ガエル記

散策

映画

『ソフィーの選択』毒親に育てられた女性の人生を描く

以下、ネタバレします。 gaerial.hatenablog.com TVで『ソフィーの選択』が放送されていたのを見て上にリンクした自分の記事を思い出しました。 ネットで簡単に見られる感想の多くは「残酷なナチスによって自分の子のどちらかを殺す選択をさせられる悲劇の女…

『ジョーズ』スティーヴン・スピルバーグ

1975年公開映画。 TV放送録画で数えきれない再鑑賞。 最初観た時はまだ子どもで「馬鹿々々しいくだらない映画」のように思っていたはずですが現在では世の評価通り素晴らしい名作だと唸りながら観ていました。 その変化の一つは数年前観た「ハリウッド白熱教…

『ザリガニの鳴くところ』オリヴィア・ニューマン

とても面白く惹きこまれて観てしまいました。 ただそれだけではない作品でもありました。 ネタバレしますのでご注意を。さらに『無聲 The Silent Forest』にも触れます。 本作『ザリガニの鳴くところ』は先日観た台湾映画『無聲 The Silent Forest』と同じ題…

『無聲 The Silent Forest』コー・チェンニエン

正直言ってとても良い映画とは言いたくないです。 実際に起きた事件を映画化したということで生々しく作った意識は理解できますが好みだとは言えないし言いたくありません。 ネタバレしますのでご注意を。 なのでこの文章もできるだけ短くまとめたい。 台湾…

『ロード・オブ・ザ・リング 』ピーター・ロバート・ジャクソン

何度となく観ている、つもりですがもう一度鑑賞しています。 2001年から三部作で公開され今なお語られることが多い異世界ファンタジーの名作ですね。 以後の日本における異世界舞台のゲームやアニメ・マンガなどは殆どこの映画から影響を受けていると言って…

『インターステラー』クリストファー・ノーラン

「お涙頂戴もの」というと「大した中身もないのに泣かせようとするだけの作品」という解釈で軽んじられる傾向にあります。私もとても好きとは言えません。 ところで今「SF」というカテゴリはどういう評価でしょうか。私が子どもの時よりは意義あるものとして…

『エリザベス』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』シェカール・カプール

『ブーリン家の姉妹』に続きこの2作品鑑賞。順番的に合っています。 こちらも何度となく観ています。この時代のイギリスはほんとうに面白いです。 (イギリスだいたいおもしろいですが) なんといってもエリザベスを演じたケイト・ブランシェットを眺めてい…

『ブーリン家の姉妹』ジャスティン・チャドウィック

何度目かの鑑賞です。 華やかに美しく簡潔で解りやすい作品でもあるのでつい観てしまう。 いかにもヘンリー八世を思わせる横幅たっぷりの豪華な衣装にも見惚れます。 本作はタイトル通りブーリン姉妹の物語なので王はむしろ狂言回しとも言えます。 王と言う…

『愛と闇の物語』ナタリー・ポートマン

ナタリー・ポートマンが監督・脚本・主演を務めた作品。才能に驚く。 しかし仕方ないとはいえこの配役はここまで美人ではない方が良かったのではないだろうか。 あまりの美貌に見惚れはするけど納得しがたくもある。 ネタバレしますのでご注意を。 華美な化…

『レディ・マクベス』ウィリアム・オルドロイド

これは良い映画を観てしまいました。選択してよかった。 ネタバレしますのでご注意を。 19世紀後半のイギリス。17歳のキャサリンは富裕な商家に嫁ぐことになる。 そこには花嫁に触れることもしないが横暴で冷酷な夫と厳格で無慈悲な義父がいた。 夫は家に寄…

『未知との遭遇』スティーヴン・スピルバーグ

どうしようもなく『未知との遭遇』を観たくなって鑑賞。 実は公開当初観た時はまったく面白いと思えなくて「何わかっていること(宇宙人はいるってこと)を長々とやってるんだか」と思っていました。 断然『スターウォーズ』派だったし今でもSWは好きですが…

『ほの蒼き瞳』スコット・クーパー

昔(といっても自分自身の子供時代ってことだけど)の映画と今の映画はどこが違うのだろうと考えてもすぐにはわからないのだがやはり何かが違う。 何かを考えながら観ていたのですが。 奇妙な味を楽しめる映画でした。 ネタバレしますのでご注意を。 エドガ…

『キング』デヴィッド・ミショッド

話の内容はよくわからないのですが、とても良い感じです。 今の映画だなあという感じがひしひしなのです。 『王』というタイトルでその通り若きヘンリー5世が王となっていく物語です。 昔だったら堂々たる体格の男性が担う配役でしょうが今はこんなひょろひ…

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン

こんな映画が観たかった、という衝撃で打ちのめされています。 何度も観てカンピオン監督の映像も観てなぜこんな映画ができあがったんだろうかという不思議に浸っていました。 ネタバレしますのでご注意を。 家父長意識で凝り固まった男フィルに酷い虐めを受…

『レディ・プレイヤー1』スティーヴン・スピルバーグ

続けてスピルバーグ鑑賞。 これも発表があった時まったく心が動かなかったのですが。 なんでしょうか。スピルバーグって私が興味を持ちにくい題材ばっかり作っている気がします。でも観るとその技術クオリティと面白さに見入ってしまう。どういうことなんだ…

『フットルース』と『クローブヒッチ・キラー』

先日テレビ放送されたので観てみました。 が、この物凄い違和感はなんだろうと思いちょっと書いてみます。 物凄い違和感と書きましたが本作が悪いわけじゃないのです。 1980年代ハーバート・ロス監督作品のいわばミュージカル的映画で私も楽しく鑑賞した記憶…

『TOVE/トーベ』ザイダ・バリルート

昨日のトルーマン・カポーティに続きトーベ・ヤンソン。 同性愛者であったというのが(トーベはバイも少しあるけれど)共通点かもしれませんがその人生は大きく違います。なんならまったく共通しないほど。 それはやはり家族愛の違いに尽きるのでしょう。 親…

『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介

随分長い間気になっていた映画をやっと観ることになりました。 まず言えばとても良かったです。 想像した以上に素直に良い作品でした。これほどとまでは思いもしませんでした。 この映画を知ったのは多くの人と同じように各国で映画賞を取り続けていた時でし…

『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー

多くの人がそうかもだが観る前は嫌な緊張感があってすぐ止めてしまうのではと思ってもいました。 そしてたぶん多くの人がそうだろうと思えるのですがそれは杞憂にすぎず私は最後まで止めることはありませんでした。 そしてこの映画を作った監督はそうした観…

『7月4日に生まれて』オリバー・ストーン

観てて当然という感じなのですが何故か気持ちが起きずに来て今回初鑑賞(忘れてしまっただけかもですが)です。 それでも最初の子どもたちの場面でもう何かの反感が起きて何度もやめてしまったという、何故こうも観たくないのか。奇妙な相性の無さがあります…

『背徳と貴婦人』シャルル・ド・モー

以前一度観た時は入り込めなかったのですが今回観ていてふと良さを感じてしまいました。 ネタバレしますのでご注意を。 フランス人画家アティレは清の皇后ウラナラを描くことを任じられる。 ウラナラは皇后でありながら皇帝の寵愛を受けることのない生活を送…

『オールド』M・ナイト・シャマラン

wowowでは明日(6月5日)初放送かな。一日早くアマゾンプライムにて鑑賞しました。 ちょい前にシャマラン監督作品を続けて観ていました。 どれもよくある題材のようでいて何故か惹きこまれて観てしまうという魔法使いのような演出法を持つシャマラン監督とは…

『ヒッチコック 』サーシャ・ガヴァシ

アンソニー・ホプキンスのヒッチコックはハンサムすぎますよ。映画だから仕方ないけど。 興味あるかな、どうかなやめようかなとずっと思いながら観てしまいました。 私もまあ映画好きとして普通程度にはヒッチ映画は観てきました。特に『サイコ』は特別な作…

『ミスター・ガラス』M・ナイト・シャマラン

そして三部作の最後『ミスター・ガラス』この「ガラス」という特性がもう 心をつかみます。壊れやすい心の比喩ですね。 おおらかな心強い精神を持つのは難しい。 壊れやすい心は歪みやすく復讐心を持つ。 不幸な生い立ちのイライジャがミスター・ガラスにな…

『スプリット』M・ナイト・シャマラン

本作もどうして面白いのかよくわからない魔術映画。 三人の女子高生が変質者に誘拐監禁され─── という触れ込みでなにやら思わされるようなことは起きずしかしひたすら追い込まれていくのだが。 ネタバレしますのでご注意を。 前回の『アンブレイカブル』の続…

『アンブレイカブル』M・ナイト・シャマラン

不思議な映画です。純然たる「ヒーローもの」でありながらこれ以上ないほど静かなもの寂しいと感じる作品なのです。 派手な演出も胸躍るアクションもない、だけど現在のアメリカンヒーローシリーズの原点と称される作品だという。 やはりシャマランは特別な…

『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ

フランク・ハーバート著原作の愛読者であったなら今回の映画化を期待しながらも恐れていたはずでしょう。私は矢野徹訳で石森章太郎挿絵期の読者です。(なので表現が矢野訳になってしまいます) この映画についてはおそらく何度も読むことになったはずですが…

『クエシパン (Kuessipan)』ミリアム・ヴェルー

2019年製作カナダ映画です。 監督のミリアム・ヴェルー氏はたぶん白人女性でここで描かれているイヌーの一員ではないと思われます。 が、原作と共同脚本のナオミ・フォンテインはイヌーの女性で、監督は彼女の小説を読み感動して映画化にあたったと記されて…

『悪魔がみている』ロモーラ・ガライ

原題は『AMULET』監督・脚本はロモーラ・ガライ。 記憶していない名前だったので検索してみたら凄い美女が出てきて驚きしかも俳優だったので???となったのですが単純に美人女優さんが本作の脚本・監督になったという経緯でした。 この記述自体が本作とも…

『トニー滝谷』市川準

私は年齢的にリアルに村上春樹の処女小説から読むことができた、という他にはないほどの体験を持ちながら同時に共感しないまま現在に至っています。 彼の小説の良さ、というか何を描いているのかがまったく呑み込めないままできたのですがこの映画を観て初め…