ガエル記

散策

『秋瑾 -競雄女侠-』ハーマン・ヤウ

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アマゾンプライムで鑑賞したのですがなぜかこの映画を検索しても情報が出てきませんね。

日本でも学んだという秋瑾という名の実在の女傑の物語ですが私はこの映画で初めて知りました。

数少ない情報を読んでもやはりあまり有名ではないようですがこれは観てよかった。彼女のことをもっと知りたく本も読んでいこうと思っています。

 

ちょうど昨日観た三島由紀夫原作の『春の雪』と同じ頃1900年代初期を描いた作品です。

比較するのもなんですが『春の雪』主人公&ヒロインの時代の止まった腑抜け精神に比べ本作ヒロインの力強い未来を見つめるまなざしに圧倒されてしまいます。これら二つの作品が示す通り日本は昔ばかりを見つめ中国は未来を見つめているというわけですね。

しかも秋瑾マジで美女です。

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これは映画中によれば日本で撮った写真のようです。手持無沙汰と言われた彼女は自ら短刀を手に取ってその姿を撮影したのでした。

裕福な家に生まれた彼女は幼い時当時の女性にとって嫁入り道具として当然だった纏足を幼いながら拒否し男と同じ学問を好み武芸にも励み実際強かったのでしょう。

20歳でさらに財産家に嫁ぎ二人の子供も生まれますが社会の在り方男女差別に悲観していきます。

隣家の婦人宅で日本人女性と出会い女性にも学問が必要だと聞きついに彼女は夫と子供を残し単身日本に渡るのでした。

 

しかしその後、秋瑾が活躍できたのは僅かの期間でしかありませんでした。

彼女の名前が中国国内にそれからどのように伝わったのかは私にはまだわかりませんがかつて虐げられた女性たちがどのように苦悩し行動していたのか、その一つの物語を知りました。

しかも中国女性である秋瑾が日本に希望を見出そうとしていたことを思うとさらに複雑な思いが押し寄せます。

 

映画としても面白い作品でした。

ボンボン育ちの夫が秋瑾を懲らしめようと殴りつける場面があるのですが武芸に秀でた秋瑾はなんなくやり返し弱っちい夫は吹っ飛んでしまいますwとはいえこの夫さんとても良い人でもあるのです。遊ぶことしかできないのですが纏足じゃない秋瑾を嫁にしたというのは当時では考えられないことだったのかもしれません。そして日本から戻ってきた秋瑾をやさしく迎えてくれた時は「笑ってごめん」と思いました。

秋瑾役のクリスタル・ホアンがとても素晴らしかった。

善良な役人がアンソニー・ウォンだったのがうれしかったです。

 

秋瑾、「国を憂う」その思いで駆け抜けた女性でした。