ガエル記

散策

手塚治虫

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その10

ネタバレします。 第33章 爆撃で鼓膜が破れ聞こえなくなった峠草平は妻・由季江と共に疎開せずドイツ料理店でもある西洋館に居続けた。 だがそこも激しい神戸爆撃に会い離れた時に由季江だけが壕の中で怪我をしてしまう。 由季江を抱え草平は逃げ出した。 由…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その9

ネタバレします。 第29章 昭和20年1月27日午後3時30分クラブ・コンコルディア アドルフ・カウフマンは総領事と話し合っていた。 が、すでに総領事はドイツの敗戦を確信していた。 「あの伍長上がりの狂った男にいいようにかきまわされた千年王国もこれで幕が…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その8

ネタバレします。 第26章 それから三年の年月が流れ・・・ (わーっ、戦争中の3年が省略されてた) 日増しに敗戦の色を濃くしていくナチス政府はヒステリックに反政府分子を見つけては抹殺していた。 1944年7月20日 アドルフ・カウフマンはSD(ナチス親衛隊…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その7

ネタバレします。 四巻に入る。 第21章 昭和8年9月6日 横浜港についたクイーン・エリザベス号からひとりのドイツ人が日本へ上陸した。 その名はラムゼイ。ドイツのフランクフルター・ツァイトゥング新聞社の特派員だった。 ナチス党員であり新聞記者である彼…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その6

ネタバレします。 第18章 ユダヤ人を撃ち殺せという命令を受けてアドルフ・カミルの父、イザーク・カミルを射殺しもう一人の女性も射殺したアドルフ・カウフマンは殺人の罪に苦しむ。 そんな時、SS少佐が「ユダヤ人の一斉摘発を行う」と話しているのを盗聴し…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その5

ネタバレします。 第15章 道が浜の小島で死闘を繰り広げ小船に助けられて戻ってくる。 満身創痍の峠の手当てをしてくれたのは小さな飲み屋をやっている女将であった。 峠は女性を惹きつけるフェロモンが多量に出ている男なのだろう。 大きな体格と実直さが…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その4

ネタバレします。 第8章 ただひとりで大きなカウフマン邸に住む由季江。 ドイツのAHSに入学した息子からの手紙は検閲が入っていたが由季江は嬉しかった。 貸してもらった1円を返しに行くことで峠と由季江は再会する。 峠よりも由季江の方が峠の様子、背が高…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その3

ネタバレします。 第5章──続き── 豪雨は五日の夕刻にやっと終わる。 アドルフ・カウフマンの家は無事だった。 (ちなみに谷崎潤一郎氏の家”倚松庵”も無事だったという。良い身分の人は良い場所に住んでいるということかな) だが父は肺炎となり苦しみ何度も…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その2

ネタバレします。 第2章 ──続き── シュメルツ男爵邸でワーグナー「ジークフリード」を聞かされた峠はうなされて目覚め協合通信に連絡を入れて部長からどやされる。 峠の弟の件で特高が来たという。 調査はドイツの警察にまかせて早く帰れという声をよそに峠…

『アドルフに告ぐ』手塚治虫 その1

1983年1月6日号 - 1985年5月30日号「文春コミックス 他」 何度も読んだ本作ですが、昨日までの読書で『細雪』と本作『アドルフに告ぐ』が同時期に神戸を舞台にしていると気づきまた読み返したくなりました。 本作は手塚作品の中でも複雑で難しく読み落として…

『左ききのイザン』萩尾望都

1978年「SFファンタジア」4号 わずか16ページの短編SFだがこれも例にもれず素晴らしい一編となっています。 なぜこんな複雑な物語をこのページ数に収めることができしかも窮屈な感じがしないようにできるのか、多くの人が不思議がりますがまさに謎です。 と…

『シュマリ』手塚治虫 その5 完結

最終巻です。 この内容でたった四巻というのは現在のマンガでは考えられない。 ずしっと重い四巻です。 まったくの未読の初読みでした。こんなすごい話とは思わなかったしこんなに読みやすいとも思ってなかった。やはり手塚マンガは(少なくとも私には)めち…

『シュマリ』手塚治虫 その4

あけましておめでとうございます。 2025年が良い年でありますように! いつも通りやっていきます。 ネタバレします。 第十七章「脱出行」 シュマリ、十兵衛(土方歳三)太財弥十、なつめの四人は地震による落盤で炭坑内に閉じ込められてしまうがシュマリの執…

2024年を振り返る「横山光輝から始まり手塚治虫で終わる」

ずっと世の中に関係なく突っ走っている本ブログですが一年に一度くらいは振りかえってみましょうか。 今年2024年はおおむね前半と後半にくっきり分かれています。 たぶん去年もそうだったのでは。 というのは去年の6月から今年の6月までほぼ横山光輝を読み続…

『シュマリ』手塚治虫 その3

すみません。がまんできずに最後まで読んでしまいました。 あまりの感動に言葉もありません。手塚治虫の最高傑作なのではと思えました。 しかしここでは地道に続けていきます。 ネタバレします。 ちょうど二巻から。 第九章「お峯」 1875年石狩幌内熊尻 太財…

『シュマリ』手塚治虫 その2

開拓督務補佐役、島義勇とシュマリ ネタバレします。 第三章「刺青」 明治二年(1869年)12月札幌でシュマリは暴れ投獄される。 と言っても獄中にいたのはふたりだけ。 それは極寒の夜を迎えれば囚人たちは次々と死んでしまうからだった。 シュマリの目の前…

『シュマリ』手塚治虫 その1

さて続けて手塚治虫先生の明治時代もの。 こちらはまったくの初読みです。 知らなかったのですが本作はあの(私も大好きな)『ゴールデンカムイ』の元ネタであると書かれていて「なにィ」となってしまいました。 まだやっと読みだしたばかりですが最初からな…

横山光輝『飛猿斬り』からの幕末の歴史を辿り、手塚治虫『陽だまりの樹』へ

横山光輝『飛猿斬り』この作品を読んで以来、山田一郎(表紙のお人)が頭から離れずこの半年間幕末に入れ込んできました。 以前の記事はこちらです。 gaerial.hatenablog.com これを読んだ時は「天狗党」のなんたるかも知らず山田一郎の苦しみを理解してあげ…

『陽だまりの樹』手塚治虫 十一巻「維新の章」

最終巻です。 ネタバレです。 ついに最終章となった。 伊武谷万二郎は頑固一徹のまま突き進んできた。 おせき殿を一筋に思い続けていた彼はもう少しのところでその糸はちぎれてしまい彼女は手の届かない場所に行ってしまう。 入れ替わるように現れた綾は万二…

『陽だまりの樹』手塚治虫 十巻「桑海の章」

ネタバレします。 緒方洪庵は慣れ親しんだ大坂適塾を出て江戸城の奥医師そして医学所頭取となるため江戸に住むこととなる。 これは体の弱い洪庵にはむしろ有難迷惑であったらしい。 特に大奥での仕事は神経の疲れるものであった。 さて緒方洪庵を通して良庵…

『陽だまりの樹』手塚治虫 九巻「落花の章」その2

ネタバレします。 後半は画像にあげた場面、万二郎が平助を伴って登城するところから始まる。 母上の前では乗馬で出たが途中で下馬し平助に馬を引かせて猛然と走っていく。 門前に行くと以前とはまったく違う礼を以て案内され、二の丸お留守居役の勝海舟に迎…

『陽だまりの樹』手塚治虫 九巻「落花の章」その1

ネタバレします。 万二郎がおせき殿の異変を知るのは三日後だった。 ふたりの仲人をしようとしておせき殿の寺を訪ねた良庵が彼女がすでに尼寺に入って髪をおろしてしまったと聞いたのである。 良庵の知らせを聞き万二郎は善福寺へ走ったが住職とも会えず出て…

『陽だまりの樹』手塚治虫 八巻「万延の章」その2

一番左=勝海舟、左上=ハリス、左下=手塚良庵 真ん中上=ヒュースケン、真ん中真ん中おせき、真ん中下=福沢諭吉 右上=伊武谷万二郎、その下=平助、その下の左=大槻俊斎、その右=お紺、 俊斎の下=手塚良仙、一番右端=丑久保陶兵衛 ネタバレします。 …

『陽だまりの樹』手塚治虫 八巻「万延の章」その1

幕末から明治維新。 よく日本人は江戸城無血開城で平和的だと自慢する向きがありますが事実はそんな生易しいものではないのですよねえ。 ネタバレします。 安政六年の秋から冬にかけて大獄の嵐が吹きすさんだ。 頼三樹三郎、鵜飼吉左衛門、吉田松陰は斬首。…

『陽だまりの樹』手塚治虫 七巻「大獄の章」

まさかここまで望んだとおりのものだとは思ってもいませんでした。 ネタバレします。 伊武谷万二郎は橋本佐内・西郷吉之助の名で送られてきた手紙に誘われ雨の中向かった屋敷で捕らえられてしまう。 その首謀者は井伊直弼の謀臣、長野主膳だったが万二郎は知…

『陽だまりの樹』手塚治虫 六巻「虎狼痢の章」

いっそうおもしろくなっていきます。 ネタバレします。 上様の口の中の黒いシミを調べたい良庵はイギリスの医書の中にその症例が書いているのではないかと考えるが英語が読めない為どうしようもない。 そこで思いついたのが伊武谷万二郎に頼めば来日している…

『陽だまりの樹』手塚治虫 五巻「謁見の章」

やっぱり手塚治虫マンガは読みやすくてわかりやすくて面白いなあ。 ネタバレします。 橋本佐内は適塾の緒方洪庵を訪問。適塾出身者であった。 ゆっくり語らうつもりが阿部正弘が急死との知らせに慌ただしく去っていく。 刑死人一体の腑分けが行われる。 研修…

『陽だまりの樹』手塚治虫 四巻「竜胆の章」

ネタバレします。 最初は比較的良い人だったヒュースケンが一転嫌な感じに。 よくわからんハリス氏は良い人になったかと思ったらやっぱりよくわからん人に。 しかし伊武谷はヒュースケンの一言から興味を抱き韮山の反射炉を見ることになる。 そこで福井藩校…

『陽だまりの樹』手塚治虫 三巻「下田の章」

幕末・維新にはまり中の今。 注目すべきは薩長土肥よりも水戸藩なのではなかろうかと思っています。 本作ではあまり出てこないかもしれませんが、水戸藩の浪人牛久保が登場しています。 ネタバレします。 緒方洪庵の適塾で手塚良庵はダメ人間ながらもなんと…

『陽だまりの樹』手塚治虫 二巻「鳴動の章」

ネタバレします。 冒頭の丑久保陶兵衛とその妻のエピソードが怖くて一番記憶に残ってしまった。 本書の熊菱という蘭方医に臨月の妻を診せたところ「すぐに産ませた方が良い」と言って薬を飲ませたが生まれる気配はなく妻は苦しみだした。 慌ててその医者は陰…