ガエル記

散策

『背徳と貴婦人』シャルル・ド・モー

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相変わらずヘンテコな邦題です。ヒロインであるウラナラは皇帝の皇后なのですから貴婦人、という軽い名称は畏れ多いのでは。フランス語題名は『Le portrait interdit』で『禁じられた肖像画』中国語題名で『画框里的女人』こちらも額縁の中の女性という意味でしょうからどちらも絵画を主体としているのですし、事実作品中で画家が自分が描いた絵の中の皇后に心を奪われたと言っているのですから『絵画』という意味の言葉を入れるのは当たり前と思うのです。

 

と、またもや邦題批判から入らねばならないの辛すぎるのですが映画評を書く場合、真っ先にタイトルを書くことになるから(題名書かないと何かわからん)どうしても気になってしまうのは仕方ないのです。

 

ということで気持ち切り替えていきます。

いつもどおりネタバレになりますのでご注意を。

 

清王朝六代皇帝・乾隆帝の皇后となったウラナラは史実として皇帝の怒りを買い突如冷遇されて病死したけれど葬儀も皇后とは思えない質素なものだったそうです。

原因は謎のままで判明してはいないそうなのですが本作ではこのような皇后と画家の思いを寄せた恋心があったのではないか、というよく言う「フランス人らしい恋の憶測」というわけですね。

ラストいきなりウラナラが自ら髪の毛を切ってしまうのですが、これも「原因なのではないか」と言われていることのようです。

満州では皇帝か皇太后が死去して100日後皇后が髪を切る、という習慣があったそうなので皇帝と皇太后が存命のうちにこのようなことをするのは呪いか無礼か、と判断されてしまったのかもしれません。

16年間皇后の地位にいたウラナラはその時48歳だったので映画の彼女とは違う気もしますが特別に若く美しかったかもしれません。

皇帝は亡くなった前皇后を非常に気に入っていて次の皇后は必要ないとまで言っていたということですからそうした感情も反映していたのかもしれません。

 

その皇帝である乾隆帝も有名な方ですし、凄く興味が湧いてきました。

しばらくここらあたりのものを見続けてしまいそうです。

また先日『三体』を読んだ(聞いた)せいもあってなんとなく三体の中の一話のようにも感じられてしまいます。

 

無論、ウラナラを演じたファン・ビンビンの美貌に見惚れました。将棋を指す所作も良いですねえ。

 

中国(という言い方も雑駁すぎですが)の宮殿の雰囲気などが大好きなのです。

冒頭の「灯りをk消せ」」という呼ばわりからして良いなあと思ってしまいました。