ガエル記

散策

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『アリスのままで』リチャード・グラツァー/ワッシュ・ウェストモアランド

記憶が無くなる、知性が無くなる、という話は西洋のものでとても多いように思えます。ただ過去に起きた記憶が無くなる、だけならまだいいのですが知性が衰えていくのは堪らない恐怖だからでしょう。 そうしたカテゴリの最も印象的な作品に『アルジャーノンに…

『炎上』市川崑

三島由紀夫『金閣寺』を原作として美剣士で名を馳せていた市川雷蔵がそれまでのイメージを覆す主役を演じました。 再鑑賞です。 ネタバレしますのでご注意を。 1958年製作映画ですが今観ても遜色ない表現で違和感を覚えません。 一種の障害を苦痛として暗闇…

『千利休 本覺坊遺文』熊井啓

昨日に引き続き熊井啓作品を鑑賞しました。なんとなく気になって(先日『利休』を観たのもあって)後で熊井啓監督作品だった、と気づくといういつものヤツ。熊井監督は昨日の『海と毒薬』もですが映像が美しくその世界の中に入っていきたいと思わせる情感が…

『海と毒薬』熊井啓

太平洋戦争期、実際にあった生体実験に関わった二人の若い医師の心を描き出していく。 遠藤周作原作小説を映画化したものです。 テーマからして重々しく謹厳な面持ちで鑑賞するべきものですが、ふたりの若い医師、勝呂=奥田英二、戸田=渡辺謙のほんとうに…

『嵐が丘』吉田喜重

エミリ・ブロンテ『嵐が丘』が吉田喜重監督の手により鎌倉時代の日本の物語として作り上げられたものです。 単に舞台を日本に置き換えただけではなく鎌倉時代に移していることで一層映像美が深まっています。 『嵐が丘』に心酔しまくった私ですが、松田優作…

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』原恵一

『クレしん』でも絶賛されているこちらですが、まったく観ていなかったのでした。 令和の今となっては懐かしむといえば平成になるかもしれませんが、それでもまだまだ昭和の残り香が揺蕩っているのは感じます。少し前、つまり平成時代にはやたらと「昭和を懐…

『北斎漫画』新藤兼人

これはもう何度も観ている映画なのですが底抜けに面白い作品ですね。 緒形拳の魅力が凄まじいです。 初めて観た時はとにかくふっきれたコメディとして楽しみました。 今となっては娘のお栄もとんでもない絵師だったと知ってしまったので、本作のお栄がただぶ…

『一命』三池崇史

先日観た『切腹』のリメイクがあると知らずにいて偶然見つけ、観てしまいました。 しかも観始めてからも監督が三池崇史だと気づきませんでした。三池監督作品は(多作の方なので全部ではありませんが)かなり観ていたのですがあまりにも精緻で気品ある趣だっ…

『切腹』小林正樹

「腹かっさばく」という言葉が夥しく使われます。 恐ろしくも悲しい物語でした。 『切腹』=せっぷく、なんて言葉は今ではなんだか笑いのタネにしかならない響きです。そのような言葉をタイトルに選んだ映画というのはとんだトンチンカンな内容なのかと思っ…

『八月の狂詩曲(ラプソディ―)』黒澤明

こんなに良い映画だったんだなあ、としみじみと感じました。 黒澤監督後期の作品で時代劇でもアクションものでもないようなのでなんとなしに見送ってしまっていましたが、とんでもなく素晴らしい映画でした。 やはり黒澤映画らしいがっしりとした骨太な感覚…

『利休』勅使河原宏

いくつか利休を題材にした映画作品がありますが、一番先に興味を持つのはこれでした。 それはやはり主役利休を三國連太郎が、秀吉を山崎努が演じているというキャスティングにあると思います。他作品は観ていないのですが(たぶん)その点で一歩下がってしま…

スパチャとエイリア

SF

youtu.be ひろゆきさんのYouTube配信を楽しみにしています。 ニートさんたち(?)の質問を考える間もなく次々と的確に深く答えていくのが「すげえなあ」といつも感心するのですが、この感じってあれかなあと思いました。 というのはかつて夢中で読んで『デ…

『炎と女』吉田喜重

アマゾンプライム+松竹にて鑑賞。初めて吉田喜重監督を知って今ちょっと興奮しています。 アマプラで+松竹無料期間がなければ観てもいなかったでしょう。それも木下惠介を観ようとして、だったのですが他にも何かないかと探して出会いました。 監督名も知…

『お嬢さん乾杯』木下惠介

不覚にも泣いてしまいました。 この映画で泣く人はいるんだろうか、と思いながら。いや結構みんな泣いてしまうんじゃないか、とも思うのですが。 昨日観た『青春残酷物語』とは打って変わって物凄く真面目この上ない男女の恋愛ですが、それはそれで互いに傷…

『青春残酷物語』大島渚

タイトルがそのまま示していますね、青春は残酷だと。そのとおりの映画です。 ネタバレになります。ご注意を。 若い、というのはそれだけで素晴らしい価値があるのだけれど先日観た『女の園』しかり、なぜか皆おかしなことばかりしてしまうようです。 じゃあ…

『女の園』木下惠介

昨日、木下惠介映画作品はほとんど観ていない、と書いたのですが、本作はその数少ない「観た作品」のひとつです。 観たのはほんの少し前なのですがどうしてもまずこれを観たくなってしまって再鑑賞しました。 ネタバレですのでご注意を。 『女の園』というタ…

『はじまりのみち』原恵一

とても良い映画でした。映画監督・木下惠介が戦時中に病の母親を疎開させるというエピソードを中心にして当時の日本の状況と家族の情愛を細やかに描いた作品でした。 木下惠介監督製作の『陸軍』はラストが「女々しくて戦意を失わせる」とされ次回作を見送る…

『異人たちとの夏』大林宣彦/脚本・市川森一 その2

続けます。 この時期に書くのは申し訳ありませんが、やはり自分としては大林宣彦映画は自分とは違う世界だなあと思いました。 ゴーストストーリーにはとても興味があるし、それが『牡丹灯籠』であるならより一層なのですが時代的なこともあるのでしょうが大…

『異人たちとの夏』大林宣彦/脚本・市川森一

ずっと気になっていたのに観てなかった映画をやっと観ました。実は気になっていたのは脚本が市川森一さんだったからなのですが、先日、大林宣彦監督が亡くなられて「この映画の監督だったんだ」と気づいたという次第です。 以下、ネタバレになります。ご注意…

『ペスト』カミュ その1

headlines.yahoo.co.jp 私は録画しておいたので今現在観ております。 尚且つこの放送後も読まないままだった本著『ペスト』をやっと読み始めました。 紙の本を待っていられないのでkindleで。 そして「100分de名著」を観る、という複合技を繰り出しています…

『蝶々夫人』プッチーニ

youtu.be レナータ・ティバルディ『蝶々夫人』より「ある晴れた日に」 『蝶々夫人』の物語を「読んで」しまうとかつてはびこっていた女性の立場の空しさだとか男女の性差を感じて嫌気がさすのですが、オペラとして歌声を聞くと歌詞を読んでいても気にならな…

アビガンの危険性についても説明が必要です。

youtu.be テレビ報道で 抗インフルエンザウイルス剤「アビガン」がコロナウィルスにも有効と話していて安倍首相も話題にしていましたが、上にあげているひろゆきさんのYouTubeではアビガンの副作用の危険性について触れていて「やめたほうがいい」と言われて…

『三体』を聞き『風の谷のナウシカ』を観る

同時にはできませんが、現在やってることです。 『風の谷のナウシカ』アニメ映画の短い時間での物語なので観ていると思っていたより展開がバタバタ過ぎてせわしないものですね。 しかし内容にはやはり見入ってしまいます。 『風の谷のナウシカ』世界における…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その2

続けます。 先にお断りをしますが、前回松恵が「孤児院からもらわれて」というのは間違いでした。子だくさんの家から弟と一緒に選ばれたのでした。あんまりいっぱいいたので早合点しましたwまさかあんな大人数が兄弟だったとは。「貧乏人の子沢山」で困って…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その1

『鬼龍院花子の生涯』作者は宮尾登美子。1980年発行。 映画は1982年公開。ですが、当時は観ていませんし観たいとも思いませんでした。宣伝が 時期は忘れましたが相当後に、というより数年前に初鑑賞して感激しました。なので今回は再鑑賞となります。 公開時…

チフスのメアリー

今、映画『鬼龍院花子の生涯』を観ているのですが、その中で突然「腸チフス」という病気が登場するのですが、どんなものなのかと検索してみました。 メアリー・マローン(Mary Mallon、1869年9月23日 - 1938年11月11日)は、世界で初めて臨床報告されたチフ…

『宿命の系譜 さまよえる魂』アリス・トラウトン

全六話、鑑賞終了し、いま再鑑賞しております。続けて二度観るほど面白く、かつよく判らなかったせいもありますが。 それにしてもイギリスの映像制作者はこうした地道な日常風景の演出がなぜこうもうまいのか、と思います。 ホラーもSFもこうしたあたりまえ…

新型コロナウィルスによって改革がなされるか

新型コロナウィルスの進撃がとどまらない。 発生国の隣国にも関わらず、奇妙にも諸外国に比べ発表される感染者数が少ない我が国(もちろん疑惑が取り除けるわけはないとして)でもオリンピックが延期されることが決定されて以降その数はついに上昇しはじめ有…