ガエル記

散策

『進撃の巨人』アニメファイナルシーズン再鑑賞

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進撃の巨人』ファイナルシーズンー2が始まりました。もちろん観始めたのですが気になってファイナルシーズン1を再鑑賞します。

進撃の巨人』のファイナルシーズンにあたる部分こそ他の作品にはあまり観ることのない諌山創世界の特色なのでは、と思えます。

現実の世界大戦史を混ぜ込んで凝縮して改変表現したかのようなこの歴史はいわば司馬史観ならぬ諌山史観と言えるのではないでしょうか。

 

諌山氏がこの物語を創造し始めたのは10代の頃でしかもその時から最後までを考えていたと聞きました。

戦争の歴史を再構築する発想はあるとしてもその中にどうして「巨人」を入れ込むというアイディアが生まれたのか。とはいえそれは少年の妄想だからこそなのかもしれません。

 

そして少年マンガらしい熱血と友情の始まりから神話の物語となり現実そのものの終結を迎えようとしています。

ファイナルシーズンのアイコンはガビという少女です。

ガビのキャラクター造形には驚きました。

敵キャラならありがちですが主要キャラでしかも女子に扮させたのは諌山氏ならではと言えます。

 

しかし辛い物語です。魅力的なキャラクターと面白いストーリーに夢中になってしまいますがこれは決してあってはならない歴史なのです。

 

震えながら観ていきます。

『マネー・ショート』アダム・マッケイ

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原題『The Big Short』邦題『マネー・ショート』では何の意味だかわかりません。邦題の酷さには慣れっこではありますがあまりにも酷い。せめて上の画像の著書のタイトル『世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち』にしていればよかったはすなのですが。いつも謎です。

 

さて内容は2005年前後のサブプライム住宅ローン危機を描いたもので被害を受けた庶民側ではなく金融世界の視点であり業界用語が飛び交う作品になっています。

なので私などには理解し得えたとはとても言えないのですがそれでもとにかくたどり着いたのは「本当の幸いとはなんだろう」ということです。

 

真実は詩に似ている、ほとんどの人が嫌いだ

 

という言葉が作品中に出てきます。思想家の言葉ではなく単に〝バーで耳にした言葉”です。

なんとなく深みがありそうですが事実はどうなのでしょう。

「金融世界での真実」ならばそうなのかもしれませんが「ほんとうの真実」はまさに死であると同時に人々が求めるものではなかろうか、とも思います。それは「ほんとうの幸福」だからだと私は思うのですが。

 

金融世界のドラマを観るのは面白い、と感じてしまう私もいるのですが「この世界には絶対に幸福がない」と感じてしまいます。いわば怖いもの見たさで観てしまうのです。

幸福は小さな世界にしかない、と思っています。

 

この作品を製作した人たちも面白さを感じながら後ろめたさもあるのでしょう。

若者コンビが金融のカラクリを見つけた、金儲けができると大喜びでふざけた踊りをし始めるとブラピ演じるベン・リカートが「お前たちはなにをやったかわかっているのか。これで何万人の人々が失業するんだ。ふざけるな」と怒りをあらわにします。

ここに映画製作者のせめてもの謝罪が込められている気がします。

とはいえそれならば関わらねばいいのにとも言えます。

まあ彼が関わらなくとも誰かが関わるのですが。

 

ほんとうにこうした世界とはできるだけ関わりたくない、というのが本音です。

そういいつつ怖いもの見たさで観てしまう自分もいるわけですが現実には関わりたくない。ホラー映画は興味で観てしまうけど実体験はしたくないのです。

 

ゲームにはまってしまう、というのはそれがなんであれ恐ろしいことなのですね。

 

小さな世界で暮らしたい。

 

『時光代理人』#3 「必ず負けろ、決して勝つな」

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『時光代理人』どうなるか、と思っていましたがもう完全に普通に面白いアニメになっています。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

この第三話。一話完結ではなく続いてはいますがとても感じるものがあってこの話だけの映画を作ってほしいくらいです。

山村にある貧乏学校でバスケット好きな学生たちが廃棄されていた工場の倉庫を利用してバスケットコートにする、というネタはいろいろな形で結構使われているアイディアですがやはりとても胸を打ちます。

 

しかしこの気持ち1話2話でも思ったことではあります。一つの映画にできるのではないかという内容を連続アニメの中で凝縮して出してくるのは凄いことではないでしょうか。

 

そしてトキとヒカルの関係が話が進むごとに少しずつわかってくる、というスタイルもうまい。

明らかにBL路線でありながらくっつきすぎてしまわない感覚も昔風でとても私の感受性にしっくりくるのです。

 

2話目の仲のよい二人の女性の話も涙腺ものでしたが今回の田舎学校のバスケ部も設定だけで良いなあ、と涙がちになってしまう。やっぱりこれで一作映画にしてほしいものです。

 

ラスト、シュートが決まって歴史が改変?ですがたぶんファールでノーゴールなのでは?

答えは来週ですねw

 

『プラダを着た悪魔』デヴィッド・フランケル

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なんとなくお洒落な映画なんだろうと思いこれまでまったく観ようとしていなかった、たぶん一生観ようとも思わぬだろう映画だったのですが岡田斗司夫氏の「おもしろいよ」という動画を観て以来岡田氏から(本人も意外でしょうがとおっしゃってたが)まさかこの映画をお勧めされるとは思いもよらず気になっていたらwowowオンデマンドで見つけて鑑賞してみました。まずはお勧めされてしまうのが当然というほどの面白い映画でした。

 

以下ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

岡田氏の注目点は冒頭のイケてる女子とイケてない女子の比較場面とタクシーの止め方でイケ度がわかる、というものでした。

確かにその点を含めて映画全般にわたってイケてるイケてないかがビシビシ決められていくのです。

 

台詞もいちいちイケていますがそれだけでなく映し出される映像、しぐさや表情すべてがなにかしらの意味が含められているような緊張感あふれる映画であります。

とはいえ溢れるほどに入れ替わっていくお洒落な服や靴バッグなどを観ているだけでも楽しくこの映画での情報量の凄まじさを感じさせます。

 

ストーリーはいかにもアメリカ映画らしいセオリーに基づいたものだと思います。

ファッションには疎いジャーナリスト志望のまっすぐで頑張り屋の若い女性が将来への布石という意味で仕方なく入ったファッション雑誌業界での目まぐるしい仕事内容に追いまくられるうちに従来の負けじ魂が機能するあまり先輩や上司の意地悪を乗り越えみるみる成長していってしまう。

しかし昼夜、オンオフも関係なしに追いまくられる彼女に恋人や友人関係は次第に壊れていってしまう。

しかし先輩への裏切り行為の強要や業界の惨い仕組みを見せられてしまったことで主人公は目が覚めていく。

 

この物語の男性版は今まで数多くあったはずです。いわば男性主人公を女性に置き換えただけの内容とも思えます。

家庭や恋人を顧みないモーレツ社員がはっと気づいて本当に大切なものは何だったかを知る、という内容ですね。

マット・デイモン『グッド・ウィル・ハンティング』もほぼ同じ筋書き構成だと思いますし多くの作品が子の形になっているのではないでしょうか。

こうしたがむしゃらな主人公が戦いに突進する中でもう一度自分自身を見つめなおす、という物語はアメリカ映画だけではなく物語の基本というべきものです。本作はまさしくその通りの作品でした。

 

非常によく考えられ練られた脚本演出で映画の教科書と言っていいのではないでしょうか。

もちろんこれだけが映画のすべてではありませんが受ける作品を作りたいなら是非観て置くべき映画だと思います。まったく飽きることなく楽しめる内容なのです。

と思ってはいたのですがレビューを見ると本作に疑問を感じる人もいるのですね。おもしろかったのは「若い時は良さがわからなかったが年を経て観ると意味がわかる」というものでした。

なるほど若い時には「こんなに出世したのにそれを捨ててしまうなんて」と思ってしまうのが経験を積むと主人公の気持ちがわかってきた、となるのですね。

私は年を取ってから初めて観たので(といっても2006年製作ですからその時点で充分ですが)当然だと解りすぎましたw

あんなに働いてはいけませんw

ラスト彼氏と単によりを戻す、のではなく彼は彼で新しい仕事を見つけ、アンディも初心に戻ってジャーナリストへの一歩を始めるのだけれど「何とか道を見つけよう」という話になるのがとても良い。

 

少し前に安冨歩教授から「アメリカ映画はラスト前に必ず〝どちらかを選べ”という場面がある」と言われてはっとしたことがありました。

「爆弾に繋がれた赤い線か青い線のどちらかを切らねばならない、という選択が主人公に求められる」というのです。

他の誰かに聞くことも逃げることもかなわぬ。自分でその判断をしなければならない。

本作もまたそのセオリーを踏みアンディは選択を迫られます。

ミランダの後を追ってファッション雑誌業界の高みへ上り詰めるか、それとも初志に帰るのか。

そしてまた恋人や友人をこのまま手放すか、仲直りするか、です。

 

たいがいはそのまま先に進む方を選んでしまうのかもしれません。

確かにもったいない。普通では得られない幸運をアンディはつかんだのですから。

もし初志に戻って仲直りしてもその後がどうなるのか、それは解らないのです。

しかしこの物語では「裏切り行為」という現実を突きつけてアンディに「これは私が求める道ではない」という決意をさせました。

それらがなかったら?

もしかしたらアンディはそのまま彼や友人と別れてファッション界の道を進んだのかもしれません。

とはいえこれは物語です。

はっきりとした「問いかけ」が仕掛けられアンディは別の道を進む、という構成が作られたのです。

まったく巧い作品でした。

 

 

『他人は地獄だ』鑑賞完了

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凄まじく面白かったです。確かにこれを途中でやめるのは無理ですね。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

色々な意味でも凄い作品です。

こうした異常な連続殺人、という作品は世界中にそして韓国製にも数えきれないほどあります。

それらの特徴としてはいたいけな少年少女が犠牲になるとかおぞましい手法での殺人とか様々な条件で悲劇を盛り立てていくものでしたが本作の殺戮手法は刃物をぶっ刺す的な単純なものであり殺されるのは中年男女で美学を追求したものでもない。

且つ今までよく作られてきた(愛する人を殺されたというような)凄まじい過去の恨みからの復讐劇でもないのです。

つまり至って「シンプルな殺人」であることがかえって新鮮に思えてくるのです。

 

凶行の現場もほぼ一つの建物の中でおおがかりな仕掛けもなければ金のかかったアクションシーンも華やかな武術場面も見られません。銃器はおもちゃのピストルだけで使われる凶器は包丁やスパナのような周囲にあるものです。

こうした条件で10話に渡って他にないほどぞっとする殺人ドラマが作れるのは原作マンガと脚本が優れていたからなのでしょう。

 

主人公が発した「なぜこんな殺人を?」の問いに殺人鬼は「人間というのはそういうものだ」と答えます。「少しでも弱いものを叩き苦しむ姿を楽しむのだ」と。

確かに殺人というのではなくてもなにか事が起きて「弱そうなやつをいじめられる」と認識した途端大勢がよってたかっていじめ続ける事例を何度も目にしてきたはずです。

そしてそうしたことに自分がどうすればいいのかはよくわからないままなのではないでしょうか。

本作はまさにそうした感覚で進んでいきます。

主人公ジョンウは釜山からソウルに上京してきた普通の青年です。

親切な先輩の会社への就職も決まっていますが住居探しに手間取ります。

手持ちが少なく一番安価だった考試院(コシウォン)に仕方なく入ることにしますがその場所はまさに「地獄」だったのでした。

 

釜山を出る時に母親から言われた「人に気を付けて。一番怖いのは人よ」という言葉をジョンウは体験していくのです。

 

鑑賞後、本作の説明を見るとドラマと原作はほぼ同じように作られているようでしたが大きく違うのは原作にはないキャラクターがあってそれが歯科医のソ・ムンジョだというのです。

ドラマで重要なこの配役がマンガには存在しない、というのが不可思議です。

彼のセリフに「お前は僕を殺せない。なぜならぼくは何人もいるのだから」という意味の言葉がありました。そのセリフ通り彼が殺された後にもエレベーターの中に彼が立っている姿が映されます。

彼は『ツインピークス』のボブなのではないでしょうか。

ボブはむさいおっさん、というかんじですがそれを他にないほど美しい青年にするところが韓国映画ドラマの真骨頂でもありますね。

 

連続ドラマの怖ろしいところはその長さにもあります。

映画ならどんなに長くても3時間でしょうけどドラマなら計10時間以上もその世界に浸らねばなりません。

この狂気のコシウォンに主人公と同じく何度も入っていかねばならなくなるのです。

そこへ戻れば必ず恐ろしいことが起きると解っていながらです。

ただただ殴られ続けられる単純性、原因も理由もわからないまま(いやありはしないのですが)狂気を耐えるしかないうちに自分の狂気を引きずり出されてしまう。

怖ろしいドラマを作り上げてしまったものです。

 

『他人は地獄だ』という言葉がサルトルだというのを今回認識しました。

 

『時光代理人 -LINK CLICK-』 #02 秘伝のレシピ

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二話目にして好きになりすぎて辛い。こんな気持ちになったのはいつぶりなのか。

 

なんでこんなに惹かれるのか、という謎ときをしたくもあるのですが観ていて嫌になる箇所がほとんどないのですよね。

主人公ふたりはもとより女性の描き方もとても良い、というのは案外少ないのです。(と私は感じています)

 

以下ネタバレしますのでご注意を。

 

 

実は私、あんまりタイムリープものが好きではないのです。絶対ダメというわけではないのですが特に歴史を変える系には疑問を持ってしまうのです。

その点も本作は納得がいきます。

歴史は変えられない、変えようとしないのがルール。

そしてそもそもの設定どおり写真の中にダイブしてその場面を体験するだけ。

 

一話完結短編集は大変だと思いますがその強みもありますね。

 

トキ&ヒカル組の好きなところはふたりの関係が対等だということがまずあります。

BLにも色々な組み合わせというものがあります。一方が一方に依存している関係とか嫌っている関係、支配系などもありますが私はこのふたりのような対等な友達系が一番好きなのです。

しかも年齢差がある、というのも良いです。しかもクールなヒカルのほうが年下という絶妙さ。

ふたりから家賃を取り立てる大家の娘リンという女子の存在も良い立ち位置。

 

となにもかも満足な本作品です。

そしてこの二話目は一話目以上にゲストキャラストーリーが素晴らしい。

親友である女性二人の時間の経過。

仲良しの女学生が商売をはじめいつしかすれ違い、そして年を取り田舎で最初の夢だった小さなラーメン屋を営む。

 

そしてトキは覚えたラーメンの味を再現しヒカルと食べようとしたのをリンにかすめとられふたり無言でたたずむ。粋なラストシーンでした。

 

いやこれ最高のアニメなのではないですか。

ここまで良い感じのアニメないのでは。

 

 

『他人は地獄だ』

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ドラマは時間潰しになってしまうので観ない主義なのですがつい気になってチラ見後はまり込みました。と言っても前回も連続アニメ観てしまったしなかなか良い映画が見つからないから仕方ありません。

ドラマのほうが面白い作品が多いのかもしれませんし、むしろ時間潰しが欲しい人が多いのかもしれません。

 

で、本作『他人は地獄だ』凄まじい面白さです。

その面白さは登場するキャラクターの凄まじさと比例していくと思います。

昨今の韓国映画・ドラマは面白い作品を作ることに命と魂をかけていると思えますがその方向性は多岐に渡っているのではないでしょうか。

美形に関しても日本の水準を超えていますが変なキャラもまたとんでもない。

いや、マンガの時点では日本製もかなりの多様性があるのかもしれませんが映像化できる意志と力量と資金に差があるのでしょうか。

 

とにかく恐ろしいおぞましいドラマです。まだほんの三話目くらいしか観ていないのですがもうすでにかなりの分量を観てしまったかのような疲労感があります。

 

主人公は可愛い感じのイケメンキャラでBLも期待させるような長身イケメンも別に登場するのですがそんな期待などどうでもいいほど不気味な展開が続きます。

可愛い女性キャラもいるにはいるのですがおおよそ大家のおばさんのイメージに圧迫されていきます。

全10話。まだ後7話もこのおぞましさと戦わねばならないのでしょうか。

タ・ス・ケ・テ