ガエル記

散策

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『残酷な神が支配する』萩尾望都 その1 『キリング・ストーキング』       

『残酷な神が支配する』は私にとって苦い記憶のある作品です。 その苦い記憶とはこの作品の連載当時から私は内容に失望してマンガで最も好きだった萩尾望都を読まなくなってしまったというものでした。 なぜそれほどこの作品に失望したのか。 それは私がそれ…

『道成寺』川本喜八郎

【道成寺】動畫(川本喜八郎1976年作品) ツイッターでこの動画の存在を知りました。 というか実をいうと『道成寺』の名は知っていても物語がどういうものなのかをよくは知らなかったという始末です。 『安珍清姫』でも知られている『道成寺』ですがこの動画…

『アンダードッグ 二人の男』イ・ソンテ

マ・ドンソク目的で鑑賞。実はマ・ドンソク初鑑賞です。 つまらなかったら途中でやめようと思っていたのですが、意外にもとても面白く最後まで観てしまいました。 後で知ったのですがドンソクさんではなくもう一人の「男」であるジニルを演じたミンホさんが…

『アクロス・ザ・ユニバース』ジュリー・テイモア

好きで何度も観ている映画です。 めちゃくちゃ好きでこんなに楽しく陶酔感のあるミュージカル映画も少ないと思うのですが、なんだかあまり有名でないような気がするのですが、何故なのか。もっとみんな観て陶酔しよう。 全編ビートルズの歌だけで一つの物語…

『鬼はさまよう』ソン・ヨンホ

昨日の『殺人者の記憶法』の上質なディナーと違ってこちらはいかにもな韓国郷土料理の風味でした。美味くて飯が進むのですが強烈に辛い、というやつです。 ネタバレしますのでご注意を。 残酷な殺人、執念の復讐、深く強い人情、熱い夫婦愛、鍛え抜かれた男…

『殺人者の記憶法』ウォン・シニョン

またさらに凄いの観てしまいました。 頭が韓国映画向けになっていない時に録画していてよかったです。 韓国映画はなんやかやと良い特徴が多いのですが小さな女の子をとても愛らしく演出できるのがまた凄い。めちゃ可愛いんですよね。 アルツハイマーになった…

『キリング・ストーキング』クギ その8

二日間『キリング・ストーキング』読み込んでいました。再読していっそうその卓越した技術に感服するばかりでした。 主人公ふたりキャラが好み的ではないのは変わらないのですがそれでも飛びぬけた魅力があるのを感じます。 ネタバレしますのでご注意を。 見…

『キリング・ストーキング』クギ その7 『残酷な神が支配する』萩尾望都

『キリング・ストーキング』 韓国映画で描かれる過激な残酷性と情愛をそのままにBLマンガに仕立て上げた作品でした。 しかもここでさらなる風味を加えるのが警察官ヤン・スンベです。 彼の存在も(ソウルからやってきた)田舎警察官の下っ端で先輩からいび…

『キリング・ストーキング』クギ その6 『残酷な神が支配する』萩尾望都

続けます。『キリング・ストーキング』と『残酷な神が支配する』の比較評になりますので双方のネタバレになります。ご注意を。 『残酷な神が支配する』の主人公ふたりはふたりとも裕福で片親からとはいえ愛されて育ちました。ふたりとも白人男性であり頭もよ…

『キリング・ストーキング』クギ その5 『残酷な神が支配する』萩尾望都

さて本腰で『キリング・ストーキング』を語らねばと思ってはいるのですがなかなか難しいのです。 今日の比較相手は萩尾望都『残酷な神が支配する』を選んでみました。 以下両方のネタバレになります。ご注意を。 萩尾望都『残酷な神が支配する』と『キリング…

『ブレス』キム・ギドク

韓国映画は、と語れるほど韓国映画を観ているわけではないのですがやはりキム・ギドクの作る映画は韓国映画界では異質なのではないのでしょうか。 韓国映画界は驚くほど急成長していっていると感じます。 私が韓国映画にはまりこんで観ていた20年前は面白…

『悲夢』キム・ギドク 『二つのドラマ』手塚治虫 少し『キリング・ストーキング』

たぶん初鑑賞だと思うのですがもしかしたら過去ブログ記事に書いてたら観てるのでしょうw 以下ネタバレしますのでご注意を。 見知らぬ男女の夢がつながっていてその男の夢のせいで女が苦しむ、という不思議な物語です。 この映画を観ていて思い出したのがま…

『嘆きのピエタ』キム・ギドク 『どろろ』

もともとクギ作『キリング・ストーキング』の批評として選んだ『嘆きのピエタ』(未見だったにも関わらず)でしたがこちらのほうだけもう少し。 以下ネタバレしますのでご注意を。 お前を捨てた母親だと言ってイ・ガンドの前に現れた女性ミソンでしたが実は…

『キリング・ストーキング』クギ その4 『嘆きのピエタ』キム・ギドク 

前回の説明どおりかつて心酔していた映画作家キム・ギドク作品でしたが『うつせみ』(私は『空き家』となっていた頃観ましたが)を最後に次第に離れギドク氏の人格にも疑問を抱いてこの作品『嘆きのピエタ』は観ないままでした。 『キリング・ストーキング』…

『キリング・ストーキング』クギ その3 『悪い男』

クギ作『キリング・ストーキング』によってかつて耽溺しその後否定してきた「痛愛」を再び見直そうとしている私です。 「痛愛」というのは今思い浮かんだ言葉です。その言葉ではちょっと足りない「激痛愛」というべきか歪んだ愛の形であり傍から見れば愛とい…

『キリング・ストーキング』クギ その2 『愛の嵐』

『キリング・ストーキング』で久しぶりに心が動いた気がします。キャラのふたりのどちらも好きではないしむしろむかつくくらい嫌いなのだけど嫌いでも心は動されてしまうしどうしようもなく離れられなくなるのです。それは作品中のふたりが互いを思っている…

『キリング・ストーキング』クギ その1

www.lezhin.com 読み終わったばかりで今はぼーーっとなっている状態です。 私が読んだのは紙媒体のほうではなくネットで公開された全編です。 感受性の強い若かりし頃は感動することが溢れていたのですが年を経てから神経は鈍くなりどんな作品を観ても読んで…

「100分de萩尾望都」その4『ポーの一族』

最終項『ポーの一族』です。夢枕獏氏が論じられていました。考察だけでなくなにより夢枕氏の『ポーの一族』そして萩尾望都愛に感動してしまいました。 氏が何度も萩尾氏に『ポー』の再開をお願いされたことでそれが叶ったのであるなら夢枕氏にどれほど感謝し…

「100分de萩尾望都」その3『バルバラ異界』

番組を観る前『バルバラ異界』が取り上げられないのではないかと思って「これが最高傑作なのに」と思わずツイッターに書いてしまったのですが中条氏が選んでくださっていてうれしい限りでした。しかも私と同じように「これが最高傑作ではないか」とも言われ…

「100分de萩尾望都」その2『半神』『イグアナの娘』

続きです。 前回に続きヤマザキマリ氏が語る『半神』と『イグアナの娘』どちらも深い考察で納得でした。 『半神』はリアルタイムで読んで衝撃を受けただけでなく野田秀樹の舞台も観たという私としては珍しい体験をしています。 初めて観た夢の遊眠社の舞台に…

「100分de萩尾望都」その1『トーマの心臓』

録画やっと鑑賞しました。 内容知らなかったので昨日ツイッターで「萩尾望都といえば『ポーの一族』『トーマの心臓』だろうけど私は『バルバラ異界』が最高傑作だと思います」と書いたのですが、ちゃんと番組内で取り上げられていましたね。 中条省平さんあ…

『黒く濁る村』カン・ウソク

これは思いもかけずとんでもなく面白かったです。 言っちゃなんだけど昨日の『ヘレディタリー』よりも私にとっては価値ありの作品でした。 出だしはちょっとたるい感じで映像もいつもの韓国映画より質が落ちるような気がして低予算なのかななどと思っていた…

『ヘレディタリー/継承』アリ・アスター

『ミッドサマー』を先に観てからの鑑賞になりました。 これを観て期待しての『ミッドサマー』はかなり凄い心境になりそうですね。 本作は観る者が試される作品でもあるのでしょう。 ホラー映画としては特に目新しいわけではない、という感想も予想できてしま…

『県警対組織暴力』深作欣二

一月万冊の平田さんからお勧めされて(話題になってたということですが)初めて観ました。 これまでいろいろな映画観てきましたがどういうものか洋の東西を問わずヤクザ映画はどうしても好きになれなかったのです。 なので名作と言われる深作欣二の一連の映…