ガエル記

散策

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『カムイ外伝』白土三平 その3

白土三平描く表紙、良い。 ネタバレしますのでご注意を。 第九話 暗鬼 この暗鬼は「疑心暗鬼」のこと。 常に命を狙われているカムイには心休まる時はない。絶えず追手の気配を感じていた。 出会う者は子供でも武士ならなおさら女も百姓も油断はならなかった…

『カムイ外伝』白土三平 その2

現在のマンガは「仲良しわちゃわちゃ」が好まれる傾向にあると思われます。 でもそれは実際の人々が繋がれずにいる孤独な心情を抱えているから生まれたものだと考えられそうです。 『カムイ外伝』の主人公カムイは孤独に戦い続けることで生き延びていきます…

『カムイ外伝』白土三平 その1

この文庫本表紙は白土三平氏の筆による。 今日から白土三平『カムイ外伝』感想文を書き始めます。 何故外伝から書き始めるのかというととにかく『カムイ外伝』が大好きだからです。最初はアニメでその存在を知り最高にかっこいいと感じ今に至ります。 白土三…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その12 最終回

最終回のつもりで書きます。 第三部で終わったはずの『バビル2世』が再び戦いの世界に突入します。 テレビアニメ放送の都合で急遽連載再延長という次第だったらしい。 一巻だけで終わる第四部です。 ネタバレしますのでご注意を。 横山氏がインタビューで答…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その11

画像は11巻を出しているが話は9巻まで戻って語ります。 ネタバレしますのでご注意を。 再び9巻「F市のなぞ」から始める。 九死に一生を経て日本へ来たバビル2世は保安局局長に会い「F市で電信電話が何日も途絶えてままだ」という情報を得る。 局長はF市…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その10

ちょっと自分が書き散らしている「ハードボイルド」という今や死語に近い言葉の説明が足りなかった気がして今回は(というか今回も)その説明に重点を置いてみたいと思います。 ネタバレしますのでご注意を。 前回『バビル2世』は8巻で終わってしまったので…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その9

張り詰めたテンションを保持していた8巻そして9巻の冒頭からの展開をどう考えるのか。 ネタバレしますのでご注意を。 繰り返すが8巻までの張り詰めた攻防、バビル2世とヨミの丁々発止の戦いから9巻冒頭のバビル2世は死んでしまうのか、という緊張感と不安か…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その8

いろいろと細かい解析(あってるかどうかは別として)を続けてきたけど横山作品の面白さは読者はそんな分析を瞬時に読み取ってしまっているということ。その面白さがわからない人にはわからないしわかった人は解説などいらない。読みながらそうした作品に含…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その7

さて第3部「宇宙ビールス」編に突入しました。 この編を読みながらまた諸々考えていきましょう。 今回は『バビル2世』はハードボイルドの頂点という視点を書いてみます。 ネタバレしますのでご注意を。 『バビル2世』を読んでいると今現在のマンガ作品とはか…

6月18日は横山光輝先生のお誕生日ということで

今記事を確かめたところ、去年の6月17日の記事だったので今日中に書いてしまいます。 何のことかというと去年の6月17日初めて「横山光輝」氏についての記事を書きました。(たぶん) それが下の記事です。 gaerial.hatenablog.com そうです。ちょうど一年前6…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その6

ロデムに襲われるバビル2世!?これは如何に????!!!! ネタバレしますのでご注意を。 先日、横山他作品で「主人公が強そうなのに負けてばかりいるのがおかしい」というとあるレビューを見かけて「いや主人公が苦しむ様がエロチックでそれが巧いのが横…

MY Forevermore Vol.2 特集:『バビル2世』&バビル2世扉絵集+α(新版)購入しました。

MY Forevermore Vol.2 特集:『バビル2世』&バビル2世扉絵集+α(新版)購入しました。 もっと遅く来るのかと思いきや早く届いてくれました。嬉しい。 たっぷり読み応えありそうでこれからゆっくり楽しませていただきます。 こちらで購入できます。 psymage…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その5

三巻末尾から始まる第二部がまたおもしろいのですよ。ヨミ復活。 昨日書いた『バビル2世』=「ギルガメシュ叙事詩」説は自分としてはかなり気に入っています。 普通の作家ならばロマンチックにギルガメシュとエンキドゥの友愛を描くところですがクールに突き…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その4

さて3巻ですが今のところ色々と思考の小さな断片が舞うばかりで何もまとまってはいません。 なにかにたどり着くことはできるのでしょうか。 できるといいなあ。 ネタバレですのでご注意を。 3巻193ページ、残り後少しで第一部が終わる。というかもともと横山…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その3

『バビル2世』の解析をせんとしてじっくり読んでいこうとしているのだけど面白すぎてどんどん読んでしまう。バビル2世自身はシリアスだけどヨミチームがおっかしいんですよ。ひゃっひゃ笑って読んで(だからあんまり分析する気にさせないに違いない)「あー…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その2

今日は『バビル2世』と重ねて考えてみたいマンガ作品について書いていきます。 萩尾望都『スター・レッド』と山岸凉子『日出処の天子』です。 なのでこの二作品のネタバレにもなりますのでご承知ください。 では本作もネタバレしますのでご注意を。 まずは萩…

『バビル2世』横山光輝 もういちど その1

えっと、今日から『バビル2世』についての考察を書いていこうと思います。考察となればいいけどただのダダ洩れ感想になってしまう予感もあります。 何故考察するのかというのはネットで探しても「バビル2世考察」というのが少数しかなく「考察」好きの私とし…

『夜光島魔人』横山光輝 その2

絶対このアカエイデザインが気に入ってる横山先生。かわいいんだもん。 ネタバレしますのでご注意を。 上のアカエイの中には村雨けいじが入ってます。 山形兄弟は夜光島でまだ奮闘中。巨大なミサイルを目撃するが背後には隊長が立っていた。 ふたりはすぐに…

『夜光島魔人』横山光輝 その1

先日読んだ『少年ロケット部隊』全七巻という長さもあってショックはぬぐい切れず。 本作も同じ1960年の作品ということで恐る恐るページを開けましたが杞憂でしたとまず書いておきたい。 表紙に出てるのでネタバレにはならないと思うけど「アカエイ」が飛び…

『少年ロケット部隊』横山光輝 その2

ところで本作『少年ロケット部隊』の掲載誌が「日の丸」となっていたので右翼雑誌に掲載されていたのかと思ったのだけどなんてことはない普通に集英社の漫画誌であった。本作途中で休刊となり「少年ブック」に移行した模様です。 ネタバレしますのでご注意を…

『少年ロケット部隊』横山光輝 その1

またまた未単行本化だったという幻の少年マンガと銘打っている本作。いったいなぜ? 横山先生未単行本化多すぎる。 まず表紙。いつもながら少年がかっこいい。少年と重なるような飛行機(ロケットというのか?)というデザインも良い。 でもなぜこんなにウエ…

『91衛星(サテライト)SOS!!』横山光輝

1980年月間少年チャレンジ掲載 昨日に引き続き横山光輝最期のオリジナル作品、と銘打って記事を書こうとしているのですが今年表を見たら1987年『仮面の忍者赤影(新)』というのがあったのでこの説はなくなったw しかしまあ乗りかかった船なので「初出オリ…

『俺はだれ?』横山光輝

『俺はだれ?』プレイコミック1980年四月号掲載 表紙が横山光輝としては珍しい女性裸体なのでアップして凍結されたりしたら困るので途中のコマを上げておきます。 私的には『刎頸の友』のほうが刺激的ですけど。 講談社漫画文庫「白髪鬼」に収録 ネタバレし…

『飛猿斬り』横山光輝 その2

ここだけ見たら幕末という感じはしない。 ネタバレしますのでご注意を。 繰り返しになるが1964年尊王攘夷をとなえる水戸藩士により天狗党という一党が結成された。 同志に加えるのに身分を問わずやくざ者・前科者まで仲間となったためにその数はあっという間…

『飛猿斬り』横山光輝 その1

1972年別冊少年マガジン掲載 今年2月の記事『横山光輝コレクション』の第3話目でも書いた短編マンガ作品です。 読んだその時から忘れられずずっと本作を思っていました。 とにかく残念なのは私が「天狗党」についてまったくの無知だったことです。 これまで…

『宇宙船レッドシャーク』横山光輝 その3

ここから第二話「ガニメドの巻」 ガニメドって木星の衛星ガニメデの間違いじゃ、と思っていたら小惑星ガニメドというのがあったのか。あっぶなーい。知ったかするとこだったよ。 ネタバレしますのでご注意を。 土星衛星タイタンから帰ってきた一色健二はその…

『宇宙船レッドシャーク』横山光輝 その2

これが表紙全体だったのか。 ネタバレしますのでご注意を。 「ダイモス」だって?とちょっと驚いてしまった。 横山作品に1973年『ダイモス』があるからだけどそもそも「ダイモス」って火星の衛星フォボスダイモスなんだから慌てる必要はない。 横山作品は「…

『宇宙船レッドシャーク』横山光輝 その1

1965年少年ブック掲載 第八宇宙学校を一番で卒業した少年一色健二。宇宙空軍一〇一基地に赴いた彼の成長と活躍を描く。 ネタバレしますのでご注意を。 65年作品で表紙の絵柄からしてもあまり期待せずに読もうと思っていたのだけどとんでもなかった。これは凄…