ガエル記

散策

教育

『はだしのゲン』中沢啓治

初めて読みました。 なぜ今まで読んでいなかったのかというと絵が怖くて手に取れなかったからです。もちろん原爆を題材にしてその恐ろしさを描いた作品ということで怯えたのもあります。 それで生涯避けていたのですが近年になってネットで様々なエピソード…

『バカの壁』養老孟子

2003年のベストセラーということですでに18年前の著書になります。ちら読みはしていたかもですが今回初読しました。 レビューを見ると賛否両論の本書ですが私は有意義な本だと思いました。18年経ってからだからこそ納得できる部分もあるかもしれません。 し…

「マクマーティン児童施設裁判〜」 そして「小山田圭吾事件」

1980年代のアメリカ伝説的裁判!児童の組織的性的虐待と悪魔崇拝の強要?しかし子どもの証言は矛盾だらけ。いったいなぜ?記憶とは?真実とは?混乱の裁判の結末は? という番組でした。 結果をウィキペディアから引用しようとしたら 全ての容疑について…

『メイドインアビス 深き魂の黎明』

この素晴らしいアニメを観て大きく二つの感情が渦巻いていてあっさりと書いてしまうのが難しいのです。 しかしなんとか文字にしないと伝えられないので書いていきます。 以下ネタバレしますのでご注意を。 まずはアニメーション映画として凄く面白く質の高い…

『王の運命-歴史を変えた八日間-』イ・ジュニク

安富歩教授に感想を聞きたい映画でした。親が子与える歪んだ教育と愛情は残酷な状況を生み出してしまうのです。 そしていつもながら邦題『王の運命』は間違っているわけです。これは王だけではなくすべての親子の物語であると思います。 原題は『사도(思悼…

魔女っ娘ものより忍者っ娘ものを

海外ではどうなのか知りませんが、日本のアニメでは男子が戦隊もの、女子は魔法使いもの、という定番が長い間続いています。 この繰り返しの理由は様々あるのでしょうが、すぐに思いつくのはテレビアニメ制作側が「男子はコレ女子はコレ」と決めたものがやは…

『親という名の暴力』小石川真実

両親から精神的抑圧を受け続けるとどういう人格になりどういう人生を歩むことになるのか、ということを教えてくれる一冊でした。 タイトルの「暴力」は肉体的性的なものではなく精神的暴力なのですが精神的暴力というのは子供にも周囲の人にもわかりにくく、…

学校をなくそう

いつの頃からか「学校、という仕組みはもう無くしたほうがいいのではないか」と考えるようになりました。 生徒同士だけでなく教師から生徒、あるいは生徒から教師、そして教師対教師のいじめ虐待、暴力、ハラスメント、様々な言葉で表現される怖ろしい関係は…

『複雑さを生きる』安冨歩 第4章 動的な戦略 一 無形

いきなり第4章ですがどうしてもここを書きたかったのです。 つまりネタバレになりますのでご注意を。 この「無形」という言葉については以前安冨教授ご自身がれいわ新選組の山本太郎氏について語られていた時に説明されていたのを聞きました。 安冨氏は孫氏…

『魂の殺人』アリス・ミラー

『一月万冊』で安冨歩教授と清水有高氏の対話でアリス・ミラー著『魂の殺人』を知りました。YouTubeで両氏はこの本について何度となく触れておられます。 思うに最も恐ろしいことは自分の親が恐怖の存在であることです。絶対に抵抗のできない子供時代そして…

違和感を大切に

【学びの基本】は?そんなことも知らんの?と言われた時にどうするか?ジャーナリスト烏賀陽弘道さんと一月万冊清水有高。 違和感を大事にする。 なぜ?どうして?と思った時にそれを知りたいという欲望が生まれ勉強していく。 安倍政権になるまで私はほとん…

『日本のいちばん長い日』1967年版 岡本喜八

さすが岡本喜八、というべきですね。強烈にえぐい混乱を一刀両断する凄まじさで描写しきっています。 1945年、発信されたポツダム宣言を重視しない、とした日本に対し二度の原爆が投下されソ連が参戦するという状況に至ります。 それでも尚会議では戦争の終…

あなたはロマンチストですか?

「ロマンチスト」そして「ロマンチック」を考えてみました。無論、これは知識に乏しい戯言です。 「ロマンチック」ってなんでしょうか。 日本語でこの言葉を考えると奇妙な文法が現れます。 「ロマン」というと「男のロマン」に代表される骨太な壮大な夢の意…

『ディリリとパリの時間旅行』ミッシェル・オスロ

とても一言では言い表せない美しさと感動を描き出したアニメ作品でしたが同時にやりきれない悲しみも感じられました。 多くの人々、特に「普通の日本人たち」に観てもらいたい作品です。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 アニメの美しさはもう観ていた…

もし『トーマの心臓』を映画化するのならば

ふたりが帰ってきた直後たそがれるオスカー 萩尾望都の名作『トーマの心臓』何度読み返したかはわからないマンガです。 非常にくだらない考え方かもしれませんが萩尾望都がその実力を思えばとても価されない評価しか与えられていない気がするのですが、その…

『女の園』木下惠介

昨日、木下惠介映画作品はほとんど観ていない、と書いたのですが、本作はその数少ない「観た作品」のひとつです。 観たのはほんの少し前なのですがどうしてもまずこれを観たくなってしまって再鑑賞しました。 ネタバレですのでご注意を。 『女の園』というタ…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その2

続けます。 先にお断りをしますが、前回松恵が「孤児院からもらわれて」というのは間違いでした。子だくさんの家から弟と一緒に選ばれたのでした。あんまりいっぱいいたので早合点しましたwまさかあんな大人数が兄弟だったとは。「貧乏人の子沢山」で困って…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その1

『鬼龍院花子の生涯』作者は宮尾登美子。1980年発行。 映画は1982年公開。ですが、当時は観ていませんし観たいとも思いませんでした。宣伝が 時期は忘れましたが相当後に、というより数年前に初鑑賞して感激しました。なので今回は再鑑賞となります。 公開時…

新型コロナウィルスによって改革がなされるか

新型コロナウィルスの進撃がとどまらない。 発生国の隣国にも関わらず、奇妙にも諸外国に比べ発表される感染者数が少ない我が国(もちろん疑惑が取り除けるわけはないとして)でもオリンピックが延期されることが決定されて以降その数はついに上昇しはじめ有…

『A.I.』スティーブン・スピルバーグ

非常に変わった映画作品です。 いったいこの映画はなんなのでしょうか。 スタンリー・キューブリックのアイディアをスピルバーグが引き継いで作り上げた、という過程そのものが作品内容を分裂させてしまっっているのかもしれません。キューブリックの暗闇と…

『フォレスト・ガンプ』ロバート・ゼメキス

映画の記事を書く時は邦題を記していますし、その時は副題まで書くのがほとんどですが、本作の副題だけはあまりにも馬鹿々々しくてつける気になりませんし、そもそも私は「一期一会」という言葉に嫌悪しかないうえに本作の内容に「一期一会」的ななにかがど…

『悪魔の飽食』森村誠一

高校生の時に怖ろしくて読めず今初めて読んだつもりでしたがこの長い時間にあれこれと読んだものがあったので初めて読んだような気がしませんでした。もしかしたらいつの間にか読んでいたのかもしれません。 他の日本軍加虐事例と同じくこれも「でたらめだ、…

『17歳の肖像』ロネ・シェルフィグ

「これは絶対観て欲しい映画」というお勧め文を見たのでまったく知らなかったのですがレンタルしてみました。 2009年のイギリス映画でかなりの受賞やノミネートをされた作品でもありました。始まってしばらくあまりにも普通の女学生物語だったのでいささか驚…

『彼らの犯罪』ー「親が・殺す」樹村みのり

非常に読み応えのある短編集でした。 第一話・表題作でもある「彼らの犯罪」は同時期を生きていたものならほとんど聞いたことはあるだろういわゆる「女子高生コンクリート殺人事件」についてのマンガ作品です。心底ぞっとする怖ろしい事件ですが今回は第二話…

『サーミの血』アマンダ・シェーネル

とんでもなく心に食い込んでくる映画でした。あっという間に観終えてしまった気がします。 女性主人公クリスティーナという名前は偽物で本当の名前はエレ・マリャである彼女はスウェーデン人として生活をしてきたのですが本当は「サーミ人」でした。 かつて…

『万引き家族』是枝裕和

ずっと観ようとは思ってはいたものの踏み切れないでいたディスクをやっと挿入しました。 ディストピアものが好きなくせに現実を観るのは怖い私です。 しかし観てやはりよかったと思いました。 「万引き家族」は「良い家族」ではなかったのですね。「疑似家族…

宮台真司さんの話に共感しています。

www.huffingtonpost.jp 先日誰かのツイートで知って読んだのですがほんとうにそのとおりだと共感していたのですが、YouTubeでも宮台氏の対談を見つけて聞きこんでしまいました。 www.youtube.com この世代の方特有と言っていいのでしょうか、非常に熱い語り…

良い爺さん悪い爺さん

先日ある動画を見てそれにコメントをしているツイートを見かけました。 それは日本の街中で女性が男性から殴られ蹴られているのだが通りすがりの人々が何も反応していない、というものでした。怖ろしい動画に多くのコメントが付されていました。 そこには 「…

『わが谷は緑なりき』ジョン・フォード

宮崎駿アニメ作品『天空の城ラピュタ』を知っている人はこの映画が濃く影響していると感じるでしょう。 登場人物の善良さにも感じます。 冒頭のよくとおる呼び声がラストに関係してきます。炭鉱で働く村人が歌うことが好きで歌声が素晴らしい、ということに…

元農水事務次官長男殺害事件

この事件への「抒情酌量の余地あり」という反応は上級市民だからというのでしょうか。それとも本当に多くの人が被告に同情しているのでしょうか。 もし真実に被告の殺人が共感され執行猶予を求められているのなら怖ろしいことだと思っています。 私は法律も…