ガエル記

散策

権利

『私の名はパウリ・マレー』ジュリー・コーエン, ベッツィ・ウェスト

1910年に生まれたパウリ・マレーは黒人であることで人種差別を受け、女性として生まれたことで性差別を受け生涯にわたってそれらの差別と闘い様々な功績を残しながらもあまり語られてこなかった存在でした。 むろん私はこのドキュメンタリーで初めてパウリの…

『 スタンドアップ』ニキ・カーロ

wowowオンデマンドにて鑑賞。2005年製作映画でシャーリーズ・セロン主演という華やかさでありながらまったくタイトルすら知りませんでした。 もちろんそれは私が「知らなかった」というだけの話ですがもう少し話題になってもよさそうだと思ってしまいます。 …

既存の流通システムを破壊しよう

先日「一月万冊」で清水氏と安冨歩教授が映画や本の流通システムについて語る動画がありました。 安冨教授が言われるには「『れいわ一揆』で原監督や自分がどんなに宣伝に駆けずり回っても映画会社からはまったく報酬がない」ということでした。 この言葉を…

『魂の殺人』アリス・ミラー

『一月万冊』で安冨歩教授と清水有高氏の対話でアリス・ミラー著『魂の殺人』を知りました。YouTubeで両氏はこの本について何度となく触れておられます。 思うに最も恐ろしいことは自分の親が恐怖の存在であることです。絶対に抵抗のできない子供時代そして…

医療大麻を問う!Guest 林真一郎 陰謀コーナー!

生配信だよ医療大麻を問う!Guest 林真一郎 陰謀コーナー!【陰謀コーナー ベスト・セレクション】2019.05.15 22:30- 一年前ほどの動画ですねー。 私自身は大麻を使用したこともないし今のところ必要に思ったこともないのですが日本政府の大麻への対応はいつ…

『Kundun クンドゥン』マーティン・スコセッシ

すばらしい映画で悲しくもありますが何度も観なくては、と思えてしまいます。 ダライ・ラマに受け継がれていく「生まれ変わり」という考え方はとても不思議ですがある意味そうでなければならないのかもしれません。 幼い時に見いだされ教育をされるとはいっ…

『ディリリとパリの時間旅行』ミッシェル・オスロ

とても一言では言い表せない美しさと感動を描き出したアニメ作品でしたが同時にやりきれない悲しみも感じられました。 多くの人々、特に「普通の日本人たち」に観てもらいたい作品です。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 アニメの美しさはもう観ていた…

『第三夫人と髪飾り』アッシュ・メイフェア

昨日観た『チューリップ・フィーバー』と題材は同じものです。どちらもかつて女性にとって結婚は子供(特に後継者となる男子)を生む道具としての役割を果たすことにあったことを美しい映像で語る作品なのです。 しかしその題材をほぼコメディに近い演出でト…

『千利休 本覺坊遺文』熊井啓

昨日に引き続き熊井啓作品を鑑賞しました。なんとなく気になって(先日『利休』を観たのもあって)後で熊井啓監督作品だった、と気づくといういつものヤツ。熊井監督は昨日の『海と毒薬』もですが映像が美しくその世界の中に入っていきたいと思わせる情感が…

『利休』勅使河原宏

いくつか利休を題材にした映画作品がありますが、一番先に興味を持つのはこれでした。 それはやはり主役利休を三國連太郎が、秀吉を山崎努が演じているというキャスティングにあると思います。他作品は観ていないのですが(たぶん)その点で一歩下がってしま…

『炎と女』吉田喜重

アマゾンプライム+松竹にて鑑賞。初めて吉田喜重監督を知って今ちょっと興奮しています。 アマプラで+松竹無料期間がなければ観てもいなかったでしょう。それも木下惠介を観ようとして、だったのですが他にも何かないかと探して出会いました。 監督名も知…

『女の園』木下惠介

昨日、木下惠介映画作品はほとんど観ていない、と書いたのですが、本作はその数少ない「観た作品」のひとつです。 観たのはほんの少し前なのですがどうしてもまずこれを観たくなってしまって再鑑賞しました。 ネタバレですのでご注意を。 『女の園』というタ…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その2

続けます。 先にお断りをしますが、前回松恵が「孤児院からもらわれて」というのは間違いでした。子だくさんの家から弟と一緒に選ばれたのでした。あんまりいっぱいいたので早合点しましたwまさかあんな大人数が兄弟だったとは。「貧乏人の子沢山」で困って…

『ある少年の告白』ジョエル・エドガートン

映画には大まかにふたつの種類があってひとつは個々人の精神を表現するもの、もうひとつは実際存在する事象を良きにつけ悪しきにつけ報道する形のもの、と言えるのではないでしょうか。 例えば先日観た『魂のゆくえ』は社会を描きながらも本質は個人の精神の…

『フォレスト・ガンプ』ロバート・ゼメキス

映画の記事を書く時は邦題を記していますし、その時は副題まで書くのがほとんどですが、本作の副題だけはあまりにも馬鹿々々しくてつける気になりませんし、そもそも私は「一期一会」という言葉に嫌悪しかないうえに本作の内容に「一期一会」的ななにかがど…

『ミンボーの女』伊丹十三

これは最高に面白かったです!!! 昨日『マルサの女』を見て確かに面白いのだけど性差別表現があまりに酷く感じられて伊丹監督でもこれじゃあなあ、という声を上げたのが聞こえて対処されたかのようにwその5年後に作られた本作はそうした性差別意識など感…

『ボウリング・フォー・コロンバイン』マイケル・ムーア

2002年製作映画。再鑑賞です。 本作でマイケル・ムーアは「アメリカ白人男は臆病すぎて銃による殺人をやめられないでいるんだけどいい加減にしようぜ」とくどいほど大声で叫び続けているのですが今のところはその効果は得られてないように思えます。 もちろ…

『美しい絵の崩壊』アンヌ・フォンティーヌ

アマゾンプライムにて鑑賞。原題は『Two Mothers』レズビアンなのでは?と言われてしまうほど仲が良く、少女時代からの友情を互いが結婚しそれぞれの息子が成長してからもなお離れることのない二人の女性の物語です。 ネタバレです。 美しい海辺での夢のよう…

『大統領の陰謀』アラン・J・パクラ

1976年公開作品。原題『All the President's Men』 確かに『ペンタゴン・ペーパーズ』のラストから続く始まりになっていました。 そして同じワシントン・ポストの記者が活躍する話ですが、『ペンタゴン』でキャサリン=メリルの部下ではあるが相棒的存在だっ…

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 スティーヴン・スピルバーグ

報道は政府のためにではなく国民の知るためにある。 そして裁判は報道の自由の勝利を明快に下す。 地方紙ながら記事の高い水準を自負するワシントンポスト。夫の自殺によって発行人の席に座ることとなった妻のキャサリン。当時、女性がそうした地位に就くこ…

『サーミの血』アマンダ・シェーネル

とんでもなく心に食い込んでくる映画でした。あっという間に観終えてしまった気がします。 女性主人公クリスティーナという名前は偽物で本当の名前はエレ・マリャである彼女はスウェーデン人として生活をしてきたのですが本当は「サーミ人」でした。 かつて…

『ヴィレッジ』M・ナイト・シャマラン

これは最初からネタバレになります、と書いておきますね。ご注意を。 いろいろな見方ができる作品だと思います。 まずはレイ・ブラッドベリを読んでいたなら(か、萩尾望都の漫画化作品を)本作が「10月はたそがれの国」の一編『びっくり箱』からのオマージ…

『万引き家族』是枝裕和

ずっと観ようとは思ってはいたものの踏み切れないでいたディスクをやっと挿入しました。 ディストピアものが好きなくせに現実を観るのは怖い私です。 しかし観てやはりよかったと思いました。 「万引き家族」は「良い家族」ではなかったのですね。「疑似家族…

『下谷万年町物語』唐十郎&蜷川幸雄

wowowにて鑑賞。出演:宮沢りえ、藤原竜也 かつて存在したというスラム街。 怖ろしいけどどこかそういう世界に憧れてしまうのはどういうことなのでしょうか。 私が覗き見たのは黒澤映画『野良犬』『天国と地獄』、ちばてつや『あしたのジョー』『男たち』 そ…

『新聞記者』藤井直人

レンタルDVDにて鑑賞。 難しくて2回観ました。DVDの良いところですね。 さて2回観たからといって理解できたわけではありませんが、それでも少し咀嚼できたようです。 まず第一には噂に聞いてはいましたが、昨今話題になった事件のあれこれを取り混ぜて現政…

『レベレーション』5 山岸凉子

年末に購入して読みました。一年に一度クリスマスに読める山岸凉子マンガ『レベレーション』は楽しみです。 が、内容は想像していた通りですが大変辛いものです。 ジェンヌ・ダルクが華やかに活躍できたのは一時期だけで他はひたすら苦渋の日々です。 山岸凉…

『ターミナル』スティーヴン・スピルバーグ

実をいうとかなりの話題作だったにもかかわらず今回初めての鑑賞でした。監督がスピルバーグだったのも観終わった後で知りました。だからあんなにテレビで宣伝されていたのですね。 宣伝のイメージもあってなんだか観る気がしなかったのですが、今回観てとて…

『かぞくのくに』ヤン・ヨンヒ

最近こんなに夢中になって映画を観たことがない、というほど食らいついてみてしまいました。 監督自身の体験をもとに映画化したという作品なのですが、それだけに現実をざっくりと切り取って見せられているような生々しさがあります。 それはもっとうまい方…

『わが谷は緑なりき』ジョン・フォード

宮崎駿アニメ作品『天空の城ラピュタ』を知っている人はこの映画が濃く影響していると感じるでしょう。 登場人物の善良さにも感じます。 冒頭のよくとおる呼び声がラストに関係してきます。炭鉱で働く村人が歌うことが好きで歌声が素晴らしい、ということに…

『忠臣蔵 櫻花の巻/菊花の巻』松田定次

観ている時は気がつかなかったのですが後でキャストを見たら浅野内匠頭を萬屋錦之助が演じているのですね。1959年の作品で、当時27歳で頼りなさげな若き殿様を演じています。そして1978年『赤穂城断絶 』で46歳の錦之助は大石内蔵助となるわけですが、同じ人…