から74年にかけての連載少年マンガですが、私は今回初めて読みました。正直ちらりとも読んでいなかったのです。少なくとも記憶していませんでした。 つまり描かれてからほぼ50年が経過して読んだわけですが今ま…

『ラストウォー1944 独ソ・フィンランド戦線』アンティ・ヨキネン その2

そしてこちらが『Kätilö』で検索して出てきた画像です。素晴らしいとまでは言い難いですがさすがに内容をイメージさせる仕上がりになっています。 日本版はこちら 大きく映っているのが上ポスターでロマンチックな横顔の彼です。そして右下隅の小さな女性が…

『ラストウォー1944 独ソ・フィンランド戦線』アンティ・ヨキネン

見入ってしまう映画でした。原題はフィンランド語『Kätilö』意味は『助産婦』です。そのとおり画像のヒロインが助産婦でドイツ兵士と恋をするお話でした。 そして日本語タイトルが『ラストウォー1944 独ソ・フィンランド戦線』で紹介画像がこれです。 右下極…

『メッセージ』ドゥニ・ヴィルヌーヴ その2

映画『メッセージ』で描かれるのは異星人との会話だけではなく主人公女性とその娘との対話でもあります。 以下ネタバレしますのでご注意を。 主人公と異星人の対話と娘との対話が挟み込まれる構造となるのが素晴らしい。 主人公女性と相棒となる男性は異星人…

『フルメタル・ジャケット』スタンリー・キューブリック

そして名作として名高い本作『フルメタル・ジャケット』です。 前半の鬼教官によるミリタリーケイデンス、奇妙なニックネーム、狂気に満ちた罵声、ゴーマー・パイルへの執拗なしごきと仲間からのいじめは軍隊ものの古典であり必読教科書として位置づけされて…

『THE COCKPIT』アニメ 松本零士原作

アマゾンプライムにて鑑賞。松本零士のいわゆる「戦場まんがシリーズ」から三話がアニメ化されたものです。 コロナウィルス禍は戦争に例えられます。今このアニメ作品がアマプラに追加されたのは偶然なのか、と考えたりします。 三作品で描かれているのはど…

『戦火のナージャ』ニキータ・ミハルコフ

前作『太陽に灼かれて』は未見ですが引き込まれて観てしまいました。 あまり観る機会のなかった独ソ戦作品です。 冒頭のスターリンエピソードからして奇妙に怖ろしくぞわぞわしました。この共産圏独特の恐怖は耐え難いですがそれを弾圧する派も恐ろしいです…

『花筐/HANAGATAMI』 大林宣彦

大林監督作品、今まで上手く作られていると思っても一度も心底から好きになったことはなかったのですが本作は素晴らしかったです。 若者であるはずの主人公とその友を中年男性で演じさせるという手法が酷くしっくりいってしまうと感じたのは私が年を取ってい…

『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』ドミトリー・メスヒエフ

観た人は多くの方が同じ感想を抱いてしまうでしょう。タイトルだけを見ると変な映画にしか思えませんがこのDVD画像はなかなかかっこいいですし内容はかなりリアルな描写の本格派作品です。 共産圏は女性も軍人になるというイメージがありましたがこれはまだ…

『高地戦』チャン・フン

また凄い映画を観てしまいました。しばらく韓国映画から離れていたので良いのが貯まりすぎてます。 朝鮮戦争について知っているのは『MASH』くらいです。本作がどれほど史実なのかなどはわかるはずもありませんが本作の価値はそこにあるのではないと思え…

ユートピアはディストピアであり人類はひとつになったりしないのだ

「もし人類以外の強大な敵が現れたら人類は一丸となり争い事をやめるだろうと。おぬしはどう思うかの?」 『進撃の巨人』でピクシス司令の問いかけにエレンは「あくびが出ます」と答えます。「その強大な敵にここまで追い詰められた今でも一つになったとは言…

『JSA』パク・チャヌク

実に久しぶりに観たのですが、あまりにも素晴らしく、面白くて驚きました。 初めて観た時は「韓国映画も面白いものがあるのだな」的な感想だったように記憶するのですが今これを観ればそんな偶然の産物ではない技術と哲学を感じることができます。 なんとい…

「右翼とオカルト」を考える『鬼滅の刃』『カミヨミ』『鋼の錬金術師』

『鬼滅の刃』の人気が続いています。私はアニメの最初を観てその後もちらちらと観てはみたのですがどうやら好みではないようだと思ってあきらめています。 それでも最初に観てみたのはこの作品の設定を聞いて「大正時代を舞台にした右翼オカルト」かーと凄く…

『戦ふ兵隊』亀井文夫

Fighting Soldiers(1939) 一月万冊、安冨教授から『戦ふ兵隊』の映画を教えていただきました。 昭和14年製作。日中戦争のなか戦意高揚のためのドキュメンタリーとして作られました。しかしその内容が戦争で家を焼かれ立ち尽くす中国人や日本兵士の悲惨な…

『マイ・チャイルド・レーベンスボルン 』

戦後のノルウェーで、ドイツ兵との混血児を養子として育てるゲーム『my child lebensborn』。自分の子供が売国奴として学校で虐められ、周囲の住人にさえ差別され、何もかも辛すぎるゲーム。だが何より辛いのは、これが本当にあった歴史ということ。一人でも…

『満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦』安冨歩

安冨歩教授を知ったのは「れいわ新選組」からでした。女性装の男性東大教授という存在にまず惹きつけられそのお話から考えを聞いてより興味を持ちそれから経済学者と判ってますます驚いたのですがその著作に「星の王子さま」やマイケルジャクソンについて書…

『湾生回家』黄銘正(ホァン・ミンチェン)

戦前の台湾で生まれ育った日本人たちのことを湾生(ワンセイ)と呼ぶのだそうです。 1895年から1945年までの50年間、台湾は日本の統治下にありました。そこで生まれた日本人の子供たちにとっての故郷は台湾なのでした。 日本の敗戦によって日本人たちは台湾…

『日本のいちばん長い日 』2015年版 原田真人

英語タイトルは監督自らつけた『THE EMPEROR IN AUGUST』だそうですが、そうなるとますますこの映画の焦点はどこにあるのかわからなくなります。どこに焦点があるのかわからないのがいかにも日本的とは言えますが。 1967年版の焦点は戦争の終結時において大…

『日本のいちばん長い日』1967年版 岡本喜八

さすが岡本喜八、というべきですね。強烈にえぐい混乱を一刀両断する凄まじさで描写しきっています。 1945年、発信されたポツダム宣言を重視しない、とした日本に対し二度の原爆が投下されソ連が参戦するという状況に至ります。 それでも尚会議では戦争の終…

『激動の昭和史 沖縄決戦』岡本喜八

戦争というものがいかに理不尽で愚かしく空しく怖ろしいものかということを叩きつけられる映画です。 笑いを誘うかのように思える演出もそのおぞましさから引き寄せられているように思えます。 いろいろな日本の戦争映画の中でも沖縄を舞台としたものは特に…

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ロバート・ゼメキス

先日TV放送もされて再び人気を博している本作です。レビューを観ても大絶賛で「この映画を嫌いな人に会ったことがない」という文章を何度も見ました。加えてあの岡田斗司夫さんも本作の特集を配信されていて私も見たのですが「完璧な脚本によるめちゃくちゃ…

プロフェッショナル選「宮崎駿スペシャル “風立ちぬ”1000日の記録」

プロフェッショナル選「宮崎駿スペシャル “風立ちぬ”1000日の記録」を観ました。 『風立ちぬ』は以前何回か鑑賞しておりいつかは忘れましたがブログ記事を書いたりもしたと思います。その時ははて何と書いたのでしょうか。「面白かった」と書いたのでは…

『秋津温泉』吉田喜重

先日『炎と女』『嵐が丘』で興味を持ちました吉田喜重、u-nextにはこれのみありました。 『秋津温泉』というシンプルなタイトルは原作小説そのままなのですが今であればゴテゴテと副題を盛り込まれそうではありますね。それにしても先に吉田喜重を知っておか…

『ヨルムンガンド』その2

昨日は『ヨルムンガンド』の作者・高橋慶太郎氏の絵はあまり巧くないが、と書いたのですが同時にとても上手くて魅力があるのです。 特にキャラクターの描き方がとても好きなのです。 日本のアニメとマンガは強く関係していてそれほど好みの違いは異なってい…

『ヨルムンガンド』高橋慶太郎&アニメ

小説やマンガは何度読みかえすかわからないほど繰り返す私ですが、アニメはよくできたものでもなかなか観なおすのは腰が重いのです。 ところが本作『ヨルムンガンド』アニメは数えきれなくなるほど観返してしまっているのです。 いったいこの作品のなにが私…

『JFK』オリバー・ストーン その2

「真実を語ることができない国にきみたちは住みたいのか」 という言葉をギャリソンが言い放つ場面がありました。(おおよその記憶) ところでわが国ではこの言葉の持つ意味はほとんどないように思えます、今現在。 もちろんそうではない国になりたいのですが…

『JFK』オリバー・ストーン

しばらくブログを書けずにいました。理由のひとつは仕事が忙しかったからなのですが、もうひとつはちょうど観始めたのが映画『JFK』でこれが非常に面白いのですが簡単に感想をまとめきれるような代物でなくしかも他に様々気を取られることがあって(コロナと…

『海と毒薬』熊井啓

太平洋戦争期、実際にあった生体実験に関わった二人の若い医師の心を描き出していく。 遠藤周作原作小説を映画化したものです。 テーマからして重々しく謹厳な面持ちで鑑賞するべきものですが、ふたりの若い医師、勝呂=奥田英二、戸田=渡辺謙のほんとうに…

『八月の狂詩曲(ラプソディ―)』黒澤明

こんなに良い映画だったんだなあ、としみじみと感じました。 黒澤監督後期の作品で時代劇でもアクションものでもないようなのでなんとなしに見送ってしまっていましたが、とんでもなく素晴らしい映画でした。 やはり黒澤映画らしいがっしりとした骨太な感覚…

『はじまりのみち』原恵一

とても良い映画でした。映画監督・木下惠介が戦時中に病の母親を疎開させるというエピソードを中心にして当時の日本の状況と家族の情愛を細やかに描いた作品でした。 木下惠介監督製作の『陸軍』はラストが「女々しくて戦意を失わせる」とされ次回作を見送る…