ガエル記

散策

『わが谷は緑なりき』ジョン・フォード

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宮崎駿アニメ作品『天空の城ラピュタ』を知っている人はこの映画が濃く影響していると感じるでしょう。

登場人物の善良さにも感じます。

 

冒頭のよくとおる呼び声がラストに関係してきます。炭鉱で働く村人が歌うことが好きで歌声が素晴らしい、ということにも関わっていますね。

 

本作に関しては「良い映画です。映画好きなら一度は観ておくべき作品」という以上に私には書くべきものがないのですが先に「ラピュタ」を思い出すといったように様々な作品を観るあるいは読むことは別の作品を観る・読む際に重要な手がかりとなっていきます。

 当たり前のことを書いていますが、こうした記憶の積み重ねはとても大切なことです。

 

『DUNE砂の惑星』に人間コンピューターという存在が出てきますが、そこまでなくてもストックをとりそれらから判断していく作業は難しいけど楽しいものです。

 

年齢を重ねるほど知識は増えていきますが悲しいのはある時期を越えると今度は物覚えが悪くなりすぐに忘れてしまう、という状況に陥ってしまうことですね。

しかし案外昔の記憶の方が忘れないというのも不思議なものです。

 

なので人間はどうしても若い頃に読んだもの観たものを信奉し愛し続け、新しい作品を好きになることはなかなかできないのかもしれません。

 

この映画『わが谷は緑なりき』の冒頭でもそのような思いが語られます。

年老いてしまった主人公(映画の中の少年)にとっては少年時代の記憶がもっとも美しい最良のものなのです。

 

もちろん子供時代が最も辛く悲しい時期だったという方もいるでしょう。

それはほんとうに苦しいことだろうとしか言いようがありません。

そんな惨い記憶が払拭され幸福な時間が訪れますように。

そして世界中のこどもたちが良き思い出のなかで育つことができますように。