ガエル記

散策

『 スタンドアップ』ニキ・カーロ

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wowowオンデマンドにて鑑賞。2005年製作映画でシャーリーズ・セロン主演という華やかさでありながらまったくタイトルすら知りませんでした。

もちろんそれは私が「知らなかった」というだけの話ですがもう少し話題になってもよさそうだと思ってしまいます。

というのは本作がアメリカで1988年に行なわれた世界初のセクシャルハラスメント訴訟という実話を映画化したものだからなのです。

しかも主演のシャーリーズ・セロンのみでなく出演俳優の顔ぶれの凄いこと。といってもミーハーな感じではなく実力派俳優というタイプがずらりと並んでいて観ていて知り合いばかりでスゲエとなってしまいました。

特に嫌らしい卑怯者男ボビーを演じたのが後に『ハートロッカー』『ウィンドリバー』で男っぷりを魅せてくれたジェレミー・レナーなのがびっくりです。

主人公を終始助けてくれる熱き友情の持ち主グローリーにフランシス・マクドーマンド、とアカデミー賞授賞式並みの出演者です。

びっくりを言ってるときりがないので(ほんとうに!)ここまでにしてとにかく熱い映画でした。

 

ちょい「あ~~~」となってしまったのは監督のニキ・カーロが女性なのはガッツポーズですがアメリカ人ではなくニュージーランド人というところです。

仕方ないのかもしれませんがやはり自国女性監督がこの題材を扱うのは困難なのでしょうか。

 

とはいえ素晴らしい映画でした。

80年代アメリカ・ミネソタの炭鉱会社はまさに男の世界でそこで働く女性たちは男性からの惨い性的嫌がらせを甘んじなければならなかったのですが主人公女性はそれに異議を訴え立ち上がるのです。

というところから邦題は『スタンドアップ』になったのでしょうか。原題は『North Country』でこちらは映画内で語られるのですが「小さな北の町からこの運動は広まった」という意味ですね。

私は英語の意味合いを深く読み取れるわけではないのですが『スタンドアップ』はこの場合良いのかぴんときません。『北の田舎町』ではもっとわからん、ということでしょうか。まあ『未来を花束にして』よりは良いと思います。

 

観終わって感動し急ぎ書いているのですがこの映画を観て「結局彼女自身が勝ち取った」んではないかと思う人もいるかもしれない、と感じました。

主人公女性は炭鉱の男たちを前に演説をしようとしても反論に押されて話すことができず父親に助けられ、裁判では弁護士の頭脳に助けられるからです。

しかしそれこそが大切なことなのです。

誰もひとりだけで戦い勝つことはできないのです。

彼女がひとり懸命に戦う姿を見て数人の男性がそれに感動し彼女を助けた、そこが大切なのです。

男性対女性の戦いならよりいっそう男性の支援者が必要です。それは女性が勝ち取った、というような勝ち負けの話ではなく男性と女性が互いに支え合って生きることがほんとうに大切なことだからです。

女性だけでいいのではなく女性と男性が互いを必要とするからこそ世界は調和していくのです。

 

多くの人に観て欲しい映画です。