ガエル記

散策

『226』五社英雄、『激動の昭和史 軍閥』堀川弘通

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明治から昭和初期にかけての歴史をもっと学びたいと思っているのですが、ドラマや映画、マンガにしてもその時代が舞台になるものはかなり少ないのが実情です。

実写映像でテーマをもってまとめられているという点で映画は非常に良いメディアなのですが観たくなるものまた観ることができる作品は極端に少なくなってしまいます。

 

ちょうど226事件の時期になったのでまつわる映画を探したのですがこれほどの大事件にもかかわらず扱った映画で観ることができるもの少ししかないようです。つまり映画化ドラマ化されたことがあったとしても映像として残されてなければ現在では観られないわけですから。

 

とりあえずすぐに観ることができたのはこの2作品です。とはいえ『激動の昭和史 軍閥』は226が発端となっているだけでほとんどはその後の戦争を描写したものです。

五社英雄監督の『226』はタイトルだけあってさすがにそれが主体ですがどういうわけか各将校のそれぞれの妻とのやりとりに時間を取られていて面倒でした。

 

結局五社『226』は堀川『軍閥』の冒頭部分の意味でしかないと思えました。

映像的にも似通っていて真似したのでは、とも思えます。

 

もう一つ観たのが『NHKスペシャル 全貌 二・二六事件~最高機密文書で迫る~』でした。

これを観るとやはり226事件から戦争への道がはっきりとわかってきます。

青年将校たちが「天皇にわかってもらいたい」と命を懸けた事件は結局無駄に終わってしまったのです。

 

五社『226』の価値はラストの「天皇陛下万歳」の言葉に尽きるようです。

堀川『軍閥』はタイトル通りの軍閥がいかに愚かであったかを吐き捨てるように製作された映画で決して秀作とは言えませんが思いは伝わってきます。

『226』は有名俳優を勢ぞろいさせたコスプレとさほど意味のない恋愛劇をかき混ぜた最期の最後にテーマを(皮肉に)叫んだ映画でした。

 

NHKのもう一つの番組『昭和天皇は何を語ったのか』を見るとさらに苦悩はつのります。

昭和天皇がいかに反省をしていたかを描写したものですが、あまりにも空しく思えます。

そして天皇という存在にすべてを委ねてしまうこの国の悲劇を感じます。

 

そして「この悲劇を繰り返してはならない」という言葉がいかに軽々しく何の意味もないことはすでに現実に現れています。

 

歴史劇というとどういうものか戦国時代を扱うと思う向きがありますが私は近代をもっと何度も勉強し映像化して欲しいと思っています。