読み進めています。小説を読みこむほどやはり柏木卓也くんの描写がなかった映画版が奇妙に思えます。なぜ物語の最も大切な核心を描かずに映画にしたのでしょうか。
素晴らしい物語をあの形で映画にしてしまったのは悔やまれます。もう一度新しく映画化してほしいものです。
ネタバレです。ご注意を。
映画の時にはたぶん感じていなかった、と思うのですが小説を読みだして思い出したのは萩尾望都『トーマの心臓』でした。
1974年から描かれたこのマンガでは主人公と同じ学校の一つ年下の少年が飛び降り自殺する場面から始まります。
自殺の場所は学校内ではありませんしそれ以上類似点があるというわけでもないのですが中学生にあたる年代の少年(『ソロモン』では少年少女)が一人の学友の死について深く追求していく、という過程を読んでいて宮部みゆき氏はこのマンガを読んでいて少しは意識しているのではないかと思ってしまいました。
ここれは無論『ソロモン』の価値を下げる理由にはなりません。勝手な憶測にしかすぎませんが私がかつて大好きで数え切れぬほど読み返したマンガ作品が日本の中学校を舞台にしてまったく違う形で思春期時代の心を探っていく、という物語として生まれ変わったのはとてもうれしいことです。登場人物に萩尾という名前の女子生徒がいるのも偶然でしょうか。
さて、2巻最後まで読み終えました。
別の中学校の生徒ながら被告の弁護人となる神原和彦くん。
ヒロイン藤野涼子が検事であり、その対に立つ人物となる彼もまたこの物語の中心人物の一人です。
そして第二巻では別中学の神原くんと自殺した柏木君が滝沢塾という私塾に通っていたことがわかります。
神原くんはその塾の教師だった滝沢氏やそこでの柏木くんとの話を同じ弁護人仲間である野田健一くんに話そうといません。
映画では柏木君と神原くんは同じ小学校だった、という設定のみではなかったでしょうか。
神原くんと柏木くんとの間にはどんなつながりがあったのでしょうか。
映画と同じだった、とは思えませんが。
大いなる期待と共に三巻目にはいります。