ガエル記

散策

友情

『バビル2世』横山光輝 ⑥

主人公は追い詰められるほど話は面白くなっていく。 ネタバレしますのでご注意を。 ヨミは超能力増幅器に座ることによってバビル2世の三つのしもべを以前より確実に操作できるようになった。 これによってバビル2世は次々としもべたちに襲われ傷つき流血しな…

『はちどり』キム・ボラ

昨日観た『サニー永遠の仲間たち』で珍しく韓国映画に失望してしまったのですが巷で高評価だっただけにかなり残念でした。 これも評判の高い本作『はちどり』を観てどう思うか不安もありながら本作のすばらしさにため息でした。 ネタバレしますのでご注意を…

『サニー 永遠の仲間たち』カン・ヒョンチョル

上の本国・韓国版と使っている写真は同じなのにレイアウト・色味などで微妙に差異をつけた日本版ポスターを並べてみました。 韓国版がもっさりしているのに日本版はシャープな感じですが、この映画の場合は本国・韓国版が正解でしょう。妙なおしゃれ感は間違…

『映像研には手を出すな』大童澄瞳/ 湯浅政明

マンガを読みながらのながら観のつもりがついそちらを真剣に観てしまう。 しかしこれやはり湯浅監督でなければここまで凄いアニメ化はできなかっただろう、と思われますね。 このアニメに関しては放送前から情報を得ていたので特別に期待していたのですがそ…

『冒険者たち』ロベール・アンリコ

昔観てはいるはずなのですがあまりに退屈でちゃんと観れなかった、という再鑑賞です。これも『SonnyBoy』のための勉強鑑賞です。大変だ。 もともと私はフランス映画と言うかフランス文化と相性が悪くてこの雰囲気が苦手だったのですがさすがに私も年齢を経て…

『T2 トレインスポッティング 』ダニー・ボイル

ダニー・ボイル監督の凄さを思い知りました。 大ヒットした映画の第二弾を二十年後に作る、というのは創作者の腕の見せ所になると思います。 特にユアン・マクレガー演じたマーク・レントンが当時坊主頭と細長い手脚が若さの魅力でかっこいいと人気だったよ…

『これでいいのだ』赤塚不二夫自叙伝 その3

書きたいことが多く遅々として進みませんが少しずつ。 さて満州から引き揚げてきた赤塚少年は今度は日本で「引き揚げ者」として苦労します。 こういうことはどこの国でもあるのか、やはり鎖国時期が長かった日本独特の性格なのか、外国で生活した人に対して…

『一度きりの大泉の話』萩尾望都 その2

もう少し続けます。 ネタバレしますのでご注意を。 先に書いた文章の中で私は「萩尾望都氏は『十年目の毬絵』で無意識に自分の思いと願望を描いてしまったのだろうか」と書きました。 とはいえ『十年目の毬絵』は1977年にビッグコミックオリジナルに掲載と書…

『 閉鎖病棟 -それぞれの朝- 』平山秀幸

少し前に録画していた映画です。早く観なければと思いながら手が伸びずにいました。実は原作小説も買っていたのですがなかなか入り込めずそのままになっていました。 若い頃はそんな思いをすることはほとんどなかったのですが一途に小説を読みその世界に入る…

『高地戦』チャン・フン

また凄い映画を観てしまいました。しばらく韓国映画から離れていたので良いのが貯まりすぎてます。 朝鮮戦争について知っているのは『MASH』くらいです。本作がどれほど史実なのかなどはわかるはずもありませんが本作の価値はそこにあるのではないと思え…

『JSA』パク・チャヌク

実に久しぶりに観たのですが、あまりにも素晴らしく、面白くて驚きました。 初めて観た時は「韓国映画も面白いものがあるのだな」的な感想だったように記憶するのですが今これを観ればそんな偶然の産物ではない技術と哲学を感じることができます。 なんとい…

『ソロモンの偽証』韓国ドラマ 鑑賞完了

観終わりました。 やはりこの物語はドラマで作るほうが良いのもあるのですがそれでもやはり日本映画版より優れていると思います。 ネタバレしますのでご注意を。 そして様々な部分での心遣いもありました。 前回書いた女の子への暴力が抑えられていたことだ…

『タクシー運転手 約束は海を越えて』チャン・フン

韓国俳優さんはみんな背が高いなー。ソン・ガンホも大きいけど若いやつさらに高いとは。 韓国映画スイッチが入ったのでイ・ジュニク作品終わったけど続けて観ることに。 こちらはソン・ガンホつながりというべきかもですが冒頭でピーターと英語で話していた…

『王の男』イ・ジュニク

イ・ジュニク監督作品鑑賞シリーズ。これは当時買ったDVDでの鑑賞です。 私はこの映画があまりにも好きで聞けも読みもできない韓国語豪華版セットまで買ってしまいました。 そして何度も何度も観てきました。今回はしばらくぶりの鑑賞になりましたが物語は全…

『虐待の証明/ミス・ペク』イ・ジウォン

子供を酷い目にあわせる映画はどんなホラーよりも怖ろしくて観るのが耐えがたい。この映画も何度も観るのを止めようとしたのですが「自分は観ているだけなのに逃げちゃいけない」と言い聞かせてどうにか見通しました。 韓国映画は久しぶり(と言うほどでもな…

『ディリリとパリの時間旅行』ミッシェル・オスロ

とても一言では言い表せない美しさと感動を描き出したアニメ作品でしたが同時にやりきれない悲しみも感じられました。 多くの人々、特に「普通の日本人たち」に観てもらいたい作品です。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 アニメの美しさはもう観ていた…

『僕はイエス様が嫌い』奥山大史

冒頭観てもうすっかり惹きこまれて観てしまったのですが、なんかもう茫然としています。 特に最近、日本の映画を観るたび失望して「日本映画にはもう未来なんかないんじゃないか」とまで思っていたのでやっと小さな灯りが見えたような気がしました。 本作監…

『宇宙人ポール』グレッグ・モットーラ

よくこんな俳優さんいたなあ、と思ったらご本人がご本人の役でありました。 アマプラで鑑賞しました。タイトルは知っていて前から気になっていたのを今頃見つけて慌てて鑑賞。もうじき見放題が終了するので未見の方はお急ぎください。 仲良しイギリス人オタ…

『ソロモンの偽証』と『銀河鉄道の夜』初期型と『トーマの心臓』

今日、YouTubeで宮台真司さんの話を聞いていたら『銀河鉄道の夜』のもう一つの話を知ることができました。 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は私も大好きな物語です。 仲良しのジョバンニとカンパネルラが祭りの夜に同級生たちとは離れてふたりだけで汽車に乗って…

『ソロモンの偽証』映画と小説の違い 4

続けます。 ネタバレになりますのでご注意を。 読み進むほどに何故映画では柏木卓也をもっと深く描かなかったのかと不思議でなりません。 何度も繰り返しますが、この物語は彼の死にまつわる物語です。その当人がどんな人物だったのかを掘り下げないのは核心…

『ソロモンの偽証』映画と小説の違い 3

読み進めています。小説を読みこむほどやはり柏木卓也くんの描写がなかった映画版が奇妙に思えます。なぜ物語の最も大切な核心を描かずに映画にしたのでしょうか。 素晴らしい物語をあの形で映画にしてしまったのは悔やまれます。もう一度新しく映画化してほ…

『ソロモンの偽証』成島出ー映画ー前・後編

録画した『ソロモンの偽証』映画前後編一度チラリ見して冒頭で気が乗らずにやめていたのですが岡田斗司夫さんの過去動画で前半映画上映が「めちゃくちゃ面白かった。後半に期待」というのを見てしまって再鑑賞することにしました。 結果、物凄い疑問が膨れ上…

『ある女流作家の罪と罰』マリエル・ヘラー

これってジョーカー女性版?という言い方は釣りですが。 とても面白く鑑賞しました。こんなに優れた映画作品が日本では劇場未公開です。そういうことですね。 苦くて甘くて眉をしかめつつもくすりと笑ってしまう、そんな映画でした。そういうのは凄い映画じ…

『キングダム・ソルジャーズ -砂漠の敵-』マーク・ミュンデン

先日アマプラで偶然観てしまった『ベイビーブラザー』で久々私的大興奮推奨映画監督となったマーク・ミュンデンのもっと以前2007年の映画です。 最初に観た映画が良かったからと言って必ずしもということはありませんが『ベイビー』の感じからしてあまり心配…

『最後の誘惑』マーティン・スコセッシ

こんな面白い映画だったのか!と唖然として観ました。 何度も観なおしてみたいと思います。 ネタバレですのでご注意を。 裏切り者とされるユダが実はイエスの最も忠実で深い関係にある弟子であり友人であるという解釈は素晴らしいと思えます。 クリスチャン…

『サスペリア』(2018)ルカ・グァダニーノ

ダリオ・アルジェント『サスペリア』のリメイク作品ですが、えげつなく凄い映画でした。 ネタバレですのでご注意を。 リメイク、と聞くと前作より劣化したものがほとんどという印象があるものですがこの作品においてはそれは当てはまらないだけでなくリメイ…

ナルチスとゴルトムント ヘルマン・ヘッセ『知と愛』より

ヘルマン・ヘッセ『知と愛』についてもう少し。 特に勉強したことなどない者の戯言ですが。 この物語は大まかに3つの章によって構成されています。もう少し細かく言えば3つ目を前半後半として4つの章とするべきかもしれません。 第一章はマリアブロンという…

『知と愛』ヘルマン・ヘッセ

年齢を経てくるほど思い出す物語というものがあります。これもその一つです。 『ナルチスとゴルトムント』という副題もあるように二人の男性を描いたもの、といってもストーリーのほとんどはゴルトムントに割かれています。 修道院で学問をするふたりはどち…

『美しい絵の崩壊』アンヌ・フォンティーヌ

アマゾンプライムにて鑑賞。原題は『Two Mothers』レズビアンなのでは?と言われてしまうほど仲が良く、少女時代からの友情を互いが結婚しそれぞれの息子が成長してからもなお離れることのない二人の女性の物語です。 ネタバレです。 美しい海辺での夢のよう…

『大統領の陰謀』アラン・J・パクラ

1976年公開作品。原題『All the President's Men』 確かに『ペンタゴン・ペーパーズ』のラストから続く始まりになっていました。 そして同じワシントン・ポストの記者が活躍する話ですが、『ペンタゴン』でキャサリン=メリルの部下ではあるが相棒的存在だっ…