ガエル記

散策

『ポーの一族』「ホームズの帽子」(1934年)萩尾望都

1975年「別冊少女コミック」11月号 シリーズ第13作目。 前作「はるかな国の花や小鳥」の男性版ともいえる内容でありますがこちらはまったく明るい感じです。 ネタバレします。 私的にはこちらも女性でやって欲しかった気もする。 とはいえ仕方ない。 これ…

『ポーの一族』「はるかな国の花や小鳥」萩尾望都

1975年「週刊少女コミック」37号 正直言ってこのエルゼリさんが好きになれないのですが何故この話を描かれたのかと考えてみました。 ネタバレします。 萩尾作品は「そんな簡単に人生は送れない世界」を描いている。その上で「なんとかなるさ」的な明るさ希望…

『ポーの一族』「ピカデリー7時」萩尾望都

1975年「別冊少女コミック」8月号 なんだか不思議な味の小品です。 ネタバレします。 ポリスタ―卿というポーにしちゃお人好しな男性がリリアという美しい少女を育て上げ二十歳になったら自分の配慮として一族に加えるつもりだったのだけどその前に殺され消え…

『ポーの一族』「ランプトンは語る」(1966年)萩尾望都

1975年「別冊少女コミック」7月号 シリーズ第10作目。これまでの一連の物語がここに収束される。 この一編がとても好きです。 この一編だけでもいいほどです。 ネタバレします。 1966年、かなり現在に近づいてきた。 とはいえ古い館で配線工事もまだの為ラン…

『ポーの一族』「リデル♡森の中」(1879年ころ~1940年)萩尾望都

1975年「別冊少女コミック」6月号 1940年、リデラード(リデル)・ソドサ夫人がジョン・オービンに幼い頃の思い出話をする、という形式の物語。 前回の続きなので1879年ころ~となる。 ネタバレします。 一見、愛らしいリデルがエドガーとアランに大切に愛さ…

『ポーの一族』「ペニー・レイン」(1879年)萩尾望都

1975年「別冊少女コミック」5月号 シリーズ第8作。 第4作「ポーの一族」の続きとなる。 ネタバレします。 妹メリーベルをヴァンパネラ一族に加えて後失い、今度は友人になったアランを仲間にと願ったエドガー。 だが一日で蘇生したメリーベルと違いアラン…

『ポーの一族』「エヴァンズの遺書」(1820年)萩尾望都

1975年「別冊少女コミック」1~2月号 『ポーの一族』シリーズ第7作。前作「小鳥の巣」で終了するはずだった本シリーズの再開最初の作品です。 ネタバレします。 実は『ポーの一族』三部作が終わって以降が面白いのかもしれない。 「エドガーを見たことがあ…

『ポーの一族』「小鳥の巣」(1959年ころ)萩尾望都

1973年「別冊少女コミック」4~7月号 ネタバレします。 『ポーの一族』三部作の最後の作品とされる。 「グレンスミスの日記」の冒頭およびラストシーンがこの物語の中にある。 『ポーの一族』の真骨頂と言えば本編ではないでしょうか。 すでに吸血(噛みつき…

『ポーの一族』「メリーベルと銀のばら」(1744~1757年ころ)萩尾望都

1973年「別冊少女コミック」1月号~3月号 バンパネラであるエドガーとメリーベルのまだ人間だった頃のお話です。 ネタバレします。 1700年代。 初めて読んだ時は考えてもいなかったが読みかえしていくとはっきりとこの物語が見捨てられた子どもの話だと認識…

『ポーの一族』「ポーの一族」〈第一・二・三・四話〉1880年ごろ 萩尾望都

1972年「別冊少女コミック」9月号 - 12月号 この4話めが私の萩尾望都初遭遇です。 いきなり4話目、打ちのめされました。 ただしどうもリアルタイムではなかった気もします。 ネタバレします。 というわけで私は本作(4話目)が初体験だったので逆に驚かな…

『ポーの一族』「グレンスミスの日記」(1899~1959年ごろ)萩尾望都

1972年「別冊少女コミック」8月号 昨日の「ポーの村」の続きです。 ネタバレします。 「グレンスミス魔の24ページ伝説」というのがあります。(今考えました)(というか多くの方が言われてますね) まずは冒頭。 「だれにする?」 大きな建物を背景にしての…

『ポーの一族』「ポーの村」(1865年ごろ)萩尾望都

1972年「別冊少女コミック」7月号 後に『グレンスミスの日記』として読まれるそのグレンスミスの物語です。 ネタバレします。 昨日書いた普通の人が出会ってしまう「エドガー体験」をしてしまうグレンスミス氏。 森の中で鹿狩りをしている時、仲間とはぐれこ…

『ポーの一族』「すきとおった銀の髪」(1815年ごろ)萩尾望都 

1972年「別冊少女コミック」3月号 ついに到達した『ポーの一族』です。 『ポーの一族』にいついて何を語りたいか、今はまだ何もわからずにいます。 いったいこの物語が私にとってなんだったのかをこれから考えていきたいと思います。 ネタバレします。 本作…

『毛糸玉にじゃれないで』萩尾望都

1972年「少女コミック」2号(1971年12月) さらに珍しい萩尾望都日本現代劇の高校受験もの。 しかしSFファン界隈で話題となる。 ネタバレします。 とは言えこの頃はとにかく詰め込み教育、受験地獄受験戦争と言われる時代だった。 自然とマンガでもそうした…

『みつくにの娘』萩尾望都

1972年「別冊少女コミック」お正月増刊 希少な日本時代劇もの。 でも本質的には『ビアンカ』の流れですね。 ネタバレします。 そしてやはり「疎外される主人公」の系譜である。 〝みや”は愛らしい娘だが「父なし子」というので村人から母親をいびり殺された…

『あそび玉』萩尾望都

1972年「別冊少女コミック」1月号 多くの作家は、そして優れた作家ほど同じ話を繰り返して表現するような気がします。 萩尾望都もその一人かもしれません。 彼女の作品は疎外された主人公の物語。 疎外するのは社会であり主人公の親・家族なのです。 ネタバ…

『セーラ・ヒルの聖夜』萩尾望都

1971年「少女コミック」冬の増刊号 萩尾望都作品で何度も繰り返し出てくるモチーフ双子、そして特に男女の双子というのは女性作家に多く男性作家ではほとんど見られないものです。 何故女性作家は男女の双子に惹かれてしまうのか。 そしてその傾向は現在より…

『白い鳥になった少女』萩尾望都/ 原作:アンデルセン『パンをふんだ娘』

1971年「別冊少女コミック」12月号 名作文学のマンガ化はかなり行われてはいると思いますが萩尾氏のこれはいったいどうして行われたのでしょうか。 言っちゃなんだけどほんとに心えぐってくる嫌~な話である。 インゲの悪娘感がたまらない。 綺麗な顔が自慢…

『11月のギムナジウム』萩尾望都

1971年「別冊少女コミック」11月号 萩尾ファンであれば本作が『トーマの心臓』の習作版だったと想像してしまうが本当は先に『トーマの心臓』が構想され執筆されつつあったのだが発表の場がなくやむなく先に短編として再構築された本作のほうが世に出ることと…

『白き森白き少年の笛』萩尾望都

1971年「少女コミック」45号 美しい物語です。 ネタバレします。 『ビアンカ』の少年版ともいえるしその後の話とも思える。 静かな田舎に一家で越してきたおとなしい少女は森の中で綺麗な少年と出会う。 不思議なことに少女の家にはその少年の絵が飾られてい…

『秋の旅』萩尾望都

1971年「別冊少女コミック」11月号(10月号に掲載となっていた不思議) 萩尾望都氏の代表作のひとつに数えられているのではないでしょうか。 構成の素晴らしさは確かなのですが今回読んでみて以前とは違う感情を持ちました。 ネタバレします。 少年ヨハ…

『10月の少女たち』萩尾望都

この「10月の」はレイ・ブラッドベリ『10月はたそがれの国』からきたものでしょう。 『10月はたそがれの国』は『THE OCTOBER COUNTRY』なのでこれでよいのであります。『10月のたそがれ少女』でなくてよかったです。(もしかしたらそういう作品ある…

『もうひとつの恋』萩尾望都

1971年「少女コミック」39号(創作時わからず) 本作『もうひとつの恋』手持ちの本&デジタルに見つからず思い出せず「そうか。未読だったのか」と慌ててデジタル版購入。 そして読んでみたらものすごく覚えていました。 しかし確かに最近は読み返しておら…

『ケネスおじさんとふたご』萩尾望都

1971年「別冊少女コミック」9月号(1969年8月) 現在ではあまりお目にかかれないであろうアメリカ西部劇。 かつてはTVでもよくアメリカ西部劇映画が放送されていたものです。 ネタバレします。 はい、それでこちらは両親が死んでしまった男女の双子の物語。 …

『小夜の縫うゆかた』萩尾望都

1971年「少女コミック」夏の増刊(1971年6月) 萩尾望都氏は日常的な世界が描きにくい別世界の方が描きやすいという理由で現代日本物をほとんど描いていませんがその貴重な作品のひとつ『小夜の縫うゆかた』を読むともったいないなあと溜息です。 変な…

『モードリン』萩尾望都

1971年「少女コミック」29号(1969年5月) これまでの作品群でも際立ってサスペンス映画の雰囲気を持っていると思います。 ネタバレします。 それはこの1ページ目からすでに感じられる。 嵐の夜更けモードリンは雨と風の音に怯えママの部屋へ行こうとする。 …

精霊シリーズ『精霊狩り』『ドアの中の私の息子』『みんなでお茶を』 萩尾望都

1971年「別冊少女コミック7月号(1971年5月) この楽しさはなんなのか。 どうしてこのマンガが別メディア化アニメでも実写でもされていないのか。 されたらされたで苦情を言うでしょうがw あまりにも勿体ない。 ネタバレします。 こうしてまとめて見直して…

『かわいそうなママ』萩尾望都

1971年「別冊少女コミック」5月号(1971年4月) 萩尾望都ならではの作品です。 ネタバレします。 これを初めて読んだ時は萩尾氏が両親、特に母親に、だろうか、に対して苦しい思いを持っていたとは知らなかった。 なので単純に恐ろしい話を描ける人なのだと…

『かたっぽのふるぐつ』萩尾望都

1971年「なかよし」4月号増刊(1970年12月) 萩尾作品初期ほとんど一度は読んだことあると思っていたけどこの作品は初見かもしれない。 それとも怖くて忘れているのだろうか。 ネタバレします。 「昭和」という文字を見るとまず思い出してしまうのはどうして…

『ジェニファの恋のお相手は』萩尾望都

1971年「なかよし」4月号(1971年3月) 今頃気づいたのですがこの1971年に萩尾望都は怒涛の如く作品出しています。その数が信じられないほど。 もしかしたら全部この年に描いたのではなくて出せなかったのがこの年に出された、あの「名編集者山本順也氏に買…