ガエル記

散策

『黒く濁る村』カン・ウソク

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これは思いもかけずとんでもなく面白かったです。

言っちゃなんだけど昨日の『ヘレディタリー』よりも私にとっては価値ありの作品でした。

出だしはちょっとたるい感じで映像もいつもの韓国映画より質が落ちるような気がして低予算なのかななどと思っていたのですがほんの少し経過したら夢中になって観てしまいました。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

パク・ヘイルは『殺人の追憶』からとても気になる韓国俳優です。

韓国男性俳優としては細身で顔立ちもやや女性的というか繊細な感じなのですがその特徴をいつも上手く利用していると思います。

先日観た『ウンギョ』では老人メイクをして女子高生との危ない関係と共に弟子青年との同性愛関係とも感じさせる老詩人を演じていましたが本作でも検事パク・ミヌクとの関係が不仲のようでいて頼り頼られている不思議な関係性が不思議と納得してしまう感じでした。

 

この映画何がきっかけで選んだのかちょっと忘れてしまったのですが、監督はカン・ウソクで年寄メイクの村長がチョン・ジェヨンと凄い面々が並んでいます。チョン・ジェヨンは老けメイクでもめちゃ美貌に感じてしまうのが謎です。

ユ・ヘグクとパク・ミヌクの関係性とはまた違う村長とその手下どもの関係性も奇妙なものなのですがこうした怖れながらもその人から離れられない関係性というのはいったいなんなのでしょうか。

 

その村長の手下たちがそろってお馴染みの俳優氏たちでそれだけでかなり笑ってしまいました。いや素晴らしいキャラクターぞろいで見ごたえあります。

 

韓国の首都であるソウルへの反感軋轢は日本のそれよりも根深そうに感じます。

そして「田舎で起こる犯罪」というのは都会のそれよりもっと根深く隠されてしまうのは世界のどこでも同じなのでありましょう。

 

ラスト、物語はまたも奇妙な道に入ったのでしょうか。

途中で「あの親の息子らしい」「親も親なら子も子だ」というようなセリフがユ・ヘグクに対してされたように思うのですが、つまりヘグクは父親を受け継ぐ、ということになるのでしょうか。

恐ろしい物語です。

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