ガエル記

散策

『THE COCKPIT』アニメ 松本零士原作

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アマゾンプライムにて鑑賞。松本零士のいわゆる「戦場まんがシリーズ」から三話がアニメ化されたものです。

 

コロナウィルス禍は戦争に例えられます。今このアニメ作品がアマプラに追加されたのは偶然なのか、と考えたりします。

三作品で描かれているのはどれも死にたくないのに上からの命令でどうすることもできず突き進むしかない人間たちの物語です。

特に二話目の「音速電撃隊」は敵艦に突っ込む「人間爆弾」を意味する「桜花」に乗り込む青年の話は以前なら単に「馬鹿々々しい話だよ」とでも言ったでしょうが今現在観ると「結局私たち日本人はこれを繰り返してしまうのか」と思い知らされてしまうのです。戦後長い間「同じ過ちを繰り返しません」と日本政府は何度言ったでしょうか。何度その言葉を聞いたでしょうか。しかしまったく同じ道を歩んでいます。

今度の「桜花」は東京オリンピックです。その意味は日本の多くの人が理解しているにもかかわらずそれを実行しようとしているのです。

しかもそれを「美しいこと」「尊いこと」などというトンチキな思考を信じている人すらもいるのです。

それによって死に追いやられるのは弱い人々たちです。まったく同じようにごくわずかの権力者富裕者によって普通の人々は死ななければなりません。最もかわいそうなのは子供たちです。

子供たちはそれこそ「桜花」=「オリンピックスタジアム」に入れられようとさえしているのです。参加せよという命令ひとつで。

 

 

今までこれほど戦争物語を実感しながら観たことはありませんでした。

これは遠い昔の悲話などではなく現在自分たちが体験していることなのです。

無能な上層部から貧相な武器で戦えと言われついには自分自身が爆弾となって飛び込めと言われた戦争時の日本と同じく無能な上層部からPCR検査もワクチンもない、給付金なしで休業させられ何とかしろと言われる。

私たちはまったく何も学ばず成長せず変わろうとしなかったのです。

 

 

悲しさと悔しさを思い知らされながら観ましたがとても良いアニメ作品でした。

特に三作目の「鉄の竜騎兵」はマンガでも何度も読み返していました。

最近のアニメにはないキャラデザインが魅力的です。松本零士のかっこ悪いキャラは最高ですね。

手描きのアニメの味わいはやはり捨てがたいです。

 

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いいなあ、このかんじ。

私はミリオタではありませんがそれでもこの側車にはグッときました。

ライトの目隠し(というのか)がかっこいいです。

 

戦争がなければ彼らはバイクレースをやっていたし二話目の青年はロケット工学を学んでNASAにはいっていたのかもしれません。

同じ過ちは繰り返さないという言葉を発したのならその責任を政府はとらねばなりません。私たちも遂行させねばなりません。