ガエル記

散策

少女

『おにいさまへ・・・』池田理代子

本作はリアルタイムで読んでいました。ラストは読まなかったのか記憶していませんでしたがかなり覚えているほど強い印象のマンガ作品です。 ネタバレしますのでご注意を。 女子校における同性愛的物語、と説明されてしまうであろう本作ですがあくまでも「的…

『ジェーン・エア』シャーロット・ブロンテ その2

ドラマの画像です 再読完了しました。 描かれている恋愛の激しさに打ちのめされます。現在の感覚でいえばここまで情熱的なセリフを語るのはやりすぎ、と思えるのですがそれでもやはり感動してしまいます。 急に読みたくなったのはもしかしたらこの時代がかっ…

『岸辺の旅』黒沢清 その2『はちどり』

続けて観たこともあってその差異と共通点を感じたのが韓国映画『はちどり』です。 若いキム・ボラ監督第一作のシンプルな構成と比較すると本作は非常に技巧的な熟練を感じさせます。 『岸辺の旅』はタイトルからしても年を経て生きていく悲しさがあり『はち…

『はちどり』キム・ボラ

昨日観た『サニー永遠の仲間たち』で珍しく韓国映画に失望してしまったのですが巷で高評価だっただけにかなり残念でした。 これも評判の高い本作『はちどり』を観てどう思うか不安もありながら本作のすばらしさにため息でした。 ネタバレしますのでご注意を…

『サニー 永遠の仲間たち』カン・ヒョンチョル

上の本国・韓国版と使っている写真は同じなのにレイアウト・色味などで微妙に差異をつけた日本版ポスターを並べてみました。 韓国版がもっさりしているのに日本版はシャープな感じですが、この映画の場合は本国・韓国版が正解でしょう。妙なおしゃれ感は間違…

『映像研には手を出すな』大童澄瞳/ 湯浅政明

マンガを読みながらのながら観のつもりがついそちらを真剣に観てしまう。 しかしこれやはり湯浅監督でなければここまで凄いアニメ化はできなかっただろう、と思われますね。 このアニメに関しては放送前から情報を得ていたので特別に期待していたのですがそ…

『死霊館 エンフィールド事件』ジェームズ・ワン

実際に起きたポルターガイスト事件を再現化した作品です。 2016年製作のアメリカ映画ですが、舞台はイギリス・エンフィールドで事件が起きたのは1977年です。 その背景が味わい深く描かれていて今風ではない懐かしいクラシックな仕上がりになっていて私のよ…

現在の性認識と源氏物語 その3

私が読んだ『源氏物語』は田辺聖子著『新源氏物語』(今風にいうと『シン・ゲンジモノガタリ』)です。なのでここで書いていることはそこからの引用・感想となります。 田辺聖子氏によればあくまでも「主人公である光源氏を魅力的な人物として描くこと」とさ…

『日本まんが 第参巻: きらめく少女の瞳 』荒俣宏

図書館から借りてきました。 現在amazonでは在庫なしとなっています。 あったとしても3500円+税というかなりの高価本です。 いきなり第参巻です。1・2もあったのですが何気なく3巻だけ取ってしまいました。 後日借りて読みます。 荒俣宏氏がそれぞれの巻の…

『少年青年マンガ』の戦いと『少女マンガ』の戦い

先日ひょこっと思いついたことを忘れないうちに記しておきます。 事の始まりは相変わらずですが、ある方のツイートでした。 これ真鍋先生がよくやる「途中まで言っていることはもっともそうなんだけど、その結論や行動は浅はかだよね」という一種の皮肉なの…

日本短編漫画傑作集に少女漫画は入りません

普段ほとんどツイートをしない私がせずにいられなかった情報を知ったのが昨日です。 それは近藤ようこさんのツイートからでした。 そうなんですか。それで「日本」とつけるのはそれはそれで… https://t.co/jh79eOm0pM — 近藤ようこ (@suikyokitan) 2021年5月…

『ずっとお城で暮らしてる』ステイシー・パッソン、そして『ミーシア』吉野マト

日本未公開でwowowにて初放送という映画作品です。 以下ネタバレしますのでご注意を。 「暴力」を描いた作品です。 感想を書こうとしてなかなか書けずにいた時に別のマンガ作品を読みました。 shonenjumpplus.com とても魅力のあるマンガですがかなり粗削り…

『HOUSE ハウス』大林宣彦

今まで何度か観賞しようとして挫折していたのですが昨日の『花筐』感動に力を借りて再挑戦してみました。 1977年公開当時私は大林監督が観客対象者に望んだ15歳以下だったわけですがその時観たとしてもこの映画を楽しめる才能はなかったように思えます。 今…

「100分de萩尾望都」その2『半神』『イグアナの娘』

続きです。 前回に続きヤマザキマリ氏が語る『半神』と『イグアナの娘』どちらも深い考察で納得でした。 『半神』はリアルタイムで読んで衝撃を受けただけでなく野田秀樹の舞台も観たという私としては珍しい体験をしています。 初めて観た夢の遊眠社の舞台に…

『京城学校 消えた少女たち』イ・ヘヨン

再鑑賞です。とても好きな映画です。いろいろな萌えポイントを押さえまくった作品です。前も書いたでしょうか。こうした韓国における日本支配下の恐怖状態というのは映画として最上のオカルトポイントなのですが日本人の私が書くのも怖いのですが韓国映画で…

『少女は悪魔を待ちわびて』モ・ホンジン

おもしろいんだよねえ。毎日韓国映画を観ているのに実にバラエティの富んでいるしなにより配役がとても良い、と思うのです。 いつも比較になるのですが日本映画だと「なんでこの俳優?」となってしまうし演技はつまらないし魅力に乏しいのでがっくりしてしま…

『ウンギョ 青い蜜』チョン・ジウ

しまった!こんなに面白い映画だと思わずにいました。アマゾンプライム観放題期間あとわずかなので未見の方はお急ぎを! 他の方も書かれていますが邦題の『ウンギョ 青い蜜』のせいで若い女性を売り物にしたエロ映画と勘違い商品しまった方が大勢おられるよ…

『美少女を食べる』諸星大二郎 その1

私にしては珍しい新刊読書でした。いつも時間が経ってからしか本も映画も見られないからなあ。 先日漫勉で諸星さんのを観てから持ってた本を引っ張り出して読み返したりしていて久しぶりに本屋に行ったらあったのでこれはきっと巡りあわせだと思って買ったの…

もうすぐその日が来ます『ソウォン/願い』イ・ジュニク

イ・ジュニク監督作品を観ていこうということで次の作品がこれなのですが説明を読んで心が絞られました。 8歳の少女が性虐待を受けた実際の話の映画化とあって何度も躊躇してしまいましたが一度観始めると最後まで観てしまいました。 思った以上に残酷で辛…

魔女っ娘ものより忍者っ娘ものを

海外ではどうなのか知りませんが、日本のアニメでは男子が戦隊もの、女子は魔法使いもの、という定番が長い間続いています。 この繰り返しの理由は様々あるのでしょうが、すぐに思いつくのはテレビアニメ制作側が「男子はコレ女子はコレ」と決めたものがやは…

『贖罪』黒沢清 その2

第四話と最終話を観終わりました。 小泉今日子さんがとても素晴らしく見ごたえありました。 しかしこれは俳優の魅力と言うのは結局監督の演出力であるという証明でそれは当たり前ですね。 ネタバレになりますのでご注意を。 第四話、小川由佳。池脇千鶴が演…

『贖罪』黒沢清 その1

ネットフリックスにて鑑賞。原作は未読です。 全部観終えてからだと忘れそうなので途中で書き留めておきます。 ネタバレしますのでご注意を。 「いかにも現代日本らしい幕の内」弁当的物語となっています。 冒頭小学校で遊んでいた数人の女児たちに声をかけ…

『幸福路のチー』宋欣穎

実をいうと本作中身を見るまでは期待していませんでした。日本やアメリカ・フランスのアニメを見なれてしまった目には本作のポスターとなるイラストがあまりに稚拙に映ったのです。 同じように感じた方はその偏見を捨てて内容を観てください。きっと目にはま…

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』レミ・シャイエ

ロシアの物語ですがフランス語で作られたフランスのアニメ映画でした。日本でも外国を舞台にしたアニメは多いですが、外の国から見るからこそよりファンタジックになる要素はあるのかもしれません。 ネタバレしますのでご注意を。 氷の世界を進みゆく少女、…

『虐待の証明/ミス・ペク』イ・ジウォン

子供を酷い目にあわせる映画はどんなホラーよりも怖ろしくて観るのが耐えがたい。この映画も何度も観るのを止めようとしたのですが「自分は観ているだけなのに逃げちゃいけない」と言い聞かせてどうにか見通しました。 韓国映画は久しぶり(と言うほどでもな…

ポルターガイストか奇跡か? 喋るマングース ジェフの物語

ポルターガイストか奇跡か? 喋るマングース ジェフの物語 【陰謀コーナーベストセレクション】 このお話、他の人が語っていたらこれほど面白く思えなかったかもしれません。 アリさんの人柄というより哲学といったものでしょうか。 ある意味胡散臭いと言わ…

『ディリリとパリの時間旅行』ミッシェル・オスロ

とても一言では言い表せない美しさと感動を描き出したアニメ作品でしたが同時にやりきれない悲しみも感じられました。 多くの人々、特に「普通の日本人たち」に観てもらいたい作品です。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 アニメの美しさはもう観ていた…

『ロリータ』スタンリー・キューブリック

この映画、観ていない、と思っていたのですが観始めたら一度観ていたような気もしてきました。なぜなら途中のホテルでの簡易ベッドを広げるドタバタ場面がデジャ・ビュだったからなのですが、もし観ていたのだとしてもまったく覚えていないのは無理からぬこ…

『アガサ・クリスティー ねじれた家』 ジル・パケ=ブランネール

グレン・クローズとテレンス・スタンプが出ているのなら観ずにはおけないではありませんか。 アガサ・クリスティ原作ということだけでも観ないわけにはいかないのですが。 大富豪の大きな屋敷。そこの住む人々は皆「変わっている」 昔に戻ったかのような演出…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その2

続けます。 先にお断りをしますが、前回松恵が「孤児院からもらわれて」というのは間違いでした。子だくさんの家から弟と一緒に選ばれたのでした。あんまりいっぱいいたので早合点しましたwまさかあんな大人数が兄弟だったとは。「貧乏人の子沢山」で困って…