ガエル記

散策

宗教

『復讐するは我にあり』今村昌平

凄い映画であるのは確かなんだけどこれをどう書いたらいいのか、わからずしばらく迷ってしまいました。 他の方のレビューを見ていくうちに自分がなにを書きたいのか少しわかったような気がしました。 ネタバレしますのでご注意を。 いったいこの映画はなにを…

『タミー・フェイの瞳』マイケル・ショウォルター

主演ジェシカ・チャスティンが本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞した、などという記憶はまったく残っていなかったので「いったいなにこれ」という鑑賞でした。 冒頭から主人公が何やらとんでもない事件を起こしたことが表されしかもその人がとんでもなくケ…

『フットルース』と『クローブヒッチ・キラー』

先日テレビ放送されたので観てみました。 が、この物凄い違和感はなんだろうと思いちょっと書いてみます。 物凄い違和感と書きましたが本作が悪いわけじゃないのです。 1980年代ハーバート・ロス監督作品のいわばミュージカル的映画で私も楽しく鑑賞した記憶…

『バカの壁』養老孟子

2003年のベストセラーということですでに18年前の著書になります。ちら読みはしていたかもですが今回初読しました。 レビューを見ると賛否両論の本書ですが私は有意義な本だと思いました。18年経ってからだからこそ納得できる部分もあるかもしれません。 し…

『わが命つきるとも』フレッド・ジンネマン

『A Man for All Seasons』というのが原題です。英語に堪能でない私には「全季節の男」ってなに?ってかんじです。この意味について書いてくださっているブログを見つけました。 eigo-kobako.blog.ss-blog.jp どんぴしゃこの映画についての記事でした。やは…

『フィールド・オブ・ドリームス』フィル・アルデン・ロビンソン その1

『フィールド・オブ・ドリームス』がNHK・BSプレミアムで8月30日放送されるのですが急に観たくなってアマプラで先に観てみました。 とはいえ私は昔観てはいるし特段本作に思い入れがあるわけでもありません。例によって『SonnyBoy』につながりがあるような感…

コール(呼びかけ)とレスポンシビリティ(責任)

www.youtube.com マル激トーク・オン・ディマンド 第1060回(2021年7月31日) 「罪」と「責任」の違いと韓国ドラマのすごさ ネタバレ全開の映画評論が面白く凄いのですが今回の宮台真司氏の解説は特に感激してしまったのでここに記録しておきたいと思います…

『戦火のナージャ』ニキータ・ミハルコフ

前作『太陽に灼かれて』は未見ですが引き込まれて観てしまいました。 あまり観る機会のなかった独ソ戦作品です。 冒頭のスターリンエピソードからして奇妙に怖ろしくぞわぞわしました。この共産圏独特の恐怖は耐え難いですがそれを弾圧する派も恐ろしいです…

『キリング・ストーキング』クギ その4 『嘆きのピエタ』キム・ギドク 

前回の説明どおりかつて心酔していた映画作家キム・ギドク作品でしたが『うつせみ』(私は『空き家』となっていた頃観ましたが)を最後に次第に離れギドク氏の人格にも疑問を抱いてこの作品『嘆きのピエタ』は観ないままでした。 『キリング・ストーキング』…

『レベレーション』山岸凉子 完結したジャンヌ・ダルクの物語 その4

続けます。 山岸凉子他の作品についてもネタバレしますのでご注意を。 タイトルに「完結した」と書いてしまいましたが、山岸凉子という作家においてこの物語は完結したのでしょうか。 山岸凉子ほど自分の内面を見つめ恐ろしい心理を描き抜いた作家はいないと…

『レベレーション』山岸凉子 完結したジャンヌ・ダルクの物語 その3

続けます。ネタバレしますのでご注意を。 山岸凉子著『レベレーション』は『日出処の天子』と違って史実に忠実に描いた、と作者自身書かれていますが、私は同じく作者本人の心が反映された物語そのもの、と考えています。 他にあまり書かれたことがなかった…

『レベレーション』山岸凉子 完結したジャンヌ・ダルクの物語 その2

昨日の記事に「この考察は的外れだ」という指摘があったのですが私にとっては的にめり込む考察であります。この考察をして書かなければ私にとって山岸凉子を読む意味がありません。 では続けます。 ネタバレしますのでご注意を。 巻末に『逃げるは恥だが役に…

『レベレーション』山岸凉子 完結したジャンヌ・ダルクの物語 その1

『レベレーション』6巻。 山岸凉子氏が描いたジャンヌ・ダルク物語が6年を経て完結しました。毎年クリスマス頃に発売されていたので覚えやすく毎年楽しみでした。 以下ネタバレします。他の山岸凉子著作についてもネタバレしますのでご注意を。 実は『レベ…

『マイケル・ジャクソンの思想』安冨歩

マイケル・ジャクソンが1992年10月に行ったブカレストのライブを中心に収録されたライブDVDからの考察でありました。 急遽このDVDを購入して読みました。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 購入する際amazonでのレビューが目に入りました。もとも…

『三蔵法師・玄奘の旅路』霍 建起(フォ・ジエンチイ)

アマプラで「なにこれ?」と思いつつ観てみたらとても素晴らしい作品でした。 玄奘三蔵と言えば『西遊記』でお馴染みのお坊さんですね。私にとっては手塚治虫アニメの『悟空の大冒険』での「坊さん」が初の印象だったのでアレはあまりに畏れ多かったのですが…

『日本人と日本文化』対談ドナルド・キーン 司馬遼太郎 「宗教」

昨日の続きになります。 ドナルド・キーン氏と司馬遼太郎氏の対談『日本人と日本文化』の第二章でキーン氏は著書にこう書かれたそうです。 東南アジアと比べると、日本仏教はあまり目立たない この一文にある日本の大学教授が「われわれの心は外国人には透過…

『マトリックス』ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー

相変わらずアリとデイブの陰謀を聞いているんですがあまりにも『マトリックス』が出てくるので(そうでもない?)以前観てはいるのですがもう一度確かめたくなって鑑賞しました。 この映画自体それまでの様々な映画要素、特に香港映画カンフーアクションさら…

『Kundun クンドゥン』マーティン・スコセッシ

すばらしい映画で悲しくもありますが何度も観なくては、と思えてしまいます。 ダライ・ラマに受け継がれていく「生まれ変わり」という考え方はとても不思議ですがある意味そうでなければならないのかもしれません。 幼い時に見いだされ教育をされるとはいっ…

『サイン』M・ナイト・シャマラン

シャマラン監督作品はとにかく不思議です。インド系だから、という短絡的な理由づけはできないでしょう。インド映画で同じような作品があるとはまだ聞いたことがないのですし。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 本作、最初チラ見した時はなんだかよく…

『僕はイエス様が嫌い』奥山大史

冒頭観てもうすっかり惹きこまれて観てしまったのですが、なんかもう茫然としています。 特に最近、日本の映画を観るたび失望して「日本映画にはもう未来なんかないんじゃないか」とまで思っていたのでやっと小さな灯りが見えたような気がしました。 本作監…

『背徳と貴婦人』シャルル・ド・モー

相変わらずヘンテコな邦題です。ヒロインであるウラナラは皇帝の皇后なのですから貴婦人、という軽い名称は畏れ多いのでは。フランス語題名は『Le portrait interdit』で『禁じられた肖像画』中国語題名で『画框里的女人』こちらも額縁の中の女性という意味…

『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』パブロ・ラライン

相変わらず邦題の酷さはすさまじいのですが、内容は思いがけず晴らしいものでした。 監督の名前が聞きなれないラテン方面なので検索したらチリ出身ということで納得しました。偏見になってしまいますが、映画の雰囲気が南米映画によくある情感にあふれたもの…

『スポットライト 世紀のスクープ』トム・マッカーシー

いつものことだけど「世紀のスクープ」という付け加えられた副題は的外れで馬鹿々々しい。 日本の映画界としてはこの映画のテーマが「世紀のスクープ」に騒ぐ報道と認識しているのだ、と認識していいわけですね。 このことは現在も日本社会で叫び続けられる…

『炎上』市川崑

三島由紀夫『金閣寺』を原作として美剣士で名を馳せていた市川雷蔵がそれまでのイメージを覆す主役を演じました。 再鑑賞です。 ネタバレしますのでご注意を。 1958年製作映画ですが今観ても遜色ない表現で違和感を覚えません。 一種の障害を苦痛として暗闇…

『千利休 本覺坊遺文』熊井啓

昨日に引き続き熊井啓作品を鑑賞しました。なんとなく気になって(先日『利休』を観たのもあって)後で熊井啓監督作品だった、と気づくといういつものヤツ。熊井監督は昨日の『海と毒薬』もですが映像が美しくその世界の中に入っていきたいと思わせる情感が…

『宇宙人ポール』グレッグ・モットーラ

よくこんな俳優さんいたなあ、と思ったらご本人がご本人の役でありました。 アマプラで鑑賞しました。タイトルは知っていて前から気になっていたのを今頃見つけて慌てて鑑賞。もうじき見放題が終了するので未見の方はお急ぎください。 仲良しイギリス人オタ…

『ある少年の告白』ジョエル・エドガートン

映画には大まかにふたつの種類があってひとつは個々人の精神を表現するもの、もうひとつは実際存在する事象を良きにつけ悪しきにつけ報道する形のもの、と言えるのではないでしょうか。 例えば先日観た『魂のゆくえ』は社会を描きながらも本質は個人の精神の…

『魂のゆくえ』ポール・シュレイダー

すみません。ポール・シュレイダー監督の名前を聞いたことはあるようだけど誰だろう、などと思いつつ観てしまったのですが、『タクシー・ドライバー』の脚本を書いた方でしたね。 ネタバレになります。ご注意を。 観終わって途方に暮れてしまう気もしました…

『アルカディア』アーロン・ムーアヘッド ジャスティン・ベンソン

幾つもの受賞をしている面白い映画なのですが、何が面白いのかさっと言えない面白さです。 詳しく調べたわけではありませんが本作監督のふたりアーロン・ムーアヘッドとジャスティン・ベンソン が主演も両人でこなしています。 ほとんどが孤立した小さな村で…

『捕われた女』ジェリー・ジェームソン(これは詐欺映画かもしれません気を付けて)

アマプラにあった映画を何気なくつけていたのですが、これは驚きの映画でした。 というのを読んですぐに飛びついて観るのは少々お待ちください。ネタバレになってしまうのですが、これは単なるリック・ウォレンの著書『人生を導く5つの目的 自分らしく生きる…