ガエル記

散策

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『時間回廊の殺人』イム・デウン

私がこれまで観てきた韓国映画と違った風味で面白かったです。ぎり11月に観たのも良いタイミングでした。 以下ネタバレですのでご注意を。 ちょっとだけ言いたいのは神父様が若くて美男子すぎるのではないでしょうかw さすが美男の国の韓国映画、とはいえ…

『弁護人』ヤン・ウソク

予備知識なしで観始めたのですがこれは韓国大統領だった廬武鉉がモデルになっているのでした。それにも驚きました。 つまりこの映画の内容は反政府的であり映画公開当時の韓国政府に反感を持たれてしまうのは必至だったわけです。主演のソン・ガンホは当時政…

『光州5・18』キム・ジフン

実際に起きた悲劇のクーデターを描いた作品と比較してしまうのは申し訳ないのですがこの映画に見合う日本映画は『シン・ゴジラ』ではないかと思いました。 というのは映画自体の品質は良くないのでそれぞれにとっての外国での評価は低いけれど本国では国民的…

『タクシー運転手 約束は海を越えて』チャン・フン

韓国俳優さんはみんな背が高いなー。ソン・ガンホも大きいけど若いやつさらに高いとは。 韓国映画スイッチが入ったのでイ・ジュニク作品終わったけど続けて観ることに。 こちらはソン・ガンホつながりというべきかもですが冒頭でピーターと英語で話していた…

『王の男』イ・ジュニク

イ・ジュニク監督作品鑑賞シリーズ。これは当時買ったDVDでの鑑賞です。 私はこの映画があまりにも好きで聞けも読みもできない韓国語豪華版セットまで買ってしまいました。 そして何度も何度も観てきました。今回はしばらくぶりの鑑賞になりましたが物語は全…

ぼーずチャン・グンソクがかわいい『楽しき人生』イ・ジュニク

イ・ジュニク監督作品鑑賞週刊、初鑑賞は最後になります。これ以降はもう再鑑賞となるか新しい日本版が出るか、韓国語版を観るか、ですね。 ふつうなら本作鑑賞の目的はチャン・グンソクでしょう。有名になった『美男ですね』より数年前の彼なので初々しく素…

もうすぐその日が来ます『ソウォン/願い』イ・ジュニク

イ・ジュニク監督作品を観ていこうということで次の作品がこれなのですが説明を読んで心が絞られました。 8歳の少女が性虐待を受けた実際の話の映画化とあって何度も躊躇してしまいましたが一度観始めると最後まで観てしまいました。 思った以上に残酷で辛…

『金子文子と朴烈』イ・ジュニク

ちょっとこの感情をどこにぶつけていいのかわからないほどです。 現在ではもう感動するラブストーリーなど観ることはできないのではないかと思っていました。確かにこの物語自体の時期は昔(1920年代)のものではありますが現代にこうして蘇らせられ観る…

『一人称単数』村上春樹

図書館で借りて読みました。今まで彼の小説を面白いと思ったことはないのですが、もしかしたらという期待はあっさりと裏切られ、というよりも正直「読んでみよう」などという気持ちを起こさなければよかったと後悔すらしています。 私が先に読んだのは最後に…

『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』ホ・ジュノ

日本と近隣諸国との密接な物語作品が増えてきて映画として観ることができるのはとても喜ばしいことです。 我が国・日本という国は「鎖国」というとんでもない状態を作り出したために諸外国と関係した物語が極端に少ない。同じ「島国」であるイギリスが極端に…

「右翼とオカルト」を考える『鬼滅の刃』『カミヨミ』『鋼の錬金術師』

『鬼滅の刃』の人気が続いています。私はアニメの最初を観てその後もちらちらと観てはみたのですがどうやら好みではないようだと思ってあきらめています。 それでも最初に観てみたのはこの作品の設定を聞いて「大正時代を舞台にした右翼オカルト」かーと凄く…

『王の運命-歴史を変えた八日間-』イ・ジュニク

安富歩教授に感想を聞きたい映画でした。親が子与える歪んだ教育と愛情は残酷な状況を生み出してしまうのです。 そしていつもながら邦題『王の運命』は間違っているわけです。これは王だけではなくすべての親子の物語であると思います。 原題は『사도(思悼…

魔女っ娘ものより忍者っ娘ものを

海外ではどうなのか知りませんが、日本のアニメでは男子が戦隊もの、女子は魔法使いもの、という定番が長い間続いています。 この繰り返しの理由は様々あるのでしょうが、すぐに思いつくのはテレビアニメ制作側が「男子はコレ女子はコレ」と決めたものがやは…

諸星大二郎と『進撃の巨人』

諸星大二郎マンガに『流砂』という作品があります。1982年発表のものですが私は『ぼくとフリオと校庭で』という単行本で読みました。 以下ネタバレしますのでご注意を。 この本はとても面白い作品が詰まっています。あとがきに作者氏が「気に入ってるものが…

『ミッドサマー』アリ・アスター

怖く面白い、という噂を読んでから物凄く期待していましたが、思ってた以上に凄かったです。 以下、ネタバレしますのでご注意を。 この映画を観てから「日本で作ったら・・・」と考えようとしたのですが古い伝統を守り続ける田舎に見知らぬ者が訪れてという…

『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ その2

あまりにおもしろくてずっと解析していくこともないと思うのですが、一番感動したのは息子君が(貧乏のほうでも金持ちのほうでも)父親を凄く慕っていて尊敬しているということですね。 しかしその尊敬と愛情は父親が息子君を大事にして愛しているからこそな…

『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ

噂にたがわずとんでもない面白さでした。堪能しました。 ネタバレしますのでご注意を。 観終わったばかりで何も整理できてはいませんがとにかく面白かったです。 人情もの的な映画なのかと思っていたらむしろ昔懐かしいコンゲームを思わせる流れになっていて…

『影裏』大友啓史 その3

映画化を聞いてこの画像を見た時は期待しました。 以下ネタバレしますのでご注意を。 なんといってもこの映画作品を良しとできないのはそれ自体が同性愛を表面的にしか描いていないからです。 先日も書いたように大友監督は原作にはないセリフ「ものごとの表…

『影裏』大友啓史 その2

北の大地と書いて岩手県ということでいいのだろうか? 原作は沼田真佑氏によって書かれた素晴らしい小説ですが、映画は大友啓史監督によってその価値は非常に歪められてしまいました。 以下ネタバレしますのでご注意を。 松田龍平、綾野剛そして父親役に國村…

『影裏』大友啓史 その1

原作小説の感想を書いた時「この映画に期待している」と本気で思っていたのに映画公開にも(どうせ行けないが)DVD化にもまったく気付かず偶然見つけた時はすでに旧作品になっていました。 ネタバレしますのでご注意を。 芥川賞受賞という華々しいデビュ…

『秋瑾 -競雄女侠-』ハーマン・ヤウ

アマゾンプライムで鑑賞したのですがなぜかこの映画を検索しても情報が出てきませんね。 日本でも学んだという秋瑾という名の実在の女傑の物語ですが私はこの映画で初めて知りました。 数少ない情報を読んでもやはりあまり有名ではないようですがこれは観て…

『春の雪』行定勲

日本製の「恋愛映画」を観ると(恋愛映画と称されているものを観ることが少ないのではありますが)いつもそこに恋愛がないように思えるのはどうしてなのでしょうか。いまだによくわからないのです。 その中でも本作『春の雪』にはまったく恋愛など存在してい…

『危険なメソッド』デヴィッド・クローネンバーグ

なぜかこの作品のポスターに関しては海外のものより日本のほうがよかったのです。 さっと言葉にしてしまえないほど興味深い映画でした。 まず感じたのは異常者として登場しているザビーナは現在の人間の目からはむしろまともに見えるのではないでしょうか。 …

アツギのタイツイラストを考えてみる その2

gaerial.hatenablog.com 今朝の続きです。 津原泰水氏の指摘でこれらのイラストが平成初期タッチでありそのカテゴリにはもう女性しか残っていないという事柄を知って侘しく思います。 炎上騒ぎは「女性向け商品をどうして男性受けを狙ったとしか思えないイラ…

アツギのタイツイラストを考えてみる その1

#ラブタイツというタグをつけてタイツメーカーの「ATSUGI」が打ち出したキャンペーンは「タイツをはいた女性のイラストとのコラボ」という形で話題を集めようとしたものでしたがそのイラストを見たフェミニストの間で「女性向けの商品を何故男性目線の広告…

『フォードvsフェラーリ』ジェームズ・マンゴールド

wowowにて鑑賞。 良い映画だと聞いていましたが本当に良い映画でした。文句なし。古臭い時代のノスタルジーが好きであるならば。 ネタバレしますのでご注意を。 昨日書いた『ファーストマン』と違い伝統的なアメリカの男たちの物語。スピードと記録に挑戦し…

『ファーストマン』ディミアン・チャゼル

この映画の記事はもう書いたんだろうか。覚えていないのですがもう一度観るのは辛いので再度書くこともないと思っていました。 先日「父と娘の物語」に良いものはあるだろうかと考えていてまず思いついたのがこの映画でもう一度観なおしたくなったのでした。…