ガエル記

散策

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『牯嶺街少年殺人事件』少年の恋と支配

『牯嶺街少年殺人事件』どきりとしてしまうのは舞台となる台湾・台北に日本統治下の影響が色濃く映し出されていることです。 ネタバレですのでご注意を。 主人公・シャオス―の家族は上海から渡ってきた外省人で残されていた日本家屋で生活しています。 「8年…

『牯嶺街少年殺人事件』の張震(チャン・チェン)を見て

『牯嶺街少年殺人事件』を観続けています。 主役のの少年・張震(チャン・チェン)を演じているのはそのまま張震 。 15歳頃でしょうか。細くて初々しい少年の印象に惹きつけられます。 チャン・チェンを初めて観たのはウォン・カーウァイ監督の『ブエノスア…

夏のおわりの日々

酷い雨ふりが続いています。 突然豪雨になったり止んだかと思うとまたしょぼしょぼ降り出したり、そんな感じがずっと何日も続いています。 それだけならいいのですが、古い家に住んでいるので雨が酷いとあちこちで雨漏りしてしまう不安感を持ちながら過ごす…

舞台『絢爛とか爛漫とか』

kenran.westage.jp いつも読ませて勉強させていただいています、マチダタイムスさんのブログで知りました。 machidatimes.jugem.jp 舞台か―!舞台は田舎者にはきつい。特に私のようにどこへも出かけられない人間には絶対に見られないものなのです。 誰かが書…

『シン・ゴジラ』庵野秀明 もう一度書く

『シン・ゴジラ』についてもう一度書いてみたいと思います。 怪獣映画と聞いてオーソドックスな物語を想像した観客には奇妙な作品であるでしょう。もちろん庵野監督の特徴を知っていて大好きな人たちには納得の作品であり満足させてくれるものなのですが。 …

『AKIRA』大友克洋

Netflixでドラマを観ようとしてたのですがつい『AKIRA』に手を伸ばしてしまって始めたらやめられなくなりました。これに比べるとドラマはどうしても退屈してしまいます。 当時マンガを(少し)読んでいたりアニメも観ていた私ですが、作品と同じ2019年を自分…

『ゾディアック』デヴィッド・フィンチャー

こういった現実に起きた連続殺人を映画化した作品はあまたありますが、どうしようもなく惹かれて何度も観てしまう映画作品です。 ネタバレです。ご注意を。 たぶん主役のジェイク・ギレンホールがマンガ家という職業でその彼が事件を追って本を書く、という…

『シン・ゴジラ』庵野秀明・樋口真嗣

ちゃんと書いてあった。 観ながら書いてます。 日本で大喝采、海外では大ゴケと言われています。日本人ならこの面白さがわかるはず、と言わんばかりですがそれでも共感できない日本人もいるわけですよ。 私自身は最初観た時からソリが合わず、2度3度と鑑賞を…

『ひろしま』関川秀雄と『はだしのゲン』アニメと『この世界の片隅に』

現実に起きたことを物語作品とするのはフィクションとはまた違った難しさがあります。 特にそれが戦争というような複雑な要素が絡み合い容易に言明できない場合どのような事柄を拾い上げどのような人物によって語らせていくか、その選択が作品を大きく変えて…

第2回「悟空杯」受賞作『閩越謡』

youtu.be すごく絵が可愛くて声も良かったです! もっとお金かけてちゃんとしたアニメになったのを観てみたいですねーこれ。 中国アニメ、なかなかまだ観る事ができませんが、凄い映画監督はいっぱいいるのですから凄いアニメ作品が生み出されてくるのは間違…

『DEVILMAN crybaby』湯浅政明

youtu.be 久しぶりにまた観ました。 永井豪原作マンガが大好きな私ですが、(あのへんてこな昔のアニメも大好きです) 湯浅監督『デビルマン』は素晴らしいリメイクで圧倒されました。 いろいろネタバレです。 ご注意を。 今回はタイミング的にキュアロン監…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 5

昨日まで映画を追って感想を書いていきましたからここからちょっと雑感を。 ネタバレになりますのでご注意を。 他の方のレビューでいろいろ考えさせられます。 絶賛に対して「つまらない」という意見もちらほら。私にはこんな波乱万丈な、という物語も他の方…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 4

続けます。 ネタバレですのでご注意を。 真面目でおとなしいクレオと関係を持ち、妊娠した彼女を罵倒して逃げたフェルミンは暴動を起こした一人でした。彼に銃を向けられたクレオはショックで破水し、子供は死産でした。 場面は静謐な屋敷に変わります。穏や…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 3

続きます。 ネタバレしますのでご注意を。 おばあちゃんと子供たちと映画館に行くクレオ。はぐれた子供を探すクレオ。 横滑りしていく映像もまた見惚れる綺麗さ。夜の街並みの光と影。立ち並ぶ店と行きかう人々。 クレオは自分を妊娠させて姿をくらましたフ…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 2

続きます。 ネタバレですのでご注意を。 クレオは若くて美しい目と髪を持った女性ですがどことなく控えめで自信がない感じがします。でも同時に何かを訴えたいのにそれを言い出せないでいる感じがあります。 画面には明るい日差しが多く注がれそのために出来…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 1

Netflix作品『ローマ』やっと観ることができました。 最初観た時の印象は「なんてゴージャスな映像なのだろう」でした。 なんというのか、ここ最近観る映画でこんなに重厚な印象のある映像はあまりないように思えたのです。 濃厚で美しいこっくりとした味わ…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 5

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術』キム・ハドソンのテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いていきました。 初めてこの本『新しい主人公の作り方』を読んでいるところです。アーキタイプの適合はよく…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 4

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術」キム・ハドソンのテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いています。昨日の続きいきます。 ステージ【11】光の選択 そしてヴァージンは自分を信じ、何があろうと夢…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 3

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術」キム・ハドソンのテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いています。 昨日の続き参ります。 ステージ【8】枷を手放す ヴァージンは未来へ飛び立つため、過去から抱…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 2

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術」キム・ハドソン のテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いています。 昨日の続きです。 ステージ【5】秘密の世界 この「秘密の世界」はヴァージンが夢を追求する…

『新しい主人公の作り方 』アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 1

さて今回は『新しい主人公の作り方 ─アーキタイプとシンボルで生み出す脚本術 』 をテキストにして勉強してみようかと思います。 まだ手にしたばかりですので全く内容を把握していません。直接作品に当たりながら確認していくのが一番理解できるのではないで…

「この世界の片隅に」こうの史代・片渕須直 その2

昨日は台風のせいもあってテレビ放送された本作をもう一度見直していました。そうして台風の中ぼんやり考えているとこの物語が様々に思われてきました。 そこで今から書くのは「その1」とはまったく違った文章になりそうです。 この物語はちょっと不思議な…

「この世界の片隅に」こうの史代・片渕須直 その1

他の映画のレビューを書こうかと思っていたのですがやはり今先日テレビ放送があったこのアニメ映画について書いてみたくなりました。 まずはこのアニメ作品が作られた意義は特別なものだと思っています、と書かないわけにはいきません。ということはこれから…

「エヴォリューション」ルシール・アザリロヴィック

youtu.be 「エコール」が少女の成長を描いていたように「エヴォリューション」は少年の成長を描いています。 それは今までの多くの映画で男性が描いた少年の成長ではなく女性が描く少年です。 「エコール」では少女の成長が描かれていました。 小説・マンガ…

男のロリコン女のロリコンそしてショタコン

上はロリータ映画ですが 下はショタ映画です こういう紳士が こうなる悲しさよ 相変わらずぼーっとしながら文章書いてたら,huhuさんのコメントでショタコンの話書くの忘れていたことを思い出しましたので少し書き続けます。 女のロリコン=女性が描いたロリ…

男女の描く「ロリコン」

そうそう。 先日ロリコンという題で書こうと思ったのは男と女のロリコンは違う、ということなのでした。 男のロリコンはわかるけど、女のロリコンというのは幼女好きのレズビアンですか、というのは違いましてこの話題としての「女のロリコン」というのは女…