ガエル記

散策

『陽だまりの樹』手塚治虫 五巻「謁見の章」

やっぱり手塚治虫マンガは読みやすくてわかりやすくて面白いなあ。

 

 

ネタバレします。

 

橋本佐内は適塾緒方洪庵を訪問。適塾出身者であった。

ゆっくり語らうつもりが阿部正弘が急死との知らせに慌ただしく去っていく。

 

刑死人一体の腑分けが行われる。

研修生らは立ち合い見学となり良庵も参加する。

この時、突如夜鷹のお紺が現れ腑分けを見学したいと言い出す。

お紺は男装して紛れ込んだ。

腑分けの途中、陰茎の部位になった時お紺は忍び泣き始める。

腑分けされた男はお紺の亭主だったのだ。

虐待をする酷い男だったが忘れられずにいたのである。

 

が、夜鷹に腑分けを見せたことが洪庵先生の知るところとなり良庵は破門すると言い渡されてしまう。

だが一か月でフーフェランドの医療訓を暗記し洪庵の質問に答えきれるならば破門を許そうと言われ良庵は一念発起し福沢諭吉から教えられながら勉強していく。

結局福沢のいたずらにまんまとのっかって遊郭に行ってしまい皆に驕る羽目になる。

いたずらとわかって逆ギレしたが福沢の弁舌にまたもや大反省する。

 

洪庵先生のテストに合格し良庵は破門されずにすんだ。

が、江戸の父から帰るようにとの手紙が届き良庵は急ぎ江戸にもどる。

この時どういうわけかお紺が江戸についてくる(たぶん手塚先生気に入ったのだろうな)

江戸までの船旅中に良庵は親子連れらしい娘に目をかけ早速手を出す。

「まあまあの小娘だったが二度手を出すほどではないな」とひとり評する良庵。

我が家に帰りつく早々「お前の見合い相手だ」と言われるがその女は船旅のあの女であった。

 

さて手塚良仙が目指している種痘所問題に新たな展開が起こる。

蘭方医が遂行しようとする牛痘を阻止せんとする漢方医に無理難題が押し付けられたのだ。

それはアメリカ合衆国弁理行使タウンゼント・ハリスが江戸へ入り将軍に謁見し親書を献上する次第になったのだが徳川家定は病弱で謁見などできない状態であった。

奥医師である漢方医たちは「一か月内に上様をご平癒奉るよう」申し付けられたのである。

がこれまでできなかったことが一か月でできるわけもない。

漢方医たちはやむなく蘭方医に頭を下げたというのだ。

 

もしこれで蘭方医が上手く事を運べたら奥医師となり念願の種痘所も建設できるはずだ。

とはいえ蘭方医も上様の病気を治せるわけもない。

なんとかしてハリスとの謁見を穏便にすますことができないか。

ここで良庵は奇策を考える。

家定が座る場所の床下に人を隠しハリスへ声をかけるというからくりだった。

 

ところで幸薄い水戸藩の浪人、丑久保陶兵衛はハリス暗殺の使命を帯びて暗躍するがうまくいかず伊武谷の番犬と自称する平助に斬られる羽目になる。

丑久保は傷を負って逃げるが平助もまた右手首を切り落とされる。

 

ハリスは無事に家定と謁見した。

家定が右足を踏み鳴らすという不思議な動作が気になったものの謁見は無事に行われたのである。

 

ところが謁見の後、家定は急に具合が悪くなり倒れてしまう。

奥医師たちが診たところ、口の中に奇妙な黒いしみがあった。

その他にはなにもわからない。

ハリスとの謁見で蘭方医を頼ってきた多紀元迫が仲間の反対を押し切ってまたもややってきたのである。

事情を聞いた良庵は大坂適塾へ行ってこの謎を解こうとする。