ガエル記

散策

『バビル2世』横山光輝 ⑥

主人公は追い詰められるほど話は面白くなっていく。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

ヨミは超能力増幅器に座ることによってバビル2世の三つのしもべを以前より確実に操作できるようになった。

これによってバビル2世は次々としもべたちに襲われ傷つき流血しながら進まざるを得なくなる。しかもさらにヨミの基地にいる超能力者たちとも戦わなければならない。

弱っていくバビル2世。ふふふ。

ヨミ様親衛隊盛り上がる。(ヨミ「と」っていうのがちょっと気になる?「の」かなあ?「様」もつけたい気もするし「ヨミ様の忠実な部下である超能力者たちよ」って言うべき?「ヨミと忠実な部下」って何かのタイトルみたいでw)健気で良いねえ。

しかし一方バビル2世は

さすが。自己肯定感最高少年。すごくかわいいし。

しかしふたりの超能力者と戦いバビル2世はずたぼろになる。

 

 

ヨミ親衛隊(って勝手に書いてるだけ)はさらなるバビル2世への攻撃をしもべたちに呼びかける。ポセイドンに襲われたバビル2世はかろうじて通風孔へと逃げのびた。

そこへポセイドンがレーザー光線を浴びせればバビル2世を始末できる。

が、なぜかポセイドンはそこで倒れこんでしまったのだ。続いてロデムが通風孔へと入ろうとした途端ロデムも倒れてしまう。さらに

ロプロスまでもが異変を起こした。

ほんとにどちらが主人公かわからない。

うーっむ。だから悪党側は覆面をして没個性にすることで「こいつらは人間じゃない。悪い奴らだ」という演出をするのだけどヨミ組織はなぜか素顔なのだ。横山光輝氏ほどの作家がそこに気づかぬわけはないのであえて彼らを没個性にしなかった。感情のある人間として描いているはず。だとしたらそれは何故なのか。

むしろバビル2世の方があまりにも強すぎて苦悩もなく人間味がないのだよね。

これはやっぱりヨミ側が主人公なのか?

ヨミ親衛隊はヨミ不在のまま自分たちの意志でバビル2世を必ず始末しようと動き出す。泣けてくる。なぜここまでヨミ様に忠実なのか。彼らはどんな意志で結ばれているのか。

必死で動いた彼らは疲れ果て眠り込んでしまう。

目が覚めると夜が明けていた。

 

するとポセイドンやロプロスが動き始めたのだ。それも基地への攻撃を始めた。

つまりヨミ様の命令ではなくバビル2世によって動かされているのだ。

親衛隊は死を感じヨミ様を呼ぶ。しかし返事はない。禁じられてはいたがやむなく彼らはヨミ様の超能力増幅器室に入り込んだ。

そこには作動している機器に座ったまま干からびているヨミの姿があった。

機器を停止してみると

しかしその声はテープに録音されたものだった。

この機械は超能力を倍増するのではなく自分のエネルギーを一度に引き出してしまう、というものだったのだ。

それは巨大なポンプで井戸水をすいあげるようなものだ。

それに気づいた時はすでに遅かった。体内のすべてのエネルギーが吸い上げられていく・・・

そうか。彼らはヨミに無理強いされ集められたのではなく、むしろ彼らが野望を持ちヨミを指導者としていた、ということなのだ。

だからこそ彼ら自身が戦ったのだ。

文化大革命みたいな感じなのかな。

 

そこへ蘇ったバビル2世が現れポセイドンによってコンピューターを破壊した。コンピューターが破壊されると自動的に爆発することになっている。それを知ったバビル2世はしもべたちに命じすばやく立ち去ったのだ。

こうしてヒマラヤの万年雪の中にヨミもヨミの野望も眠ってしまったのだ。

 

ページをめくるとヨミが復活していた。だからヨミ(がえる)というのか?今まで人の心を「ヨム」的に思っていた・・・。

しかし本当に曹操なみに何度でも強くなって復活するのだ。

こう言う場面描くのめちゃくちゃうまくてかっこいい。

緊迫した状況が続いて描かれる。本格的で痺れる。

 

日本のある村にアメリカの宇宙衛星が誘導装置の故障によって落下してしまう。駐日米軍が回収に急いだがその村人たちが何故か全滅しているのが判明した。

しかも回収のため村に入った米軍人たちまでもが短時間で血を吐き死んでしまったのだ。

が、村の中にまだ生きていた男がひとりだけいた。

男は体力があったために生き残っていたのだ。

その男の脳に話しかけてくる「声」があった。

「同じように強い仲間を集めろ」

男は気を失った。

 

国家保安局では副局長が局長と事態を話し合っていた。

原因はわからないという。(もちろん生き残った男の話は知らない)

「その衛星が宇宙から謎の伝染病を持ってきたのかもしれん」

局長・副局長は現場へと飛んだ。(大変だなあ。これは下っ端の仕事なのでは)

局長たちは放射能服(じゃなくて防護服ですな)を着用して村に入る。遺体はまだそのままだ。

がそこには「あの男」がそのままの姿で立っていた。

局長たちが近づくと男は部下二人中村と菊地の防護服を開いてしまった。ふたりはすぐさま血を吐き倒れた。

向かってくる男に局長・副局長は近くにあった棒で応戦するが男はびくともしない。

危機一髪の際にロプロスに乗ったバビル2世が現れふたりは事なきを得た。

バビル2世は不思議な男を倒しロプロスに乗せて去ってしまった。

局長たちはやむなくその場で救援隊を待つしかなかった。

そこへなぜか生きている犬が現れる。犬が近づき睨むと死体や村の家が燃え始めた。局長たちはアメリカ兵が落とした銃で犬を撃ったが犬はびくともしない。

しかしさすが局長・副局長は強いかっこいい。

 

一方バビル2世は謎の男を回収しコンピューターで分析していた。

バビル一世のデータから宇宙に存在するビールスで生物に寄生し繁殖し最後はその生物を支配するようになる、とわかる。

分析中に男が目覚めバビル2世は戦いを挑むが突然苦しくなる。バビル2世までもがビールスにおかされたのだ。

コンピューターはバビル2世をカプセルに収め治療を開始した。

 

謎の男はバベルの塔内を彷徨い出口を探した。資料室に入りFコンピューターの機能を狂わせればレーザー光線の攻撃を受けないとわかり行動した。

男は外へ出た。

そして「声」の命じるままにヨミが葬られたヒマラヤへと向かうのだった。

 

バビル2世はコンピューターの治療で復活した。

そして男がヒマラヤへ行きヨミを復活させようとしていると知らされる。

ヨミを復活させれば世界中にあるヨミが作った組織を利用できるのだ。

バビル2世は阻止するためヒマラヤへと飛んだ。

 

ヒマラヤに到着した男はヨミを探した。雪を溶かしかつてあった基地の瓦礫の下に横たわるヨミを見つけたのだ。

そして追いかけて来るバビル2世

ううむ。やっぱりこの描き方はいやらしいんだよな。なぜもっと普通にやれなかった。

というかこいつを女にしないのが横山流。

ヨミを蘇らせた男はバビル2世と戦うことになり死亡。

その間にヨミはいなくなってしまった。

「ぼくがこの男と戦っている間にヨミは生き返ったというのか」

 

国家保安局では無事に帰っていた局長たちが報告書をタイピストに打たせていたがおかしな出来事にタイピストが笑い出してしまう。

そこへバビル2世が現れる。

あどけない顔で大人たちを惑わせるね。

バビル2世はロプロスを使い局長たちをバベルの塔へと連れていった。

そして宇宙ビールスの説明をする。

その間に無数の犬が海を渡っているという報告がされる。

これをポセイドンが阻止しようとするが犬たちは恐れることもなくポセイドンと戦い始めたのだ。

横山氏の巨大ロボットのかっこよさっていったいなんなんだろうね。

 

そこへ潜水艦が近づいてきた。

潜水艦からカプセルのような物体が飛び出す。そこには生き返ったヨミがいた。

わが友にこだわるヨミ様。寂しいんだなあ。

あの時バビル2世が友だちになっていたら世界は平和であったんでは???

やっぱり戦うことではなく愛し合うことが大切なのでは???

バビル2世今からでも遅くない。ヨミ様のずっ友になってあげようよ。君の心ひとつだ。