ガエル記

散策

『陽だまりの樹』手塚治虫 四巻「竜胆の章」

 

 

ネタバレします。

 

最初は比較的良い人だったヒュースケンが一転嫌な感じに。

よくわからんハリス氏は良い人になったかと思ったらやっぱりよくわからん人に。

 

しかし伊武谷はヒュースケンの一言から興味を抱き韮山反射炉を見ることになる。

そこで福井藩校明道館教監、橋本佐内と出会う。

佐内が藤田東湖を尊敬しているという一点で伊武谷は仲良くなる。そして佐内から「近いうちあなたにも一役買ってもらうことになりそうです」と言われるのである。

そしてこの直後に会う不気味な中年男平助に出会う。

この男、マジで謎である。

いったいなぜこの男が登場したのか。

すごく印象深い存在なのだけど意味が良くわかっていない。

今回の読書でわかるだろうか。

 

さらにその直後突然伊武谷の父の死が知らされる。

一緒にいたという良仙は心臓の病だったと述べた。

 

しかしそれは人目があったための良仙の嘘だった。

万二郎とふたりきりになり良仙は経緯を告げる。

実は良仙を狙った暴漢から逃れるためまずは良仙を川に落とし続いて自分は足を滑らせ落ちてしまったのだ。

「お父上はわしをかばって救ってくだされた」と良仙は伝えた。

「そいつが父を殺した仇敵だ」

 

初七日が終わり、手塚良仙は伊武谷万二郎を誘い医師仲間に会わせる。

そして種痘の話をして伊武谷に一役買ってほしいと願い、陳情書を阿部様か堀田様に渡してほしいと託すのだった。

 

折しも伊武谷は五十石加増の沙汰をいただき四月二十日の老中会議に出席することとなる。託された種痘所陳情書を渡す機会となる。

ところがここで平助が伊武谷の父の仇を見つけたと知らせにきたのだ。

 

出世か父の仇か。

さらにずっと思い続けているおせき殿と出会い語らう好機までやってくる。

しかし万二郎はすべてを捨てて父の仇に会いに行く。

 

その男は以前おせきを襲ったあの男、楠音次郎であった。

久しぶりの再会で剣を会わせる。

が、万二郎もまた堀に落ちて仇討は中断した。

万二郎は高熱を出して寝込む。

老中会議の日がやってきた。

大老堀田正睦の召集で攘夷派水戸の徳川斉昭はじめ井伊直弼松平慶永そのほかの幕臣や外国通の専門職を加えての大評定である。

この会議こそはタウンゼント・ハリスが持ち出し強硬に押し付けようとしている日米通商条約五か条についての最終評議であった。

 

万二郎は熱が冷めないまま城に向かうが既に門が閉ざされていた。

そこへ勝海舟が現れ伊武谷を伴い賄賂を渡して中へ入る。

老中会議の次の間に控えるが伊武谷は名指しで呼ばれる。が、高熱のためしどろもどろの返事をしてそのまま気を失う。

高熱を押して登城したことを水戸の徳川斉昭は賛辞した。

阿部正弘は伊武谷が落とした陳情書をすでに受け取り川路聖謨に渡していた。

それを知った奥医師たちは慌てて川路に五百両の小判を贈り物にして種痘所陳情書を取り下げて欲しいと願った。

川路は奥医師の態度に不快を覚え寝込んでいる伊武谷にその五百両を渡す。

蘭方医の種痘運動の中に箕作阮甫がいることで川路はこの考えが重要な対策なのだろうと考えていた。

「今直ちに許可するわけにはまいらんが時期を待て」と川路は伝えた。

 

さてこの後、またもやややこしい話になる。

江戸の地震で救ってもらった恩がありその時から万二郎を思い続けていながら養女となって大坂にいたお品が江戸に来て万二郎に手縫いの羽織袴をお礼にと渡したのである。(ややこしや)

そのお品は万二郎と結婚したさに武家系図を買おうとして丑久保陶兵衛に会う。

お品の思い人が伊武谷万二郎とわかった途端丑久保はお品を手籠めにした。

 

物語の中でメンドクサイ女というのが時々あるがこのお品がそうなのだろう。

しかしそういう女の存在で物語が動いてもいく。